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2016年11月22日に福島県沖で発生した地震の震源域での調査航海について(速報)

2016/12/08

平成28年11月22日に福島県沖で発生した津波を伴う地震の科学的理解を深めるために、発生直後の22日から翌23日にかけて、東北海洋生態系調査研究船「新青丸」および深海潜水調査船支援母船「よこすか」を用いて震源域の緊急調査を実施しました(2016年11月29日既報「JAMSTECニュース」)。主な調査項目はマルチビーム音響測深機による精密海底地形調査で、調査海域(図1参照)は、今回の地震の震源域を含めた常磐沖です。当該海域は水深が浅いため、マルチビーム音響測深機による海底地形調査が従前は十分実施されてきていません。

今回の緊急調査で得られた海底地形情報を図2にまとめました。「新青丸」調査は北緯37°12'、37°18'、37°24'を通る3つの東西測線、「よこすか」調査は東経141°30'、北緯37°18'を中心とする約3マイル(5.5 km)四方の範囲で行われました(既報調査測線図参照)。

調査海域は、水深が約120 mから約450 mにかけての緩やかな陸棚斜面で、全般的には台風等による海水の擾乱や様々な流れによる堆積作用によりスムーズな海底面となっていますが、小地形として北東−南西走向の直線的な地形段差が幾つかみられました(図2のA-C参照)。その中でも、37°18'測線上の141°23.5'の位置の地形(図2のA参照)だけが、他の段差と比べてシャープな形状をしていていることが確認できました。この段差地形は、傾斜が約15°落差が約2 mの南東落ちが主ですが、併せて東側に北西落ちの段差を伴い、幅約1 kmのグラーベン(地溝:凹んだ地形)を形成しています(図3のA上図参照)。類似のグラーベンは、余震分布の走向とほぼ並行するような南西延長上にも確認されました(図2中のC、図3のC参照)。ただし、段差の形状はA地点ほどシャープではなく落差も小さい(約1 m)ものでした。なお、国立研究開発法人防災科学技術研究所によって決定された余震の震源は今回確認された段差状の地形にそってほぼ平行に分布しています(図2参照)。

今後、未調査域の海底地形調査や海底下構造探査などを実施することで、今回確認された段差地形と11月22日に発生した地震の震源断層の関係をより明確にできるものと考えられます。

謝辞:緊急調査を実施するにあたり、当初計画されていた「新青丸」KS16-19、乙坂 重嘉(主席研究者、日本原子力研究開発機構)、「よこすか」YK16-16、藤木 徹一(首席研究者、海洋研究開発機構)、藤 浩明(京都大学)の航海の一部変更に協力いただきました。両航海の主席研究者(首席研究者)をはじめ調査航海関係各位のご協力に謝意を表します。

図1 最近のマルチビーム音響測深データ(海上保安庁海洋情報部・海洋研究開発機構、東北沖の海底地形データの取りまとめ、地震学会ニュースレター、23, 2, 35-36, 2011)に基づく福島県沖の海底地形図。青線で囲む範囲は今回の海底地形調査域、黄色の星印は気象庁による震源位置を示す。

図2 「新青丸」「よこすか」の調査データに基づいた海底地形図。黄色の星印は気象庁による震源位置を示す。×印は防災科学技術研究所による11月22日の余震分布を示している、深度により色分けされている(中央のスケールバー(km)参照)。黒線で囲む範囲は図3に示す地形の段差が見られる場所、矢印は段差の走向を示している。


A 図2のAの詳細地形図

B 図2のBの詳細地形図

C 図2のCの詳細地形図

図3 地形の段差が見られる場所の地形断面図(上図)と詳細海底地形図(下図)。A〜Cの海底地形のカラースケールは、それぞれの比高に応じて変えている。

お知らせ:東北地方太平洋沖地震の地震時・地震後の地殻変動と今回の福島県沖地震との関係(11月17日のプレスリリースに基づく解説)について、近々JAMSTECニュースのコラムとして掲載する予定です。

お問合せ先:
 国立研究開発法人海洋研究開発機構
  地震津波海域観測研究開発センター長(上席研究員) 小平 秀一
  研究推進部 地震津波海域観測研究開発推進課長   満澤 巨彦
  電話:045-778-5730