北海道大学低温科学研究所の青木 茂准教授、海洋研究開発機構の勝又 勝郎主任研究員、東京海洋大学、水産研究・教育機構らによる共同研究グループは、オーストラリア南方の南極海の海底付近において、これまで加速度的に低くなってきているとされてきた塩分が、2010年代に反転して急激に高くなりつつあることを見出しました。これまで減ってきていた重い水の量も増えています。こうした海の変化の実態は、水産庁の開洋丸による広域海洋調査や東京海洋大学の海鷹丸による観測航海といった近年の日本による観測を、世界の過去の観測も含めて比較することで判明しました。この変化は、南極深海の海洋循環が強まりつつある可能性も提示しています。変化の原因は、この海域の上流側に位置する南極の棚氷の融解が、ここ何十年か加速してきていたものの、2010年代の前半に弱まったことにある可能性があり、南極氷床と深海との連動性を示すものです。今後の動向を見極めるためには、南極海モニタリング観測網の整備により、変化の傾向を引き続き注視していく必要があります。
本研究成果は、2020年9月15日(火)公開のScientific Reports誌に掲載されました。
詳細は北海道大学のサイトをご覧ください。