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話題の研究 謎解き解説

高知コア研究所 大解明!
=応用研究編=

【目次】
バイオジオリアクターラボ
パーテーションのないところで生まれる研究!
分野の垣根を越えた融合研究で、活躍を目指す

パーテーションのないところで生まれる研究!

コア研の研究はとても興味深いですね。

畠中:リフレッシュコーナーで、他の研究者にも話を聞いてみましょう。コア研は専門分野の垣根を越えてディスカッションを行うので、研究の新しい視点が生まれやすい環境だと思います。

こんにちは。石川所長から、コア研では融合的な研究が行われていると聞きました。

星野:色々あります。例えば、2011年に東北地用太平洋沖地震で断層滑りが浅部にまで伝わったために巨大津波地震が起こったことがわかりました。この結果から断層物性研究グループの濱田 洋平さんが「断層に微生物が作る炭酸カルシウムがセメントのような働きをして地震時の浅部に届く滑りを抑えて津波を軽減できるのでは?」というアイデアを出しました。その話を聞いた私は、微生物の専門家としてその研究に参加しています。

図5 地震発生時の断層深部のすべり(紫色)と海溝付近の断層浅部のすべり(赤色)。セメント物質をつくり出す微生物をまぜた溶液を断層浅部に送り込んで断層を固めることで、津波の高さを抑えてしまおう、というのが将来的な目標。

谷川:私は、「黒田郡(くろだごおり)」について高知大学と共同研究をしています。黒田郡は684年の白鳳地震によって水没した場所だと伝承されていて、その伝承との関係を示唆する海底構造物が高知県各地で確認されています。黒田郡の調査を通じて南海地震の解明を進めれば、将来発生が予想される南海地震の発生メカニズムの理解をさらに深めることが期待されます。


写真3 黒田郡のポロシャツを見せる谷川亘主任研究員。その姿をあたたかく見守る研究者たち。

濱田さんは微生物と地震の分野、谷川さんは考古学と地震の分野。伊藤さんの話では、NanoSIMSやTEMも、分野をまたぎ研究に利用されていましたね。融合的な研究とは、そういうことなのですね。

谷川:そうそう。デスクワークを行う居室にはパーテーションがありますが、あれはよくない。このリフレッシュスペースにはパーテーションがありません。それが大事。ここでの何気ないおしゃべりから、研究の話になり自由闊達なディスカッションが生まれ、その結果新しい研究が生まれるのです。

素晴らしいです!