知ろう!記者に発表した最新研究

2011年2月17日発表
二酸化窒素濃度にさんかちっそのうど観測かんそくはまかせて!
新しい装置そうち誕生たんじょう

人間の生活によって、大気はつねによごされています。そのよごれの1つに、二酸化窒素というものがあります。二酸化窒素は工場や家庭、自動車などから排出はいしゅつされて風にのって広がり、それを人々がつづけるとぜんそくになったりしてしまいます。さらに、人々の健康けんこう悪影響あくえいきょうをおよぼす光化学スモッグにもつながるので、二酸化窒素の濃度の監視かんし重要じゅうようです。

大気汚染

図1:大気汚染

今回研究者は、その二酸化窒素の濃度を観測する装置を開発して、沖縄県おきなわけんで観測を行いました。その結果、実に高い精度せいどで観測することに成功せいこうしました!!!新装置の誕生です!

研究者は、「新装置で様々さまざまな場所を観測して、汚染対策おせんたいさく役立やくだてたい」と話します。



二酸化窒素ってなに?
大気汚染の原因の1つです

二酸化窒素は、赤茶色をした気体や液体えきたいです。大気汚染物質の1つで、環境基準かんきょうきじゅんでは「1時間測定そくていした濃度の1日の平均が0.04ppmから0.06ppmまで、またはそれ以下あること」とされています。

けれども二酸化窒素は寿命じゅみょうが1日と短い上に、大気中の他の物質と反応はんのうしたりふわふわただよったりするので、濃度は刻々こくこくと変わります。そこで研究者は、濃度をくわしく観測できる新装置の開発にいどみました。


どんな装置を開発したの?

濃度が低かったり、都市などの汚染域(おせんいき)からはなれた場所でも観測できる、すぐれものです!

これまでの装置では、観測できる二酸化窒素の最低濃度は1ppbvでした。新装置では、その10分の1である0.1ppbvでも観測できるように改良しました(図2)。言いかえると、性能せいのうが10倍アップ!環境基準の100分の1の濃度だって観測できるのです。

新装置「MAX-DOAS」

図2:新装置「MAX-DOAS」


さらに、これまでの装置では、設置したその場所を観測するのですが、新装置では設置場所から十数km先を観測することで、低い濃度でも観測できるようにしました。小型化こがたか・省エネ化も実現じつげんしたので、自動で長い期間観測できます。

研究者はこの新装置を使って、空気がきれいな沖縄県で観測をしました(図3)。

観測の結果

図3:観測場所

観測結果はどうだったの? 大成功

新装置が観測した2007年4月から2008年4月までのデータを解析かいせきしたところ、濃度が低い場所でも、実に高い精度で観測していました(図4)!

観測の結果

図4:観測の結果

性能はバッチリ!これを使えば、長い期間しっかり観測できます。

これからはどうするの? 新装置を社会に役立てていきます

研究者は、「新装置で様々な場所を観測して、汚染対策に役立てたい」と話します。

大気汚染は、その地域ちいきだけではなく、地球規模ちきゅうきぼの問題です。この装置があれば、さらに効率こうりつよい改善策かいぜんさくが見つかるかもしれません!

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