更新日:2020/05/15

公募研究

中緯度の海面水温変動が台風活動の季節内の変動に及ぼす影響の明確化

研究代表者 那須野 智江# (海洋研究開発機構・グループリーダー)
研究協力者 中野 満寿男 海洋研究開発機構・研究員), 山田 洋平(東京大学大気海洋研究所・特任研究員), 菊地 一佳(IPRC・Associate Researcher), 村上 裕之(GFDL・Project Scientist)
[学位:*海洋学,#気象学]

台風活動に対する海洋変動の影響として、季節予報スケール熱帯・亜熱帯の変動の重要性は、よく知られている。一方、 季節内以下のスケールについては、大気場の内部変動(季節内振動など)を通して、中緯度海洋が有意な影響を及ぼす可能性がある。これまで、 中緯度の海洋変動の台風に対する影響は、主に天気予報スケールの事例研究によって調べられてきた。本研究の目的は、季節内スケールに焦点を当て、 「中緯度の海洋変動が、台風活動とその大規模場の変調との関係に対して、どの程度、どのような影響を及ぼしうるか」を明らかにすることである。
この目的を達成するために、本研究では、台風の発達力学と大規模な大気場の変動を同一の枠組みで表現できる「全球雲解像モデル」を用い、 大気海洋相互作用の役割を理解するステップとして、海面水温に対する大気場の応答に注目する。具体的には、西太平洋の台風活動が活発だった2018・2019年を 主な対象に、以下の点を明らかにする。

  1. どのような海面水温の分布・振幅に対して有意な差が現れるか
  2. 台風と季節内振動それぞれの発生頻度・水平分布・強度の変化と両者の相互関係
  3. 海面水温変動から大気場への (i) 直接影響(水蒸気量や大気安定度など)および (ii) 遠隔影響(大気循環応答)の役割

以上により、領域の計画研究の天気予報スケール・季節予報スケールからの知見を繋ぎ、包括的な理解を促進する。 【A01-1班、A02-7班、A03-8班と連携】

図1. 夏季アジアにおける海面水温変動と台風発生・発達に関係する大気変動

図2. 海面水温変動の影響と 台風活動の関係の概念図