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平成16年度(独)海洋研究開発機構委託事業
「海洋調査観測活動に伴う海洋環境に対する配慮(取り組み)の調査・分析」報告書
(平成17年3月 社団法人 海洋産業研究会)

は じ め に

本報告書は、平成16年度に(独)海洋研究開発機構からの委託により社団法人海洋産業研究会が実施した、「海洋調査観測活動に伴う海洋環境に対する配慮(取り組み)の調査分析」の成果をとりまとめたものである。

海洋調査観測活動は、海洋科学研究、学術研究の基礎であり、気候変動や地球温暖化の究明や地震対策等、防災に関する知見の向上の基礎でもある。同時に海洋環境の管理のための前提となるほか、将来の資源探査の基礎資料をも提供するものであり、あらゆる海洋関連活動を支える土台であるといえる。

しかしながら、その海洋調査観測活動もまた、海洋環境への影響を与える人間活動の一つであることから、それ自身が環境に悪影響をもたらすことがないように実施する必要があることは論を待たず、今日国際的にも関心が急速に高まっているところである。

国際的には、「生物の多様性に関する条約」や「国連海洋法条約」、さらには“アジェンダ21”やISO認証制度などの国際的政策などによって、環境配慮を強く要請される時代となってきた。国内的には、環境基本法に基づく「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律」(通称「環境配慮促進法」)が平成17年4月に施行される予定となっている。この法律には、環境報告書の作成・公表を行う旨の規定が盛り込まれており、事業者単位での環境保全に関する取り組みが要請されることとなるが、重要なのは、試験研究機関等といえどもその適用対象であって例外とはなりえない、という点である。

つまり、(独)海洋研究開発機構においても、近い将来、海洋環境に配慮した海洋調査観測活動に関する基本理念と、それにもとづく環境ガイドラインあるいは環境指針といった具体的方策の策定に取り組むことが要請されていると言ってよい。

そこで、本調査では、昨年度の「海洋調査観測活動に伴う海洋環境に対する影響調査〜〜海中音響の海産哺乳動物への影響に関する研究・政策動向〜〜」の調査結果を発展させるかたちで、こうした動きに関する幅広な情報の収集や、関連法制の整理、参考事例の収集整理、昨年度の音響影響調査の追加検討などを実施した。その作業内容は、全体の土俵の大きさからして、まさしく緒についたばかりのものといえる。

したがって、今後は、望ましい環境配慮に関する基本理念の内容骨子の検討や、指針策定の方向付けなどの具体的検討へと作業レベルを上げていく必要がある。そうした意味で、本調査が取り組んだテーマと内容は、海洋を含む地球環境の調査観測活動に携わる機関としては、他に先駆けてのものと評価しうるであろう。  

今後、さらなる検討を蓄積して、そう遠くない年次に基本理念の制定等へと前進が図られることを強く期待したい。本報告書がそうした検討のための有用な基礎資料として広く活用されることを希望して、序の結びとさせていただく。

平成17年3月

社団法人 海洋産業研究会