プレスリリース



2011年 12月 2日
独立行政法人海洋研究開発機構

東北地方太平洋沖地震震源域近傍の海底地形変動
〜海溝軸まで達した断層破壊〜

概要:

独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 加藤康宏)地球内部ダイナミクス領域の冨士原技術研究主任らは、東北地方太平洋沖地震震源域近傍における海底地形変動の検証を進めています。今回新たに2004年に実施した海底地形調査データも加え、海底地形の変動量を評価しました(平成23年4月28日の既報では、1999年と2011年のデータの比較を行い、海底地形の変動量を報告)。

その結果、1999年から2004年では海底地形の変化は認められないことを確認し、今回の地震後の観測では、震源近傍から海溝軸に至る領域が東南東方向に約50 m、上方に約7〜10 m移動()したことが明らかとなりました(移動量については、今回さらに詳細な検討を実施)。

本成果については、12月2日付(日本時間)の米科学誌「サイエンス」に掲載されます。

タイトル:
The 2011 Tohoku-Oki Earthquake: Displacement Reaching the Trench Axis
著者名:
Toshiya Fujiwara1, Shuichi Kodaira1, Tetsuo No1, Yuka Kaiho1, Narumi Takahashi2, Yoshiyuki Kaneda2
1.独立行政法人海洋研究開発機構・地球内部ダイナミクス領域、 2.独立行政法人海洋研究開発機構・地震津波・防災研究プロジェクト

(注:海溝の沖合側(太平洋プレート側)を基準とした相対値)

図1

図1 調査域海底地形図。図中の黄色い枠が調査測線を、×印は平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の本震の震央位置を示す。

図2

図2 2011年の調査測線に沿った海底地形図(位置は図1を参照)。赤△は海溝軸の位置、青△は東北側(東北日本弧側)の傾斜変換点の位置を示し、海溝軸へ向かって急傾斜になる。

図3

図3 2004年と1999年の海底地形の比較
顕著な海底地形変化が見られない。緑や黄色の部分は誤差(海底地形データは、水深に対して0.5%程度の誤差をもつ)

図4

図4 2011年(地震後)と2004年の海底地形の比較
東北側(東北日本弧側)が全体にわたり海底地形が上昇している(点線・実線で示した部分)。そのうちの実線で示した部分(青△より海溝側)は、起伏が大きく変位量が読み取りやすいため移動を確認できた領域。図5の海底地形の比較(既報)と同様の傾向が見られる。海溝軸付近に黄色の星印で示した地形変化(凹凸地形)は、海底地すべりにより生じたと推定される。

図5

図5 2011年と1999年の海底地形の比較(2011年4月28日既報の図)
詳細に検討した結果、移動量(計算値)は東南東に56m、上方に10mと計算された。

図3〜5を比較した結果、大きな海底地形の変動は2004年以降に生じたことが確認された。震源近傍から海溝軸に至る領域の海底地形の変動量は、東南東方向に約50 m、上方に約7〜10 mと推定される(図5)。

お問い合わせ先:

独立行政法人海洋研究開発機構
(本研究について)
地球内部ダイナミクス領域 海洋プレート活動研究プログラム 海洋底ダイナミクス
観測研究チーム 技術研究主任 冨士原 敏也  046-867-9324
(報道担当)
経営企画室 報道室 奥津 光 電話:046-867-9198