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環境変動予測研究センター

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河宮センター長が、IPCCのタスクグループメンバーに選出

2019年5月10日

環境変動予測研究センターの河宮センター長が、「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の「気候変動評価のためのデータ支援に関するタスクグループ」(TG-Data)メンバーに選出されました。IPCCは、51か国からの81名のノミネートに基づいて選出した、河宮センター長を含む14名のメンバーを2019年4月に発表しています。

TG-Dataは、データの収集や整理、公開、追跡可能性、安定性、可用性、透明性、およびIPCCの報告に関連するシナリオについて、IPCCのData Distribution Centre (DDC)にガイダンスを提供することを目的としています。タスクグループは、DDCと共同で、IPCCの作業実施を支援するために、気候変動関連のデータおよびシナリオの利用を促進します。

タスクグループ共同議長は、カナダのDavid HuardとチリのSebastian Vicunaです。共同議長と河宮センター長を除く11名のメンバーは、次の通りです。

Kornelis Blok (オランダ),
Steven Crimp (オーストラリア),
Sha Fu (中国),
Wawan Gunawan (インドネシア),
José Manuel Gutiérrez (スペイン),
Nana Ama Browne Klutse (ガーナ),
Volker Krey (ドイツ),
Silvina Solman (アルゼンチン),
Gerard van der Schrier (オランダ),
Michele Warburton-Toucher (南アフリカ),
Rachel Warren (イギリス)

TG-DATAは、「気候分析のためのデータとシナリオ支援に関するタスクグループ」(TGICA)が改称したものです。IPCCは、昨年3月の第47回総会の際、新しいタスクグループのToRとDDCに対するガイダンスを採択しました。DDCの役割は、IPCCに関係するデータおよびシナリオの保管と、それらの透明性、追跡可能性、および安定性を確保することです。

IPCCについて

「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は、気候変動に関連する科学を評価するための国連機関です。1988年に国連環境計画(UNEP)および世界気象機関(WMO)によって設立され、気候変動、その影響および将来の潜在的リスクに関する定期的な科学的評価を政策立案者に提供し、適応および緩和戦略を提案します。 加盟国数は195に上ります。

IPCCの評価は、あらゆるレベルにおいて、政府の気候政策策定に利用可能な科学的情報を提供しています。IPCCの評価は、気候変動に取り組むための国際交渉への重要なインプットとなっています。客観性と透明性を確保するため、IPCC報告書の作成過程では何度か査読が入ります。

IPCCは、気候変動に関する知見の現状について政策立案者に知らせるために、毎年発表される何千もの科学論文を評価しています。IPCCは、科学界での合意や意見の相違、そしてさらなる研究が必要なところを特定します。独自の研究は行っていません。

IPCC報告の作成には、何百人もの科学者が関わっており、そうした科学者や政府関係者が持つバックグラウンドは多岐にわたります。IPCC事務局で働くのは1ダースの正社員のみです。

IPCCには3つのワーキンググループがあります。ワーキンググループI(気候変動の自然科学的基礎)。ワーキンググループII(影響、適応および脆弱性)作業部会III(気候変動の緩和抑制)。また、国別温室効果ガスインベントリに関するタスクフォースもあり、人為起源排出量や温室効果ガス除去を評価するための方法論を開発しています。これらすべては、IPCC評価報告書やその他の成果物の作成を手引きするテクニカルサポートユニットによって支援されています。

IPCCタスクグループ

IPCCは、特定の問題に対処するためにさまざまなタスクグループを設立しており、現在のところ4つのタスクグループがあります

気候変動評価のためのデータ支援に関するタスクグループ(TG-Data)
財政安定性に関する特別タスクグループ(ATG-Finance)
IPCCジェンダータスクグループ
グローバルストックテイクを踏まえたIPCCの今後の作業組織化に関するタスクグループ

第6次評価サイクルについて

2015年2月の第41 回総会で、IPCCは第6次評価報告書(AR6)を作成することを決定しました。2015年10月の第42 回総会では、この評価サイクルで作成される報告書の作成を指揮する事務局を選出しました。

パリ協定の採択に際し、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国会議(COP)は、1.5℃の地球温暖化の影響に関する特別報告書を作成するよう、IPCCに依頼しました。産業革命前の水準および関連する世界的な温室効果ガス排出経路の上のC。2016年4月の第43 回会合で、IPCCはUNFCCCからの招請を受け入れ、さらに2つの特別報告書と温室効果ガスインベントリーに関する方法論報告書改訂版、AR6を作成することを決定しました。

1.5℃の地球温暖化に関する特別報告書は、2018年10月8日に発表されています。方法論報告書改訂版は 2019年5月に公表される予定で、2019年中にさらに2つの特別報告書(海洋及び寒冷圏に関するもの、土地利用変化に関するもの)が完成する予定です。

3つの作業部会によるAR6は2021年に発表され、AR6統合報告書は2022年の前半に完成します。詳しくはwww.ipcc.chをご覧ください。