「地球深部探査センター」の発足について

 

平成14年10月2日
海洋科学技術センター



1.概要
 本年10月1日、海洋科学技術センター(理事長 平野拓也)は、「地球深部探査センター」を発足させた。地球深部探査センターは、日米主導で推進する統合国際深海掘削計画(IODP)の主要掘削船となる地球深部探査船「ちきゅう」の運用を担う組織である。


2.背景
 地球深部探査船「ちきゅう」(以下、「本船」という)は、水深2,500mの深海域で稼働し、海底下7,000mを掘り抜く能力を備えた世界で初めて科学目的のために建造された海洋掘削船である。さらに、将来的には大水深用(最終目標4,000m)ライザー装置の開発によって、マントル物質を人類史上初めて手に入れることが期待されている。
 本船の運用は、必要とされる技術の専門性などにおいて、世界が未だかつて経験したことのない要素を多く含むものであり、いわば未踏の分野を拓く科学技術の挑戦である。また、本船は2005年に完成し、慣熟訓練後2007年より国際運用を開始する予定であるが、それに伴い、本年度より慣熟訓練のための掘削地点の詳細調査を行うなど、運用開始に伴う準備が本格化してきている。
 このため、本船を安全かつ効率的に運用するべく、各分野の専門家からなる地球深部探査センターを、海洋科学技術センター内に設置することとなった。
 なお、地球深部探査センターの設置については、外部有識者を招いて行われた「深海地球ドリリング計画における運用・技術開発センター(現:地球深部探査センター)事前評価委員会」においても、その設置の必要性が認められている。


3.地球深部探査センターの目的
「ちきゅう」の安全かつ効率的な運用を通じたIODPの科学目的の達成
運航、掘削、科学サービスに関するマネージメント能力の拡大
運用技術に係るノウハウの蓄積及び関連技術の開発


4.設置場所
 海洋科学技術センター 横須賀本部内


5.センター長
 センター長に就任した平朝彦は、海洋地質学・地球進化論の第一人者で、これまで多くの業績を挙げている。


統合国際深海掘削計画(IODP: Integrated Ocean Drilling Program)について
 海洋科学技術センターが建造中である世界最新鋭の各種設備を備えた地球深部探査船「ちきゅう」(2005年完成予定。慣熟訓練後、2007年より国際運用開始予定)と、米国の用意する新たな深海掘削船(2005年より国際運用開始予定)を統合的に運用し、地球環境変動、地震発生メカニズム、海底下の生命圏及びガスハイドレートの生成要因の解明など、地球科学分野及び生命科学分野において画期的な成果を得ることを目指す、日米主導の国際共同研究計画。IODPは2003年10月から開始予定であり、現在、日米以外でIODPへの参加の意思を表明しているのは、独、英、仏を始めとする欧州各国、カナダ、中国等である。


(問い合わせ先)
 海洋科学技術センター
  深海地球ドリリング計画推進室 山西、村田
    電話 0468-67-9297
    FAX 0468-67-9255
  総務部普及・広報課 鷲尾、野澤
    電話 0468-67-9066
  ホームページ http://www.jamstec.go.jp/