JAMSTEC
平成10年5月25日
海洋科学技術センター


無人探査機「かいこう」の揚収時におけるケーブル巻上げ速度低下について



  1. 経緯 (付図-1付図-2 参照)
    海洋科学技術センター(理事長 平野拓也)の無人探査機「かいこう」は、平成 10年5月23日(土)マリアナ海溝チャレンジャー海淵にて調査(深度10,8 70m)終了後、「かいこう」の巻上げを開始して約20分後の同日13時20分 (日本時間)に巻上げウィンチ(トラクションウィンチ)の巻上げ速度が低下した。
    そのため、巻上げウィンチをスローで巻き上げ、その後、スリップを防止するた めにゴム材をあてて巻上げ速度を50m/分に速め、ケーブルの残り3,400m からは所定ののスピード(75m/分)に復旧し、同日18時00分に無人探査機 「かいこう」の揚収を完了した。

  2. 調査の状況及び原因の推定 (付図-3付図-4 参照)
    ケーブル押さえローラーのゴム材が破損したこと、巻上げウィンチの溝付きドラ ムの摩擦抵抗が減少したことによりスリップを起こしたものと考えられる。
    現在、船上にて原因を調査中である。

  3. 対策
    応急処置として、ケーブル押さえローラーのゴム材を補修交換し、溝付きドラム にゴム材をあてることにより、摩擦抵抗の増加を図る。

  4. 今後の予定
    5月20日の調査潜航時に設置した計測機器(底生生物呼吸計測システム)及び 5月21日の調査潜航時に設置した試料捕獲器が海底に設置されており、5月25 日以降の潜航時にこれらを回収する。併せて、巻上げウィンチの応急処置による回 収の状況確認を行う。