JAMSTEC
平成10年3月12日
海洋科学技術センター


「しんかい2000」通信用インバータ絶縁アンプの調査結果について


  1. 報告の内容
    海洋科学技術センター(理事長 平野拓也)の「しんかい2000」が平成9年4 月16日(水)、御前崎南方約50kmの海域での訓練潜航中に通信電源の瞬断によ るトラブルで潜航を中止した件について、その故障原因と判断された通信用イン バータ電圧検出回路の絶縁アンプの詳細調査結果がまとまったので報告します。
    なお、平成9年5月9日の発表において、この絶縁アンプは 複数の電子部品を モールドした構造であり、モールドを除去のうえ、内部の調査を実施することと していた。

  2. 絶縁アンプの詳細調査結果
    1. 部品調査の結果、絶縁アンプ発信器回路のトランジスタ1個に出力波形の異 常が認められた。(資料1
    2. このトランジスタを新品に交換し、絶縁アンプを作動させたところ、正常な作 動となった。
    3. この状態で温度サイクル試験(-10℃〜60℃)を350サイクル行ったが、一度 も異常は認められなかった。従って、当該トランジスタ以外の部品には不具合 はなかったものと考えられる。
  3. 評価
    当該トランジスタが故障に至った原因については、他の部品に異常のないこと から、製品のバラツキと経年変化が相乗して発生したものと考えられる。
    なお、トラブルの直後に同種の絶縁アンプ(通信用インバータ3個、推進用イン バータ4個、動力用インバータ3個)全てについて更新した。また、現在は部品交 換の際には、以前にも増して厳しい性能試験、連続作動試験を実施するとともに、 早期の交換を実施することにより、高い信頼性の維持に努めている。




資料

通信用インバータ絶縁アンプ