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海洋観測研究センター

大気海洋セミナー

第149回横須賀大気海洋セミナー

日時
4月23日(火)14:00〜15:00
場所
横須賀本部 海洋研究棟3階セミナー室
発表者
高橋杏(東京大学)
タイトル
南極周極流域の乱流混合を想定した「波追跡シミュレーション」
概要
乱流混合強度を比較的容易に推定する方法として考案されたファインスケール・パラメタリゼーションは, その有効性が多くの海域で確認されており, 南大洋を対象とした研究でも多用されている. しかしながら, これらのパラメタリゼーションは, 海洋内部領域に存在する平衡内部波スペクトルにおけるエネルギーカスケードから生じる乱流混合を対象としており, 南極周極流域に特有の平均流シアーや中規模渦が乱流混合過程に与える影響については全く考慮していない.TBA
Takahashi and Hibiya (2019) では , 2016 年に実施した南大洋におけるマイクロスケールの乱流混合強度とファインスケールの流速・密度の同時観測結果の解析を行い,南極周極流ジェット上に位置する観測点においてはファインスケール・パラメタリゼーションが乱流散逸率を 3 倍程度以上過大評価してしまう傾向を確認した . これらの過大評価傾向は内部波エネルギーと相関が大きく , 内部波スペクトルに着目した解析を通じて (i) 内部波場の非等方性 , (ii) 鉛直波数スペクトルの歪み , のいずれか又は両方がパラメタリゼーションによる過大評価の原因であるという可能性が示唆された .
本研究では, 背景内部波場を構成する内部波束の1 つ1 つの伝播・反射・屈折を追跡する ray-tracing という手法を用いて, 内部波の砕波に伴う乱流混合過程のシミュレーションを行い, (i)内部波場の非等方性, (ii) 鉛直波数スペクトルの歪みがファインスケール・パラメタリゼーションの推定精度にどのように影響するのか調べた. その結果, (i) 内部波場の非等方性は乱流混合強度およびファインスケール・パラメタリゼーションの推定精度に殆ど影響を与えないが,(ii) 鉛直波数スペクトルの歪みは大きく影響を与えることがわかった. 「低鉛直波数側にエネルギーを持った内部波場において, ファインスケール・パラメタリゼーションが過大評価傾向を示す」という結果が得られたが, これはTakahashi and Hibiya (2019) およびイギリス・アメリカの研究チームによって実施された大規模観測の結果とも整合的であった.

第148回横須賀大気海洋セミナー

日時
4月16日(火)14:00〜15:00
場所
横須賀本部 海洋研究棟3階セミナー室
発表者
井上龍一郎(GOORC)
タイトル
慶良間海裂における乱流観測と係留観測
概要
2016年12月に白鳳丸によって行われた慶良間海裂周辺における観測の結果を紹介する。乱流計を用いた微細構造観測では、慶良間海裂入り口のシルにおいて、鉛直拡散係数で、外洋の一般的な値の1000倍以上の強い乱流が観測された。係留観測から得られた流速と水温変動の周期性から、この強い混合には潮汐が関与していると考えられた。そこで、慶良間海裂を模した2次元数値実験を行い、係留観測で卓越していた潮流の役割を調べた。その結果、慶良間海裂内のシルで発生する内部波は、海裂内に放射・砕波することによって、沖縄海盆底層水の更新のみならず、海裂内の北太平洋中層水の変質にも寄与しうることが明らかになった。