【目次】
▶ 超高感度センサーなどによる観測データを解析
▶ 間隙水圧が示したゆっくり滑り
▶ 開発は、ひたすらバグ出しと手当て
そうですね…。各種センサーのバグ出しに手間はかかりました。
長期孔内観測装置の設置は地球深部探査船「ちきゅう」で行います。たとえばC0002Gでは水深約2,000mの海底を掘り、孔にケーシングパイプを入れて、そこから約900mまでの深さに観測装置をいれます。これは海底にあいた孔に糸を通すようなものです。しかもその途中には黒潮の強い流れがあります(図11)。
厳しい条件だとある程度は知っていても、実際現場で何が起きるかはわかりません。長期孔内観測装置を壊さずに海底まで降ろし、さらに孔の中に入れて長期間観測するには、いかに様々な試験を陸上で行いバグ出ししておくかが重要です。
とはいえ、陸上に海の現場をそのまま模擬できるものはありません。どうすれば同等といえるのか考えてあらゆる試験をしました(写真4)。そうした中で黒潮による振動は予想以上に大きく、センサーが振動で壊れてしまうことが判明しました。そこで試行錯誤しながら、海流による振動はセンサーを吊り下げるドリルパイプにロープを這わせれば軽減できることを見出したり、センサーの固定法を改善するなど振動に強いセンサーの開発をしたりしました。
泥臭いと言ったら変かもしれませんが、ひたすらバグをだして手当てしていくのが、ある意味開発だと思います。
嬉しいですよ。自分で作った道具によって初めてわかるような現象が見えた瞬間は、やりがいを感じます。
でも、そこに至るまでに多くの失敗があります。経験が次につながるかもわかりませんでした。それでも取り組み続け、少しでも良くするということを続けた結果、形にはなったと思っています。だから、やってみないとわからないことはたくさんありますが、取り組み続け、最大限に学んでいかないといけないですね。
勉強もまじめにしましょう。やっぱり理論的なことをしっかり勉強しておくことが大切です。それが実際のサイエンス・エンジニアリングなどにつながっていくと思います。