平成18年6月29日
独立行政法人海洋研究開発機構

地球深部探査船「ちきゅう」の運用について

   海洋研究開発機構(理事長:加藤康宏)は、地球深部探査船「ちきゅう」について、平成19年秋からの国際運用開始を目指し、試験運用を行ってきております。同船は我が国としては初めて、国際的に見ても最新鋭の大深度海洋掘削設備を有しており、昨年7月の完成・引渡し後、各種機器の性能・作動確認、全体としてのシステム調整、操船確認等について、関係機関の協力を得つつ、機構の職員が直接運用(「自主運用」)を行って参りました。この間、昨年秋にはピストンコア採取試験による地質試料の採取、位置保持システムの実証試験等を行い所要の結果を得ることができました。
   本年夏からは、下北半島東方沖において初のライザー掘削試験を実施する予定であり、少しでも早く本来の運用体制(専門機関への運用委託)において効率的な運用を行うことが重要と考え、これまで関係機関と調整して参りました結果、この程調整が整い、7月1日から、(株)グローバルオーシャンディベロップメント(GODI)社に対して「ちきゅう」運用委託を行うことといたしました。

1.これまでの経緯
平成17年7月 「ちきゅう」が竣工し、自主運用開始
平成17年10〜12月 下北半島東方沖において自動船位保持装置(DPS)等各種システム性能試験
平成17年12月 駿河湾においてBOP(噴出防止装置)設置試験
平成18年3月 「ちきゅう」運用管理委託検討委員会(委員長:斉藤常正 東北
大学名誉教授)が自主運用段階以降の運用形態を検討
(GODI社が海外掘削技術社と提携したうえで運用を受託する ことが適当と結論)
平成18年3〜5月 保証工事
この間、横浜、横須賀、名古屋、八戸、高知、宿毛、神戸、大阪において一般公開

2.運航委託体制
・海洋研究開発機構が全体の運用計画を策定
・海洋研究開発機構が「ちきゅう」運用をGODIに委託
GODI社は海外掘削事業者(シードリル社)と連携契約を締結し、「ちきゅう」の運航及び掘削を実施
なお、今後掘削技術の国内技術移転を積極的に進めていく予定です。

3.今年度の試験運用計画
7月中   掘削試験準備
8月上旬〜10月下旬(11月上旬)
下北半島東方沖(水深1200m)においてライザー掘削試験
基本的なライザー掘削手順(別添-1)に基づき、試料採取までの試験を行う。
主な 検証試験は、以下の通り。
・ケーシングパイプの設置とセメンチングユニット試験
・ライザーパイプ及びBOPの降下及び海底設置試験
・緊急離脱システム性能試験
・試料(コア)採取システム性能試験
・物理検層及びシステム性能試験

なお、下北半島東方沖掘削試験以降については、試験運用期間中において出来る限りの掘削技術を蓄積するため関係機関と具体的計画を協議中です。

4.下北半島東方沖 試験掘削地点図 (別添-2
下北半島東方沖約80km、水深約1200m 掘削深度約2200m(科学掘削としては世界最高で、世界最深部の試料採取が期待)

<お問合せ先>
独立行政法人海洋研究開発機構
地球深部探査センター 企画調整室長
田中 武男
TEL 045−778-5640

経営企画室 報道室長
大嶋 真司
TEL 046−867-9193