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話題の研究 謎解き解説

東アジアの人為的CO2排出量の過大評価を補正する新しい手法と知見

【目次】
東アジアにおける炭素収支の問題
大気化学輸送モデルとメタンを利用した新たな手法で、CO2排出量を推定
東アジアにおける化石燃料起源のCO2排出量の過大評価を補正
気候変動に関する取り組みに役立つと期待

気候変動に関する取り組みに役立つと期待

この研究は、どのようなことにつながるのでしょうか。

CO2とメタンの解析結果を組み合わせる解析手法は世界初です。CO2排出量の推定方法の精度向上に役立つと考えます。そして、温室効果気体の科学的知見を取りまとめている気候変動に関する政府間パネル(IPCC)やグローバルカーボンプロジェクト(GCP)の活動に貢献すると期待されます。

今後はどんな研究をされるのですか?

この研究はJAMSTECで行ったのですが、現在(2017年)私は国立環境研究所に籍を移しました。こちらでは、航空機や人工衛星による観測データも使って、炭素収支をはじめメタン循環などの研究をする予定です。新たなモデルも使うので、使い方など一からまた勉強し直しているところです。

JAMSTECの今後の研究についてもパトラさんに話を聞いてみましょう。パトラさんはインドの出身です。

佐伯さん、通訳をお願いします。ハロー、ドクターパトラ。今後はどんな研究をお考えですか?


写真3 プラビール パトラ 主任研究員

中国やインドを含むアジアは、温室効果気体の排出が多いとされていますが、不確実な部分が多く残されています。今後も、大気化学輸送モデルと、過去数十年にわたる地上観測や航空機による観測データを利用して、CO2とメタン、また他の物質も併せて解析することにより、全球やアジア域の炭素収支・メタン収支の研究を進めていきたいと考えています。そして、温室効果気体の循環の解明に資するだけでなく、政策立案や排出規制の効果検証の要求に応えられるような科学的根拠となる知見を提供できたらと考えます。

佐伯さん、パトラさん、ありがとうございました。