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知的財産に関する基本的な考え方(知的財産ポリシー)更新日:2018.11.27

1. 目的

国立研究開発法人海洋研究開発機構(以下「機構」という。)は、「海洋に関する基盤的研究開発、海洋に関する学術研究に関する協力等の業務を総合的に行うことにより、海洋科学技術の水準の向上を図るとともに、学術研究の発展に資する」ことを目的としており、業務の範囲として、海洋に関する基盤的研究開発の「成果を普及し、及びその活用を促進すること」が定められている。
機構が、我が国のみならず国際的に海洋科学技術の中核的機関として機能していくためには、海洋に関する「知」を不断に創出し、それらを社会経済の発展のために活用されるよう発信していくことが不可欠であると考える。機構は優れた人材と世界最高水準の技術を併せ持つ世界有数の研究開発能力を有しており、先進的な研究開発成果を知的財産の形で広く公表していくとともに、産業界や他の機関が利用しやすいように、組織を挙げた取組みを進めていくこととし、ここに、「知的財産に関する基本的な考え方」を策定する。

2. 機構の責務

機構は、知的財産基本法に基づき、以下の責務を負う。

  1. 機構は、その活動が社会全体における知的財産の創造に資するものであることに鑑み、研究並びに人材の育成及びその成果の普及に積極的に努める。
  2. 機構は、研究者及び技術者の職務及び職場環境がその重要性にふさわしい魅力あるものとなるよう、研究者及び技術者の適切な処遇の確保並びに研究施設の整備及び充実に努める。
  3. 機構は、我が国産業の発展において知的財産が果たす役割の重要性に鑑み、活力ある研究開発活動を通じた生産性の向上、事業基盤の強化等を図ることができるよう、知的財産の積極的な活用を図るとともに知的財産の適切な管理に努める。
  4. 機構は、発明者その他の創造的活動を行う者の職務がその重要性にふさわしい魅力あるものとなるよう、発明者その他の創造的活動を行う者の適切な処遇の確保に努める。

3. 知的財産の創造、保護、管理、活用の考え方

以下を基本的な考え方として知的財産の創造、保護、管理、活用に積極的に取り組んでいく。

(1)知的財産の定義

本考え方で対象とする「知的財産」とは、機構の職員が研究開発活動の成果として生み出す知的創作物である。知的創造物についての権利とは、特許権、実用新案権、意匠権、著作権、回路配置利用権及び外国におけるこれらの権利に相当する権利並びにノウハウや研究開発成果としての有体物(工作物、試料等)がある。これらに係る知的財産権は、その種類が多様であり、一括した取扱いは困難であると考えられ、その特性に応じた適切な取扱いを行うこととする。

(2)知的創造サイクルの活用

知的財産の普及・活用の促進を通じ、社会経済活動に活用された結果として得られた資金を新たな研究開発に投入するシステムを構築する。これにより機構の研究開発活動が活性化するとともに、適正な技術移転収入を得ることで、知的財産の創作者に適切なインセンティブを与えることが可能となると考える。
なお、機構は我が国の海洋に関する研究開発の中核的機関であり、我が国の発展は、海洋を基盤とするところが大きいことから、機構の知的財産の幅広い活用が重要である。このため、例えば特許権の場合、通常実施権又は分野限定の優先的な実施権、専用実施権を設定することが適当である。

(3)知的財産管理をビルトインした研究開発活動の推進

研究成果を積極的に社会に還元しつつ、同時に社会の要請に応える研究活動を効果的に推進するためには、研究開発の初期段階から知的財産管理の観点を取り入れることが重要であり、基礎的研究の段階における自由な研究活動であっても、研究開発に着手する前の特許調査の実施、外部機関との研究協力の際の秘密保持契約の締結や職員の情報管理を徹底する。

(4)知的財産権の帰属・承継について

機構から支出した経費又は機構の施設・設備を使用して生み出された知的財産権は原則として機構に機関帰属するものであり、その社会還元の責務は、機構にある。
このため、役職員は、知的財産と考えられる研究成果を得たときは、学会発表等に先立ち、速やかに権利確保に関する必要な手続き(知的財産管理部門への連絡等)を行うこととする。また、機構は、職務発明等審査委員会等において速やかに審査を実施し、職務発明とすることが適当と判断される場合は速やかにその手続きを進め、その他の場合は職員に扱いを委ねるものとする。その際、権利取得のための事務等が学会発表等を遅延させることにならないように努める。
プログラム、映像等の知的財産についても、機構の財産として管理・活用がなされるよう、著作権確保等を積極的に行う。
また、著作物の権利については、機構が著作者になることが適切と考えられるものとして別途定めるものについては、他の知的財産権と同様に扱うこととする。
このほか、有体物についても関係法令や国際枠組みと整合あるものとするよう配慮の上、基本的には同様の扱い(機構帰属)とする。

(5)研究成果の社会への還元による社会貢献

機構内の研究開発活動によって得られた成果は、科学的価値のみならず社会経済的価値を有するものであり、適切な形態で発信され、社会に還元され活用されるべきものであり、このような社会連携活動は、機構の重要な使命である。
このため、職員は、研究開発の結果得た知見、データ、映像、試料等を貴重な知的財産として認識し、その権利化や活用の促進に積極的に取り組むこととする。特に、論文等による発表と特許等による知的財産化とは両立するものであるとの共通認識をもって研究開発活動を進める。
また、機構は職員に対して、知的財産の権利化及びその活用に関する貢献を職員の評価、処遇等に反映させることとする。
なお、知的財産の社会還元は、「待ち」の姿勢ではなく、自らが応用分野を開拓することが必要であり、研究開発現場及び管理部門の両者が連携して機構保有特許等の活用を図ることとする。

(6)企業等との連携における透明性の確保

機構の活動の大部分を占める、国費によって実施する基盤的研究開発等の成果は、本来、国民共有の財産である。一方、企業等との連携を進める場合、企業は特定の個人の利益を追求する性格を持つため、機構が特定の企業等から収入を得る、あるいは特定の企業等に対して責務を負うことは当然に想定される。
産学官連携は研究開発の成果を社会還元するための有用な形態であり、これを積極的に進めていく必要があることから、企業等との連携に際しては、その活動が国民から見て、研究開発機関である機構に期待されている役割、社会的信頼が損なわれることのないよう、連携にあたっては相手企業等と契約を結ぶ等により透明性を高め、社会的な説明責任を果たすことができる体制を整備していくことが必要である。

4. 体制の整備

機構における知的財産の創出、保護、管理、活用や民間企業等との連携の事務を効率的に進めるために、知的財産管理・活用の担当部門(イノベーション・事業推進部イノベーション推進課)の明確化を図る。
また、同部門が知的財産に関する内外のワンストップ窓口としての機能を十分果たすよう、他の管理部門や各センター等研究開発実施部門との連携を強化する。
さらに、協力団体連絡室(及び東京事務所)が技術紹介などの知的財産の活用や情報発信に当たっての役割の一部を担うこととする。
これらに加え、職員の知的財産管理・活用に関する認識の向上及び機構におけるこれら業務の活性化のために、職員の役割に応じた知的財産に関する研修や普及啓発の充実を図る。特に、研究開発を担当する職員に対しては、自らが有用な知的財産の「目利き」としての役割も担えるような環境を整備する。