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話題の研究 謎解き解説

赤道上の成層圏を吹く不思議な風の、崩壊現象の再現に成功【後編】

【目次】
大気の層を薄く切ることがカギ
2つのモデルのハイブリッドとして開発したJAGUAR
季節予報を改良する新たなオプション

季節予報を改良する新たなオプション

今回の成功は、どんなことにつながるのでしょうか。

今回の成功は、もしまた今後QBOの崩壊が生じたとしても、今回と同様の条件ならば、少なくとも1か月以上前から予測できるという可能性を示唆しました。もちろん一足飛びに季節予報の改良に結びつくわけではありませんが、QBOは地球全体の気候に間接的に影響を与えるため、今後、季節予報を改良する新しいオプションとして、QBOを組み込んだシステムの検討が世界の季節予報センターで進むことが期待されます。

最後に、分野長は、どのような姿勢で研究に取り組まれているのか聞かせてください。

自分が開発し手塩にかけて育てたモデルを使って、新しい現象や昔から謎が残されたままの現象などを解明したいと考えています。

私自身としては、全球モデルを使うことに強いこだわりがあります。たとえば細かい現象を見たいときは、領域をしぼり細かく細かく区切ることもひとつです。しかし私は、全球モデルで地球全体を表現した上で、その現象を見たいと思っています。全体の中でその現象がどのような役わりを持っているかを見極めたいからです。そう思うのは、出発点が「グローバル気象学」だからかもしれません。

ありがとうございました。