四国沖南海トラフにおける海山の発見
〜海溝域巨大地震発生過程の解明を目指して〜

                        平成12年7月3日 
                        海洋科学技術センター

 海洋科学技術センター(理事長・平野拓也)の地震研究プロジェクトである、海底下深部構造フロンティアの金田義行プログラムディレクター、小平秀一サブリーダらは、平成11年5月から7月にかけて、室戸沖(土佐ばえ周辺)から四国陸域(徳島県から香川県)において実施した、深部構造探査と海域自然地震観測(H11年6月11日プレス発表済)により(図1)、四国沖南海トラフに巨大な海山の沈み込み構造を初めて明らかにしました(図2)。
 この海山の発見は、7日(米国:日本時間8日)に発行されるサイエンス誌に掲載されます。

背景
 フィリピン海プレートの沈み込み帯である南海トラフ周辺域では、これまでおよそ100年から200年といった間隔でマグニチュード8を越える巨大地震が繰り返し発生している(図3)。最も最近では1944年の東南海地震(M8.0)、1946年の南海地震(M8.0)が起こっており、それ以前には1854年に東南海地震、南海地震が発生している。また、1707年の地震(M8.4)では、四国沖から東海沖に至る広域が破壊したと考えられている。

発見及び考察
 発見された海山は、これまで地磁気異常からその存在が示唆されてましたが、長さ約50km、高さ約3km規模の海山が高知県室戸岬沖東方(土佐ばえ)の深度約10km付近に沈み込んでいることを初めて確認しました。また、この巨大海山は、1946年の南海地震の余震域の境界域に存在していることも明かとなりました(図4)。
 このことは、同フロンティアのPhil Cumminsチームリーダ等が実施した、1946年の南海地震データの波形解析結果でも、海山の東方で大きな地震波を伴う高速破壊が生じ、海山西方では、主として津波を伴うゆっくりとした破壊が生じる断層モデル(図5)が得られたことからも明らかであり、この海山は、1946年の南海地震の破壊過程に対し、バリアー・フィルター的な役割を果たしたと推定されました。
 今後は、この海山の役割と南海地震との関係については、さらに研究を進めていく予定です。


概念図
問合せ先                 
     海洋科学技術センター           
      海底下深部構造フロンティア 金田、小平  
電話:0468-67-3392         
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