フォトギャラリー

観測編

1.セジメントトラップ(MR11-05 2011.7.18撮影)

「時系列観測研究」の中心的存在が、セジメントトラップです。この装置を約1年間海中に係留、“海に降る雪”のような沈降粒子(マリンスノー)を円錐型バケツ状のセジメントトラップで収集し、トラップ下部に装着された約20本の防腐剤入り捕集カップ内に時系列的に保存します。これを実験室に持ち帰り化学分析することで、二酸化炭素を始めとする様々な物質が、いつ、どれぐらい、どのように海洋内部へ運ばれてきたかを明らかにします。

2.赤球トップブイと自動採水装置(MR10-01 2010.1.24撮影)

1年前に設置された係留系が無事回収されました。写真は係留系を垂直に維持するため浮力が約2トンのトップブイです。空中重量も約2トンある重量物です。乗組員は、安全にかつ迅速に回収作業を行います。写真左の装置は世界でも希少な自動採水装置です。この装置で時系列的に捕集された海水を化学分析することで、海中の二酸化炭素濃度や栄養塩濃度の季節変化を明らかにすることができます。

3.甲板水槽(MR12-02 2012.6.26撮影)

植物プランクトンの光合成能力(二酸化炭素吸収・固定能力=基礎生産力)を測定するために、植物プランクトンが生息する様々な水深の海水を採取した後、指標となる物質(化学トレーサー)を加えて24時間甲板水槽で培養(トレーサー取込実験)します。甲板水槽は、海水を採取した水深の光量に合わせて光透過量の異なる(色の異なる)複数の水槽で構成されています。研究者・技術者は培養中の水温、光量の調整に細心の注意を払います。

4.プランクトンネット(MR13-04 2013.7.14撮影)

「物質循環航海」では動物プランクトンも採取します。「みらい」の右舷からプランクトンネットを投入して、任意の水深間を鉛直引き、その層に生息する動物プランクトンを採取します。1回のネット引きで採取される動物プランクトンの量は多くありません。そのため何度も何度も同じ層にネットが投入されます。これを複数の層で行うため時に3〜4時間同作業が続きます。重量物を取り扱うわけでもなく単調な作業ですが、意外に重労働です。

5.大型多段式動物プランクトンネット(MR11-05 2011.11.10撮影)

異なる水深の動物プランクトンを大量に採集するためには大型多段式動物プランクトンネットIONESSを使用します。これは開口部直径約3m、全長約5mの“鯉のぼり”状のプランクトンネットを8枚束ねて、任意の水深で1枚づつ口を開いて水平曳き、ネット先端のボトルに動物プランクトンを捕集するものです。2011年11月に実施した時には、同年3月に発生した福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質が動物プランクトンに付着している可能性がありました。そのため回収後は最初に放射線量を測定、問題がないことが確認されてから試料の回収をおこないました。

6.漂流系投入(MR10-06 2010. 10.29撮影)

基礎生産力測定ボトル、浅海用セジメントトラップを取り付けた漂流系の投入は夜明け前に行われます。担当者は夜中から基礎生産力測定用海水の採集、化学トレーサー添加、セジメントトラップの準備を行います。1日、時には数日間漂流する漂流系の位置は、漂流系先端の取り付けられたGPSによって追尾できるため、漂流中は離れて他の観測を実施することが可能です。ただしGPSの調子が悪いと位置情報が受信できず担当者は冷や汗をかくことが多々ありました。

7. ゼロ災(MR12-02 2012.6.30撮影)

係留系作業など重量物を扱う総員出動のような作業開始前には、作業従事者が甲板で作業手順・人員配置・配慮すべき点の確認を行います。そして最後に安全を祈願して“ゼロ災”を行います。左手を前につきだし、右手でその先端を指差し確認しながら全員で「今日もゼロ災(災害ゼロ)で行こう!良し!」と3回唱えます。特に、朝早い作業や極寒の中での作業前は、ゼロ災のおかげで集中力が高まり、気合が入ります。

8. 漂流トラップ(MR10-01 2010.2.3撮影)

海洋の有光層からその直下におけるマリンスノーを収集するために、浅海用セジメントトラップが投入されます。例えば水深50m〜200m間に4個のセジメントトラップを漂流系に取り付け数日間漂流させます。投入・回収作業は船尾で行われますが、内部に捕集された上澄み液やマリンスノーがこぼれ出さないように静かに、かつ迅速にセジメントトラップを着脱作業する必要があったので、船のピッチングが大きい時には苦労しました。

9. マルチプルコアラ(MR12-02 2012.7.7撮影)

海底表面の堆積物とその直上水を採取するためにはマルチプルコアラが投入されます。船上から降下させ、海底に静かに着底させ自重でアクリルパイプを海底に挿入します。浮上時に底蓋がしまり海底堆積物が採取されます。担当者は音波探査で堆積物がある場所を選定し、採集点では張力を監視しながら、船体動揺も考慮して、ワイヤの巻出し、巻き込みを行います。ヒトデや貝などの底生生物が捕集されることもあります。採取された堆積物は船上で数cmごとにスライスして小分けにされ陸上へ持ち帰られます。

10.荒海(MR10-01 2010.2.12撮影)

冬季の北西部北太平洋は低気圧の墓場とも言われ、発達した低気圧が吸い込まれるように集まるため低気圧の常襲地域となり、荒れた天候が続きます。酷い時には波高が10mにも達することがあり、冬季にこのような海域で他の船舶を見かけることはほとんどありませんが、「みらい」は甲板が高いので注意しながら航海を続けることが出来ます。しかし、大波を受けると船内にも大きな衝撃を受け、部屋の荷物が散乱するなんてこともよくあります。

生活編

1.BBQ(MR12-02 2012.7.9撮影)

「物質循環航海」では、観測終了後・入港直前、できる限り「船上バーベキュー(BBQ)パーティー」を実施しました。目的は全員の航海の労をねぎらうことと乗船者・乗組員の親睦です。この時ばかりは職種、職位、年齢、ジェンダーを気にせず無礼講で大いに飲み食いし、語り合います。写真は余興の「クルーズレポート表紙コンテスト」の審査発表の様子です。

2.なでしこミライ(MR11-05 2011.7/17撮影)

MR11-05航海には乗組員、観測技術員、乗船研究者あわせて13名の女性が乗船(全体の約17%)、観測・分析に大活躍でした。多数の女性同時乗船を記念して、そして翌日の女子W杯決勝戦での「なでしこジャパン」の勝利を祈願して撮影しました。結果「なでしこジャパン」は世界一!世は女性の時代か?!