1.経緯
   海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センター気候変動予測研究プログラム(プログラムディレクター 山形俊男)では、研究成果の社会還元を念頭に置いた「日本沿海予測可能性実験 (JCOPE) 」の一環として海洋変動予測実験を平成13年12月に開始し、その成果(海流、水位、水温、塩分濃度の高解像度予測データ)をホームページ上で公開するとともに、平成15年11月からは希望者に提供を行ってきた。
   この取り組みをより広く発展させる目的で、主たる適用先のひとつである外航海運における実利用を念頭に、海洋研究開発機構と日本郵船の関連会社である株式会社MTI(Monohakobi Technology Institute、社長 上江洲 由亘、日本郵船株式会社の100%出資会社)は平成17年度に共同研究を実施し、海洋変動予測システムによる海流予測を実際に外航海運で利用するために必要なモデルの改良と船上で利用するためのシステムを共同で開発した。現在、特許出願中。この共同研究には、株式会社三菱総合研究所と株式会社海洋総合研究所も参加した。
   このシステムを用いた机上試験(別紙1参照)によると北部太平洋航路で最大2%程度の海流による燃料節減効果が見出せるとともに、日本郵船株式会社運航のコンテナ船1隻、自動車運搬船2隻を用いた太平洋横断実証試験(別紙2参照)でもその有効性が確認された。(これら机上試験、実証試験の結果から、例えば、海流予測の精度が究極的に向上し東アジア・北米間のコンテナ輸送船団がこの海流予測情報を最大限有効活用出来た場合を想定すると、現在の原油価格水準で年間約 50億円規模の燃料代節減効果をもたらすことになる。)

2.「海流予測情報利用有限責任事業組合(LLP)」の概要

  • (1)名  称:海流予測情報利用有限責任事業組合
       (「有限責任事業組合契約に関する法律」に基づく組合)
  • (2)設立年月日:平成18年5月24日
  • (3)所 在 地:東京都千代田区
  • (4)事業内容 :
    • 1.船会社等による試行的利用のための「海流予測情報」の作成・加工・販売
    • 2.研究等目的の「海流予測情報」の作成・加工・販売
    • 3.船上観測データの収集と販売
    • 4.船上観測データの収集と販売
  • (5)連絡事務所:独立行政法人海洋研究開発機構 東京事務所内
  • (6)組合員 : 7名
    (代表) 山形俊男 東京大学大学院理学系研究科 教授
        海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センター
        気候変動予測研究プログラム プログラムディレクター(兼務)
      宮澤泰正 海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センター
        気候変動予測研究プログラム 研究員
    株式会社三菱総合研究所(職務執行者5名)

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