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話題の研究 謎解き解説

最新スーパーコンピュータ技術を駆使して暑さから人々を守る!
ヒートアイランド対策に「地球シミュレータ」による予測結果を活用

【目次】
ヒートアイランド現象とは?
暑熱環境シミュレーション
樹木モデルと都市3次元放射モデルを実装したMSSG
結果に基づき、実際に整備へ
難題こそおもしろそう

結果に基づき、実際に整備へ

結果はいかがでしたか。

こちらが、結果の動画です。


動画4 ヒートアイランド対策前後の比較

日陰が増えたりとヒートアイランド対策の効果が見て取れますね。

はい、対策領域の気温は対策前より0.7°C低下しました(図12)。

図12 暑熱環境シミュレーションから得られた地表面温度。左:対策前、右:対策後(千鳥配置の植樹と遮熱舗装後)

特に樹木を植栽する小森のオアシス付近は、0.9°C下がる可能性が示されました。駐車場からラグビー場へのルートには、高木を植栽して並木にすることで新たに40%の木陰ができました。その時に、小森のオアシス沿いの並木道の樹木については、並行に配置するよりも千鳥配置に植えた方が木陰が多くなることもわかりました。また、地面には遮熱舗装を施すことによって、地表面温度がひなたで約9°C下がることが示されました。

対策領域の暑さ指数は大きく改善し、熱中症で「厳重警戒」または「危険」となる地点が20%減りました。

危険地点が20%減るのは大きいですね。

この結果に基づき、熊谷スポーツ文化公園では現在工事が行われていて(写真3)、2018年8月末には完成する見込みです。

写真3 暑熱環境シミュレーション結果に基づき整備が進められている公園(2018年5月11日撮影,埼玉県環境科学国際センター提供)

暑熱環境シミュレーションは別の場所でも行ってきましたが、熊谷スポーツ文化公園のように検討段階からこの技術が使われ、その結果に基づき工事が実施されたのは初めてです。我々の開発した技術がようやくここまで到達し、本当の意味での社会実装が実現しました。今後、別の場所で暑熱対策に取り組みたい方が出た時にも役立つと思います。