平成18年6月30日
独立行政法人海洋研究開発機構
独立行政法人海上技術安全研究所

海洋研究開発機構と海上技術安全研究所が
海洋研究開発分野における包括的連携推進のための基本協定を締結

   海洋研究開発機構(理事長 加藤康宏)と海上技術安全研究所(理事長 中西堯二)は、海洋研究開発機構が運用する地球深部探査船「ちきゅう」(写真1及び表1)による大水深ライザー掘削※1技術の開発等を含む「次世代海洋探査技術」※2や、海洋の空間及び未活用資源の利活用の基盤となる浮体技術等、海洋研究開発分野における広範な連携・協力に関する基本協定を本日締結しました。
   これまで、海洋研究開発機構と海上技術安全研究所とは、「ちきゅう」の計画・開発段階から協力することや「フレキシブルパイプの動的挙動の研究」(平成14年度終了)等について共同研究を実施するなど、広範囲に渡る研究開発面の協力を行ってきました。
    今般、総合科学技術会議で策定された第3期科学技術基本計画(平成18年3月28日閣議決定)において「次世代海洋探査技術」が「国家基幹技術」として、また「外洋上プラットフォーム技術」※3が「戦略重点科学技術」として位置付けられ、海洋研究開発分野での次世代技術の開発に対する期待が高まる中、同分野での研究開発を担う我が国の中核的研究機関である両独立行政法人が、本協定によって個々個別にではなく包括的に連携し、これらの技術開発を強力に推進していくことにより、海洋研究開発分野の革新的技術の創出を図ります。

1.基本協定の名称

   独立行政法人海洋研究開発機構と独立行政法人海上技術安全研究所との間の海洋研究開発分野における包括的連携推進のための基本協定

2.連携・協力内容

   海洋研究開発分野の革新的技術の創出に必要な人材の交流や模型実験・実海域実験の情報・データ交換、共同研究の実施等について理事クラスでの定期的な連携・協力調整会議を開きつつ、包括的に連携し、協力を行います。

3.期待される効果

   「ちきゅう」や深海無人探査機の研究開発においても実績を有する海洋研究開発機構と、世界最深で多方向不規則波や流れも再現できる深海水槽(写真2及び表2)や400m試験水槽(写真3及び表3)等多くの実験施設及び船舶海洋工学・深海技術に関する研究実績を有する海上技術安全研究所との間で協力協定を締結することにより、船舶海洋工学・深海技術開発の分野で世界トップレベルにある両研究機関の組織的交流、研究資源の有効利用、成果の相互活用等が図られ、国家基幹技術である「次世代海洋探査技術」等海洋研究開発分野を担う革新的技術の創出が可能となることが期待されます。

4.協定期間  平成18年6月30日から平成23年3月31日

<報道担当・お問い合わせ先>
(協定の内容について)
独立行政法人海洋研究開発機構
地球深部探査センター 技術開発室 小橋、難波
TEL:045-778-5932, 5913 FAX:045-778-1883
海洋工学センター 先端技術研究プログラム 青木、宮崎
TEL:046-867-9370, 9383 FAX:046-867-9375
独立行政法人海上技術安全研究所
企画部    山崎
TEL:0422-41-3582 FAX:0422-41-3247
(報道担当)
独立行政法人海洋研究開発機構
経営企画室 報道室長 大嶋 TEL:046-867-9193  FAX:046-867-9199
独立行政法人海上技術安全研究所
企画部 米林
TEL:0422-41-3644  FAX:0422-41-3247
<補足説明>
※1 「ライザー掘削」
   ライザー掘削は、ライザー管と噴出防止装置(地底からの高圧気体・液体の暴噴を防止する装置:高さ14.5m、重さ380ton)を用いて、ライザー管内で泥水を循環させることにより、孔壁を保護しつつ掘削を行う方式。従来の非ライザー掘削に比べ、大深度の掘削が可能となる。
※2 「次世代海洋探査技術」
   同技術は、総合科学技術会議で策定された第3期科学技術基本計画において、長期的な国家戦略を持って取り組むべき重要技術である「国家基幹技術」として位置付けられた技術であり、地球深部探査船「ちきゅう」による世界最高の深海底ライザー掘削技術の開発及び、次世代型深海探査技術の開発(次世代型巡航探査機技術の開発及び大深度高機能無人探査機技術の開発)により構成される。
※3 「外洋上プラットフォーム技術」
   同技術は、第3期科学技術基本計画期間中に重点投資する対象である「戦略重点科学技術」として位置付けられた技術であり、海洋に賦存する膨大な未活用資源及び海洋空間を有効利用するための基盤技術の開発である。