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話題の研究 謎解き解説

世界初、AUV複数基運用による海底下構造調査に成功
海洋鉱物資源調査の効率化に期待

【目次】
海底資源として期待される熱水鉱床
初のAUV2機同時運用による海底下構造調査
2機の距離を一定に保つのが大変
“AUVを開発するチーム”と“AUVで観測研究するチーム”が一緒に技術開発

2機の距離を一定に保つのが大変

2機のAUVを同時に使うという挑戦は、いかがでしたでしょうか。

笠谷:この調査では、海底広域研究船「かいめい」船内の第1研究室にいる私が無線を使って「ゆめいるか」と「じんべい」の各コントロールルームに指示を出し、2機のスピードをコントロールして、2機の距離の調整を行いました。AUV2機の距離を一定に保ちながら走らせるのが難しく、非常に神経を使いました。


図11 船内配置

神経を使ったというのは?

笠谷:「じんべい」と「ゆめいるか」は、設計のコンセプトが違うため、形も仕組みも全く違います。たとえば機体にX字型にある舵は、「じんべい」は後方4枚ですが、「ゆめいるか」は前方と後方に4枚ずつです。そのため、水流に対してまったく違う運動特性を示します。例えば、地形の起伏の乗り越え方も違います。


図12 起伏の乗り越え方の違い

笠谷:距離を調整するには片方のAUVを増速させるか減速させるかになりますが、電気探査の場合は、送信部と受信部の距離が重要なので、2機間の距離をうまく調整することが必要です。私はモニターに表示される位置情報などを見ながら、これまでの経験から体得してきた2機の特性や挙動の癖を踏まえて動きを予測し、各コントロールルームに指示を出しました。必死でした。


写真4 第1研究室にあるAUVなどの位置情報などを表示するモニター

鈴木:笠谷さんは猛獣使いのように2機のAUVを使って調査をしたんですよ。

そして見事得られた観測データから無事に熱水鉱床を検出。そのときのお気持ちはいかがでしたか?

笠谷:意外とできた、です。 実は、自然電位データは確実に取れるだろうだと思っていましたが、見かけ比抵抗については2機間の距離の調整がうまくできるか、ビークルのノイズの影響がどの程度出るのか、など色々心配していたのです。