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プレスリリース

2020年 11月 5日
国立研究開発法人国立環境研究所
国立研究開発法人海洋研究開発機構

大気観測が捉えた新型ウイルスによる中国の二酸化炭素放出量の減少
~波照間島で観測されたCO2とCH4の変動比の解析~

国立環境研究所環境計測研究センターの遠嶋康徳らと海洋研究開発機構物質循環・人間圏研究グループのPrabir K. Patraの研究チームは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の制限により中国における化石燃料消費による二酸化炭素の放出量が減少したことを、日本へ移流してくる大気の観測から検出することに世界で初めて成功しました。日本最南端の有人島である波照間島は、冬の間アジアモンスーンの影響により中国の汚染空気の影響をしばしば受けることが知られています。そこで、波照間で観測された大気中二酸化炭素(CO2)とメタン(CH4)の変動比(ΔCO2/ΔCH4)を詳細に解析し、2020年2月にその変動比が急激な減少を見せたことを明らかにしました。大気輸送モデルを用いてCO2とCH4の変動比を計算し、観測結果と比較することで、中国の化石燃料消費量がそれまでの値に比べて2月に約30%、3月に約20%減少したと推定しました。今回提案された手法は、大気観測が国別・地域別温室効果ガス排出量の客観的な検証に役立つことを立証したものであり、今後パリ協定に基づく排出削減検証への応用が期待されます。

本研究の成果は、令和2年10月29日付でSpringer Natureから刊行される自然科学分野の学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。

詳細は国立環境研究所のサイトをご覧ください。

国立研究開発法人海洋研究開発機構
海洋科学技術戦略部 広報課
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