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環境変動予測研究センター

センター長からのメッセージ

地球環境を形作る諸現象の関係を解きほぐし、
過去、現在、未来を見通します

環境変動予測研究センター
センター長 河宮 未知生

人間活動が地球の気候や生態系に大きな影響を与えていることが明らかになってきています。単一の生物種が地球環境の形成にこれほどの役割を果たす現在は、地球の歴史という大きな観点で見ても特異な時代ということができるでしょう。環境変動予測研究センターでは、水や物質の循環も含めた意味での海洋や大気の変動メカニズムの解明や、それに対する人間活動の影響の評価に取り組みます。

研究には、気温や降水量といった気象要素を高い空間解像度で表現し台風などの極端現象を再現する大気モデルに加え、もう少し長い期間にわたる気候の変動を研究するため海洋と大気を両方扱う大気海洋結合モデル、地球環境の形成にとって重要な海陸の生態系の様子なども再現する地球システムモデルなどを用いた計算機シミュレーションを主な手法として採用しています。

これらのモデルは、再現を得意とする現象が各々違います。近年の研究の進展により、それらの現象が相互に複雑に絡み合っていることが明らかになってきました。例えば、対流活動が活発なエリアが1~2ヶ月で地球を一周するMJOと呼ばれる現象は、台風などより短期的な気象現象や、エルニーニョといったより長期的な変動の発生に重要な役割を果たしています。これまで開発してきた複数のモデルの特長を活かし連携することで、こうした異なる時間スケールをもつ様々な現象間の相互作用という新しい研究分野を切り開くことができると期待しています。

環境変動予測研究センターでは、日々の気象現象から、地球温暖化や地球史上の気候変動などの長期的な変化にいたるまでの地球環境の様々な側面について、理解の促進と社会への情報発信を目指します。地球環境の過去、現在、未来を通して見る私たちの研究は、地球の歴史にとって私たち人間の存在がどのような意味を持つかといった大きな問いへの考察にもつながることでしょう。