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沖縄トラフ熱水活動域「ちきゅう」掘削孔を利用した潜航調査計画 in NT10-17

乗船研究員・船長のご紹介

首席研究者

阿部 なつ江

阿部 なつ江(あべ なつえ)
理学博士
独立行政法人海洋研究開発機構
地球内部ダイナミクス領域 地球内部ダイナミクス基盤研究プログラム 海洋底ダイナミクス研究チーム
研究員


目的
南東太平洋における海洋底観測により、地球内部のコア(外核)の変動を解析し、マントル深部からの上昇流(プルーム)のイメージングを行う。さらにチリ沖において、海洋プレート形成現場である中央海嶺とその中央海嶺が大陸下へ沈み込む現場を観測することにより、海洋プレートおよび大陸地殻形成プロセスの解明をめざす。またチリ沖では、近年日本近海で発見された新しいタイプの火山「プチスポット」の調査も兼ねている。






原田 尚美

原田 尚美(はらだ なおみ)
理学博士
独立行政法人海洋研究開発機構
地球環境変動領域 物質循環研究プログラム 古海洋環境研究チーム
研究代表者


目的
過去において北半球では、数十年から数百年スケールで変動するダンスガード - オシュガーサイクル(D-O サイクル)と呼ばれる急激な気候変動が確認されている。この温暖―寒冷変動の実態を明らかにすることは、将来の温暖化後の環境変化を推測する上で重要な研究テーマである。氷床コアによると、北半球と南半球では、D-O サイクルがシーソーのように北が寒冷化しているとき、南では温暖化していたと推測されているが、D-O サイクルに連動して南半球の海洋環境がどう応答して来たのかわかっていない。そこで、チリ沖において海底堆積物を採取し、南半球ではD-Oサイクルに伴ってどのように気候変動が生じていたのか調査することを目的とする。






原田 尚美

村田 昌彦(むらた あきひこ)
理学博士
独立行政法人海洋研究開発機構
地球環境変動領域 海洋環境変動研究プログラム 海洋循環研究チーム
主任研究員


目的
人間活動により、大気中にCO2が放出されている。この放出されたCO2を人為起源CO2と呼ぶが、産業革命(1750年頃)以来、この影響で大気中のCO2濃度は増加している。海は人為起源CO2の30%から50%を吸収しているという報告があるが、実際の海は温暖化をはじめとする気候変動の影響で、いつも一定の割合で人為起源CO2を吸収しているわけではない。本航海では、過去10年間程度の期間で、海がどの程度の人為起源CO2を吸収したのか、海洋内部のどこに輸送され蓄積されているのか等、を明らかにするために、1994年に観測が実施されたラインを再観測する。これらのシグナルは微弱であるため、高精度観測を実施する。






内田 裕

内田 裕(うちだ ひろし)
理学博士
独立行政法人海洋研究開発機構
地球環境変動領域 海洋環境変動研究プログラム 海洋循環研究チーム
技術研究主任


目的
太平洋の南緯17度線に沿った観測ラインで大陸間横断観測を実施し、水温、塩分、溶存酸素、流速等を高精度で測定する。これらの高精度データを基に、海洋内部での熱や物質の輸送量を把握するとともに、それらの10年スケールの変動について明らかにすることを目的とする。






佐々木 建一

佐々木 建一(ささき けんいち)
博士(地球環境科学)
独立行政法人海洋研究開発機構
むつ研究所北太平洋時系列観測研究グループ
技術研究主任


目的
海洋大循環は、地球表面の熱・物質を再分配する主要な機構の一つであり、将来の地球の気候変化を予測する上で、この海洋循環についての理解は欠かせない。この航海では、主に熱塩循環と呼ばれる鉛直方向の海洋循環を調べるため、溶存フロン類の分布を観測する。
フロン類は、1930年代に生み出された人工化合物で、通常は気体として大気圏に存在するが、海洋表面の気体交換によってわずかながら表面水にも溶け込み、循環によって海洋内部に広がる。1994年に米国のグループが行った南緯17度線沿いの観測では、深層西岸境界流と呼ばれる流れが速い部分で、南極海起源の深層水に微量のフロン類が検出されている。今回は、主にこの水塊に着目して、フロン濃度の時間変化から、深層循環の時間スケールに関する情報を与えることを目的とする。


海洋地球研究船「みらい」船長

赤嶺 正治

赤嶺 正治(あかみね まさはる)
工学博士



「本航海に臨んで」

「SORA2009」大航海を終えて


職歴

昭和42年 日本郵船株式会社入社 被命三等航海士
昭和48年 被命二等航海士
昭和55年 被命一等航海士
昭和56〜60年 人事院が研究機関として指定する運輸省(現在国交省)認可中央法人日本海難防止協会に日本郵船(株)から出向し、主任研究員として、海上交通、操船、水先制度などの調査研究に従事。この間、東京商船大学(現東京海洋大学)で研究員として船の操縦性を学ぶ。
昭和61〜62年 SECOJを通じ、日本政府が技術供与したモロッコ冷凍船に乗船し、モロッコ船員教育に従事。
昭62〜平成6年 日本郵船(株)技術部門の水路担当として、海洋、港湾、気象・海象などを調査(世界の海、港湾に出張)。並びに船舶の安全効率運航を目的とした最適航路選定業務(航空会社のディパッチャーのような業務)に従事。海上保安庁水路部(現在海洋情報部)、日本水路協会主催の委員会などの委員を歴任。
平成元〜5年 日本・ロシア海運協議に基づく日ロフェリー開設のための港湾調査(沿海州、サハリン、オフォーツク海など)に専門家として参画。
平成2年 被命船長
平成2〜3年 日本船主協会などが主催する北極海航路開設検討会に専門家として参画。
平成5年 日本郵船(株)より当時の運輸省外航課に出向し、国連の専門機関である、IMO(国際海事機関)のマラッカ海峡航行安全専門家委員会に日本政府代表として参画。
平成6〜7年 欧州域のコスト管理、代理店指導のため、長期出張(イタリアミラノ駐在)。
平成7年 日本郵船(株)より(株)グローバルオーシャンディベロップメントに出向し、大型海洋観測研究船運用技術要員長(艤装船長)としてJAMSTEC本部に赴任。
平成9年 海洋地球研究船「みらい」初代船長に就任。現在に至る。