平成13年5月22日
海洋科学技術センター

J−CAD3号機の通信途絶について

1.状況
 海洋科学技術センター(理事長 平野 拓也)のJ−CAD(氷海観測用小型漂流ブイ)3号機(平成13年4月8日、北緯89度34分、東経82度51分に設置:添付図−1)は、平成13年5月6日18時(世界標準時間)(北緯89度17分、東経5度4分)の観測データより、海氷上に設置されている本機の傾きを計測している傾斜計の値が増加し始め、このときを境にメインシステムの衛星通 信装置(オーブコム)からのデータ送信が途絶えました。

2.原因
 バックアップシステムの衛星通信装置(アルゴス)からのデータ送信の内、海洋観測データは送られて来てないものの、気象観測データ及びブイ状態監視データは送信されて来ているため、監視を続けていましたが、傾斜計の値が増加し続けていることから推定すると、本機を設置している海氷が、リッジ(海氷が衝突して隆起する現象のことをリッジと呼びます。)となり、本機もこの中に取り込まれてしまったために、オーブコムアンテナ及び水中ケーブルが何らかの損傷を受けている可能性が高いものと考えられます。

3.今後の予定
 本機が設置されている場所は、現在の状況ではリッジがあり海氷状況も悪いものと考えられることや夏場に向けて海氷表面 が緩むことから、本機の回収作業を行うには砕氷船が必要と考えております。また、本機の現況を画像に捉えるにしても、本機が小型であるため衛星画像では特定できないことや、航空機によって上空から撮影するにしても、現在位 置が北極点であるため距離的に遠く難しいのが現状です。
 今後、送られて来る気象観測データについては、継続して取得し、国際北極ブイ計画に対して継続配信するとともに、これまでに本機で得られた海洋観測データについては、昨年北極点に設置し、北緯68度まで南下して観測することができたJ−CAD1号機のデータを用いて、北極点近傍の海洋について昨年と今年の比較解析を行うことにしています。

参考     添付図-1

              問い合わせ先:
               海洋科学技術センター
                海洋観測研究部 島田、菊地
                 電話 0468−67−3897
                総務部普及・広報課 志村、月岡
                 電話 0468−67−3806