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「しんかい2000」の1000回までの記録


  1. 初めての潜航
      昭和57年1月26日(1982年) 
       潜航海域:相模湾初島沖(熱海市の南東約15Km)
      乗船者:船長 坂倉勝海
        補佐 田代省三

  2. 1000回目潜航予定
    平成10年4月11日(1998年) 
    潜航海域:沖縄県伊平屋島沖(沖縄本島の北西約120Km)
    (この海域は、海底の熱水活動とともに熱水性生物群集が観察できる。)
    乗船者:船 長 千葉和宏
        補 佐 大野芳生
        同乗者 日本工業新聞 原田成樹

  3. 乗船者別
    乗船者  のべ996名
    うち、外国人  のべ30名
       女性   のべ10名(うち、外国人 1名)

    乗船者の所属別潜航回数
    1)海洋科学技術センタ−281回
    2)工業技術院地質調査所76回
    3)東京大学海洋研究所73回
    4)日本海洋事業株式会社69回
    5)海上保安庁水路部49回
    6)静岡大学18回
    7)東京大学理学部13回
    琉球大学13回
    8)名古屋大学大気水圏科学研究所10回
    神奈川県水産試験場10回

  4. 個人別
    1)海洋科学技術センタ−橋本 惇47回
    2)田中 武男34回
    3)仲  二郎22回
    藤倉 克則
    4)東京大学海洋研究所太田 秀18回

  5. パイロットの最高回数桜井利明318回

  6. 世界で始めて観察、発見
    1) 伊是名  炭酸ガスの液状化   第412潜航 平成 元年(1989年)
    熱水マウンド付近から炭酸ガスが液化した泡が噴き出しているのが観察された。 二酸化炭素の海中、海底での挙動を知る手がかりを得た。

    2) 駿河湾   石油分解菌    第653潜航 平成 4年(1992年)
    極めて強力な石油分解菌が発見された。現在、実験室レベルから現場レベルの応 用研究が進んでいる。

    3) 鹿児島湾 最も浅いハオリムシ  第767潜航 平成 6年(1994年)
    これまで深海生物であると考えられていたハオリムシ類を鹿児島湾奥の水深82m 地点で発見した。これは世界で最も浅い記録であり、硫化水素濃度などの環境条件さ え整えば、ハオリムシ類は浅海域でも生息できることを示した。このハオリムシは、 他のハオリムシと異なり陸上飼育が可能である。このことは、ハオリムシという一群 の生物グループのさまざまな側面を明らかにする可能性を秘めている。

  7. 日本で始めて発見、観察
    1) 熊野灘     三脚魚     第 52潜航 昭和58年(1983年)
    この生物は、二つの腹ビレと尾ビレで海底に立っている。生きた状態で観察され たのは、我が国で初めてであり、その後は、日本の他の海域でも観察されている。

    2) 相模湾初島沖  シロウリガイ    第115潜航 昭和59年(1984年)
    1977年にガラパゴス沖で初めて発見された深海化学合成生物群集が日本近海にも 存在することを示した最初の発見である。初島沖では水深800〜1200mにかけてシロ ウリガイ類が生息しており、他にもシンカイヒバリガイ類やハオリムシ類など化学合 成生物群集固有種として知られる生物の存在を確認している。この発見が契機となり 、現在までに日本各地の地殻運動の盛んな海底20数箇所から化学合成生物群集が発 見されている。

    3) 四国沖  ハオリムシ類    第180潜航 昭和60年(1985年)
    この発見で、日本周辺の化学合成生態系にもハオリムシが生息していることが証 明された。その後、ハオリムシは相模湾、駿河湾、沖縄トラフ、小笠原沖、鹿児島湾 などで発見されている。

    4) 琉球トラフ   熱水マウント     第231潜航 昭和61年(1986年)
    沖縄トラフは背弧においてリフティングが起こりつつあると考えられており、そ れに関連したと見られる火山地形等が認められていた。その火山のうち、伊平屋海凹 内の通  称なつしま84−1海丘において、我が国周辺の海域では初めて活動的な 熱水活動が第231潜航で発見された。観測された熱水の最高の温度は42℃で、そ こには熱水活動で形成された黄褐色の粘土鉱物等からなる沈殿物からなる高まり”マ ウンド”が形成されていた。

    5) 海形海山 目のない白いカニ    第339潜航 昭和63年(1988年)
    熱水噴出孔生物群集の一員として知られるユノハナガニ類が、日本周辺で初めて発見 されたのは小笠原父島沖の海形海山である。このカニは新種であることが知られてい る。体が白く、目のないカニで、その名は、温泉に舞う『湯の華』に由来する。

    6) 伊是名  ブラックスモ−カ−   第411潜航 平成 元年(1989年)
    中部沖縄トラフ南部のカルデラ様地形の伊是名海穴では、1988年の潜航調査 ですでに、鉄等の金属の硫化物からなるチムニーを形成するような熱水活動が確認さ れていた。1989年にはその伊是名海穴の熱水活動域で320℃に達する温度の金 属の硫化物の粒子を含むブラックスモーカーが日本近海で初めて発見された。

    7) ズワイガニのカップリング     第431潜航 平成 元年(1989年)
    ズワイガニは重要な水産資源の一つであるが、その生態は不明な点が多い。雄が 雌を抱き抱えるような交尾行動が深海底で初めて観察された。

    8) 水曜海山  熱水鉱床      第562潜航 平成 3年(1991年)
    伊豆・小笠原の海底火山から火山活動に伴う熱水鉱床と生物群集を初めて発見し た。水曜海山の熱水鉱床に含まれる金や銀の割合は、黒鉱鉱床以上に多いことが明ら かとなった。

    9) 北海道南西沖地震による変動現象 第698潜航 平成5年(1993年)
    海底の表面に噴砂、地割れ、亀裂などを発見した。生物の多くが地震により発生 した土石流によって埋もれる、あるいは水深の深い方へと流されていた。同様の現象 は1995年の阪神淡路地震では陸上で観察されている。

  8. 潜航水深の合計

    約 1140km   (東京〜福岡間  1160km)