JAMSTEC
平成10年5月26日
海洋科学技術センター


無人探査機「かいこう」の確認潜航について


  1. 経緯
    海洋科学技術センター(理事長 平野拓也)は、平成10年5月23日(土)マリア ナ海溝チャレンジャー海淵(深度10,870m)にて調査終了後の「かいこう」揚 収中に、巻上げウィンチ(トラクションウィンチ)がスリップを起こし所定の巻上げ 速度に達しなかった。
    5月25日、巻上げウィンチに応急処置を施し、効果の確認と海底に設置した計測機 器等の回収のため確認潜航を実施した。11時17分(日本時間)深度10,898 mに達したところで「かいこう」の光通信機能の障害により、マニピュレータ操作が できなくなったため計測機器等の回収作業をやめ、15時49分「かいれい」に揚収 した。また、巻上げウィンチのケーブル押さえローラーのゴム材が再び破損しスリッ プ現象を起こしたため、応急処置の効果は十分でないことが判明した。

  2. 調査の状況
    1. 「かいこう」の光通信機能の障害については、揚収後、船上にて調査をした結 果、ケーブルストアウィンチにあるケーブルコネクターの弛みが確認された。その後 、コネクターを取り外して清掃をし、再度、取付けて通信状況を確認した結果、正常 の光レベルに復旧したが、原因については調査中である。
    2. ウィンチの巻上げ速度の低下を起こしたケーブル押さえローラーのゴム材の破 損については、原因及び対策について引き続き検討中である。

  3. 今後の予定
    ケーブル押さえローラーの現場での復旧対策には限界があり正常な機能の回復は困難 と判断されるため、以後の行動を中止して、本日、日本に向けて回航する。