JAMSTEC
平成10年5月18日
海洋科学技術センター


無人探査機「かいこう」の油圧系統の故障について



  1. 経緯 (付図-1付図-2 参照)
    海洋科学技術センター(理事長 平野拓也)の無人探査機「かいこう」は、平 成10年5月16日(土)マリアナ海溝チャレンジャー海淵(深度10、898m)にて着底、 調査観測中、同日11時22分(日本時間)にビークル油圧系異常の警報が出たため調査を中断し、 同日16時30分「かいこう」を母船に揚収した。
    その後、原因調査を実施中である。

  2. 調査の状況 (付図-3付図-4 参照)
    1. ビークルの油圧系異常が表示されたため油圧を確認したところ、油圧ポンプ 吐出側圧力(正常値210が16.6kg/cm2)、作業装置系圧力(正常値140が12kg/cm2 )が異常値を示していたのでビークルで油圧を動力源とするスラスターを 作動させたところ回転しなかったため、油圧異常であることを確認した。ま た、ビークルの制御系及び計測系ならびにランチャーの作動を確認したとこ ろ、正常であった。
    2. ビークルをランチャーに収容(11時36分)して、母船に揚収した。
    3. 船上にて、ビークルの油圧ライン及びランチャーからの送電ラインを調査し た結果、正常に作動し、調査した中に異常は見られなかった。
    4. 船上の調査で確認されないものとして水圧の影響があり、今回の不具合に係 る系の中で、高水圧による歪が大きい部分としては油圧装置の初動安全のた めのアンロード弁用水中コネクターのみであり、ここで接触不良を起こした 可能性が考えられる。

  3. 今後の予定
    1. 最も疑わしい水中コネクターを予備品と交換して、5月18日に確認潜航を行 い、不具合部分を特定する。
    2. トラブル時の水中コネクターの水圧テストを行って、技術的な 確認と対策 検討を行う。