平成18年3月29日
独立行政法人海洋研究開発機構

東アジアでは過去約30年(1971-1996年)、
晴天の頻度が増加、しかし豪雨をもたらす巨大積乱雲の頻度も増加
〜「地球温暖化」などの人間活動による影響か〜

 海洋研究開発機構(理事長 加藤康宏) 地球環境フロンティア研究センター 水循環変動予測プログラムの安成哲三プログラムディレクターと遠藤伸彦研究員は、長期にわたる地上からの気象台職員による雲の目視観測データを解析し下記を明らかにした。
(1)1971年から1996年の26年間に夏季の中国全土で晴天の頻度が増加し、積雲の出現頻度が減少。
(2)中国南部では豪雨をもたらすと考えられる積乱雲の出現頻度は減少。
(3)ところが同地域では積乱雲が出現したときの雲量は逆に増加、すなわち、いったん出現した積乱雲は、発達する傾向が近年、強くなっており、したがって、豪雨をもたらしやすいことを示している。

 東アジアについてこのような雲量変動の傾向を明確に示した結果は、本研究が世界で初めてである。(本研究の「背景」、「成果」、「今後の予定」、別紙-1
 今回得た成果はIPCCなどで議論されている「地球温暖化」を含め、東アジアにおけるエアロゾル増加や土地利用改変などに関連した水循環過程の変化の新しい観測事実として重要であり、東アジアにおける気候予測の精度向上に役立てられることとともに気候モデルの性能評価を行う際にひとつの指標として利用できる。 この成果はアメリカ気象学会誌「Journal of Climate」に近日中に掲載される。


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