知ろう!記者に発表した最新研究

2011年2月8日発表
複雑な海底でもすいすい走る!
新しい探査機の誕生!

深いふかい海の底。真っくらで強大な水圧のかかるその深海での作業には、たくさんの困難こんなんが立ちはだかります。人間に代わって、そんな海底を安全に走り作業をするのが、探査機です。

けれど、海底はでこぼこの岩場やズルズルすべる砂場など、様々さまざまな地形があります。これまでの探査機では、ちゃんと走れないこともありました。

そこで研究者は、探査機のあし「クローラ」を大きく改良かいりょうして、実際じっさいの海底で走らせる実験をしました。その結果、探査機は、これまで乗りこえられなかった高さのでこぼこを乗りこえ、砂場もスイスイ走ったのです!

この探査機を使えば、人の行けない深海底のどろをとったり、観測装置かんそくそうち設置せっちすることができます。将来しょうらいは、探査機が持ち帰ってきたどろから、新生物が見つかるかもしれません!?


クローラってなに?ブルドーザーのあしような、車輪をベルトでぐるっとかこんだものです。

クローラとは、海底を走る探査機に使われる装置で、中にある車輪が回転しベルトが動くことで移動します。探査機の重さがベルト全体にかかるので、走りやすくなります。

クローラ

図1:クローラ


けれどこれまでの探査機では、岩場ではでこぼこにつっかえたり、砂地ではズルズルすべってしまうことがありました。

クローラの課題

図2:クローラの課題


そこで研究者は、複雑ふくざつな海底でもちゃんと走れる探査機の開発にいどんだのです。

どんな開発をしたの? クローラを改良して、ふくざつな海底でも走れるようにしました

高い段差だんさでも乗りこえられるように、4つのクローラがそれぞれ回転したり前後に動くようにして、地形に合わせて自在じざいにあしが動くように改良しました。

すいすい!

図3:すいすい!

実験はどうだったの? 大成功!

研究者は三重県志摩沖しまおきと沖縄県石垣島いしがきじま周辺で、電気を送るケーブルで探査機を母船とつなぎ、海底におろしました。そして探査機の前後に付けた水中カメラであたりを見ながらコントロールして、海底を走らせました。

実験を行った海域

図4:実験を行った海域


その結果、探査機は、これまで乗りこえられなかった高さのでこぼこを乗りこえ、砂場でもスイスイ走ったのです!急な坂も、問題なし!!実験は大成功!

海底を走るクローラ

写真:海底を走るクローラ

これからはどうするの?

この新しい探査機を使えば、人の行けない深海底でも自在に走り、重要なミッションをまっとうします。研究者は、「さらに大きな探査機を開発して、深海底で実際にどろをとったり、観測装置を設置したい」と話します。

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