【目次】
▶ 最初の生命は、従属栄養か独立栄養か?
▶ 始原的な微生物Thermosulfidibacter
▶ 全ゲノム解析から出てきた謎
▶ どのようにして炭素固定をしている?
▶ 混合栄養生命説
今回分析したのは、2003年に沖縄県与那国島周辺の水深1,370mの熱水域で採集した微生物Thermosulfidibacter takaiiです(写真2)。Thermosulfidibacterと呼びます。
写真2 好熱性水素酸化硫黄還元細菌Thermosulfidibacter takaiiの細胞。名の由来は、著名な微生物ハンターでもある高井研分野長。布浦さんにとって高井さんは、大学の研究室に配属されたときに初めて一緒に実験をした先輩であり、少し前までは上司。
私が有人潜水調査船「しんかい6500」(写真3)で潜航し、約90度の熱水が湧き出す海底に設置した現場培養装置を回収し(映像)、その中の試料から単離・培養しました。
Thermosulfidibacterは非常に始原的な微生物です。水素と硫黄があれば自ら有機物を作ることも、有機物を食べることもできます。
両方できます。あまり知られてはいませんが、そのような微生物はほかにもいますよ。