平成17年5月25日
海洋研究開発機構
無人探査機「かいこう7000」運用開始のお知らせ

1.概要
 独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 加藤康宏)は、平成15年5月末、二次ケーブル破断事故により、無人探査機「かいこう」ビークルを亡失しました。後継機建造までの間、7,000m級細径光ファイバ式ROV試験機「UROV7K」を改造し、従来のランチャー(親機)と一体化した「かいこう7000」として運用することを進めてきました。(この暫定的措置については、外部有識者による「かいこう」ビークル漂流事故調査委員会においても認められています。)
 平成16年4月から12月までに、4次の海域試験を実施し、改善と調整を続けてきました。
 平成17年3月18日より、最終性能確認のための試験および訓練潜航を、相模湾、南西諸島海溝、伊豆・小笠原海溝で実施した結果、この期間中に2回(3月26日:水深7,053m、4月5日:水深7,035m)の最大深度潜航を行い、水深7,000mで各機器が所期の性能を発揮することを確認しました。現在、世界トップクラスの潜航深度を持つ無人探査機「かいこう7000」として運用の準備が整い、平成17年5月中旬より、公募による調査潜航を開始しました。

2.海域試験について
 平成16年度は、相模湾、日本海溝、四国海盆等で4次にわたる海域試験を実施し、安全装置、電源、推進機(スラスター)、マニピュレータ等、改造を行った装置の調整および改良を進めてきました(参考1)。平成17年3月から4月にかけて行われた最終性能確認のための試験潜航では、合計14回の潜航(水深1,000m〜2,000mに5回、4,000m〜6,500mに7回、7,000mに2回潜航)を行い、採泥、生物観察、係留系の回収等、実運用に備えた訓練を実施しました(参考2)

3.平成17年度「かいこう7000」調査航海スケジュール
 「かいこう7000」は、「かいこう」に比べて作業能力はやや劣りますが、調査・観察能力は同等で、位置発信装置(GPS無線機・アルゴス装置)やフラッシャ等を追加し安全対策は、はるかに向上しています。今年度は、水深2,500mを超える海底において、観測装置の設置・回収、海底地形や熱水噴出孔の調査を予定しています。

(平成17年度調査スケジュール)
【観測装置の回収】
  ・平成17年5月13日〜5月22日  南大東島東方海域 水深約3,300m
    研究課題名:地球電場の観測的研究(東大地震研)
【観測装置の設置・回収】
  ・平成17年6月23日〜7月2日  日本海溝 水深約3,300m
   
研究課題名: 沈み込み帯のアスペリティ周辺の動きを探る海底測地基準点の設置と
海底精密測位観測(東北大学大学院)
【観測装置の設置・回収】
  ・平成17年7月10日〜7月24日  北西太平洋海盆 水深約6,000m/6,700m
   
研究課題名: 長期にわたる海底広帯域地震・電磁気観測による地球深部構造イメー
ジング(東大地震研)
    研究課題名:自己浮上型長期海底観測技術の高度化(東大地震研)
【海底地形や熱水噴出孔の調査】
  ・平成17年8月16日〜8月27日  伊豆・小笠原弧 水深約2,500m
    研究課題名:AUVを使用した小笠原弧熱水噴出域探査(東大海洋研)

[参考資料]
   参考1   「かいこう」ビークル/「かいこう7000」ビークルの性能比較表
   参考2   「かいこう7000」最終性能確認試験(平成17年3月〜4月)の写真

問い合わせ先
  海洋研究開発機構
研究支援部海洋技術グループサブリーダー 村島 崇・橋本 菊夫
     TEL:046-867-9932
 FAX:046-867-9915
  総務部普及・広報課長 高橋 賢一
     TEL:046-867-9066
 FAX:046-867-9055
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