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平成15年度海洋科学技術センター委託
海洋調査観測活動に伴う海洋環境に対する影響調査報告書
―海中音響の海産哺乳動物への影響に関する研究動向―

は じ め に

本調査は、社団法人海洋産業研究会が海洋科学技術センターの委託を受けて平成15年度に実施した、「海洋調査観測活動に伴う海洋環境に対する影響調査」の成果をとりまとめたものである。

海洋調査観測活動は、海洋科学研究、学術研究の基盤であり、気候変動や地球温暖化の究明や地震対策等、防災に関する知見の向上の基盤でもある。同時に、海洋環境の管理のための前提となるほか、将来の資源探査の基礎資料をも提供するものであり、したがって、あらゆる海洋関連活動の基礎であり、土台であるといえる。

その海洋調査観測活動もまた、海洋環境への影響を与える人間活動の一つでもあることから、それ自身が環境影響をもたらすことがないように実施する必要があることは論を待たず、今日国際的にも急速に関心を集めているところである。特にエアガンやソナー類による海中音響調査活動が海産哺乳動物、特にクジラ類、に与える影響についての論議が、北米を中心に活発に行われてきている。

そこで、海洋調査観測活動とりわけ海中音響調査が引き起こす可能性がある海産哺乳動物に対する環境影響に関する既往の知見を整理しておこう、というのが本調査の第一の狙いである。その際、内外の関連する文献資料を遺漏なく洗い出すことが肝要であるが、主題の性格からして包括的な情報の入手がむずかしい傾向にあることをあらかじめお断りしておかねばならない。なぜなら、こうした視点からの海洋環境影響を本格的かつ学術的、科学的に検討した事例は必ずしも多くないと考えられるからである。

そうした意味では、今回の調査は予備的調査として位置付けられるものである。にもかかわらず、本調査では、断片的とはいえ問題の本質に迫りうる重要文献を拾い出し、問題の所在を概観し、実際の取り組み状況がどのようであるかを把握することはできたといってよい。とりわけ、アメリカにおける本件に関する動向の概観を把握できたことは大いに意義深いものと言えよう。

次年度は、本調査を下敷きにしながら、さらに一層の深堀り作業を進めていくことが必要で、継続しての調査作業が大いに期待されるところである。

最後に、本調査のまとめにご協力いただいたか関係各位に厚くお礼申し上げるとともに、本報告書が関係方面のさまざまな検討の一助になれば幸いである。

平成16年3月

社団法人 海洋産業研究会