「みらい」北極航海レポート

2008年8月26日(火) アラスカ夏時間

ダッチハーバー出港

ダッチハーバー出港

穏やかな港内での一夜を過ごした「みらい」は、本日9時にダッチハーバーの岸壁を離れ、北極海へ向けて出帆しました。予定では二日後に北極海の太平洋側の入り口であるベーリング海峡へ到達することになっているので、本格的な調査はそれからになります。  午前中に島田首席から行われたブリーフィングでは、現在の北極海における海氷の状況は観測史上最小となった2007年に次ぐ少なさであり、高緯度での観測も期待できるとのことです。ただし2007年とは違い、北極海の太平洋側では海氷があちこちに点在しているため、どのような進路で観測を進めていくかという点では、難しい選択に迫られているとのことでした。  海氷の減少が著しい北極海の太平洋側は、ベーリング海峡を通じて太平洋の海水が流れ込む海域にあたります。今回の北極航海では、このベーリング海峡を起点とし、海氷減少の実態を、海水採取・分析等の現場観測によりとらえ、そのメカニズムを明らかにすることが大きな目的です。また本航海では、海水のみならず、データが不足している北極海での大気観測や海底堆積物の採取・分析など、気候変動の解明を目的とした総合的な観測を行う予定です。

赤嶺正治船長  出港後まもなく、ダッチハーバーからの乗船者に向けたオリエンテーションが船内で開かれ、午後には避難訓練が実施されました。訓練では、あらかじめ浮力が付いたイマーションスーツの装着方法や、実際に救命艇へ乗り込む際の手順などが紹介され、安全に対する意識を深めるいい機会になりました。  「みらい」が就航した1997年以来、船長としてすべての北極航海に参加してきた赤嶺正治船長は、極地観測でも力を発揮する特殊装置や大型観測機器など、「みらい」だからできる優れたパフォーマンスを最大限にいかして、観測研究に貢献したいと、本航海に対する抱負を語ってくれました。 操船にあたる方々の強力なバックアップを得て、「みらい」は一路ベーリング海峡を目指します。

(「みらい」北極航海取材チーム)