プログラム・講演要旨

13:00~13:05 開会の辞
平 朝彦 海洋研究開発機構 理事長
13:05~13:20 趣旨説明 -講演会の聴きどころ-
菊地 隆 海洋研究開発機構 北極環境変動総合研究センター センター長代理
13:20~14:00 コンピュータが予測する北極海の将来
小室 芳樹 海洋研究開発機構 北極環境変動総合研究センター ユニットリーダー

急激に減少を続ける北極海の海氷。最近は夏の海氷面積が毎年のようにニュースをにぎわせるだけでなく、時には「将来、北極の氷は消えてしまう」というような話も聞こえてきます。このような予測は、巨大なコンピュータの中に作られた地球の「模型」である気候モデルから導き出されます。この講演では、過去数十年に渡る北極海での海氷減少を振り返るとともに、気候モデルを使って研究するとはどのようなことかを紹介し、最新の予測結果が示す北極海の将来像についてわかりやすく解説します。
14:00~14:40 北極海は二酸化炭素の吸収域 -海氷が減るとどうなるの?-
安中 さやか 海洋研究開発機構 北極環境変動総合研究センター 研究員

北極海は、大気中の二酸化炭素を吸収していると考えられていましたが、観測が極端に少ないために、詳細はわかっていませんでした。私達は、新たな解析手法を適用することで、北極海およびその周辺海域が、いつどこでどのくらいの二酸化炭素を吸収しているのかを明らかにしました。北極海全体では、海全体が吸収する二酸化炭素の約10%を吸収していることがわかりました。また、二酸化炭素の吸収量は、季節や場所によって大きく変化することもわかりました。地球温暖化に伴って海氷が減少し、それまで海氷に覆われていた海域が大気と直接接するようになったからと言って、必ずしも大気からの二酸化炭素の吸収が増える訳ではないようです。講演では、地球温暖化や海洋酸性化との関係にも触れながら、北極海の二酸化炭素吸収の詳細を解説します。
14:40~14:55 休憩
14:55~15:35 海氷減少に左右される植物プランクトンの運命
藤原 周 海洋研究開発機構 北極環境変動総合研究センター 技術研究員

海氷が劇的に減少している北極海では、海の生き物たちにもさまざまな影響が現れています。「海のふた」のような役割も持つ海氷は、植物プランクトンが生きるために不可欠な太陽の光を遮り、日射による水温の上昇も抑える働きがあります。この「海のふた」が減っている北極海で海洋生態系に今何が起きているのか?私たちは海洋生態系の基盤を支える植物プランクトンの動態に注目し、人工衛星や船舶を使って、海氷減少から植物プランクトンへと連鎖する変化に迫りました。環境変化に真っ先に応答する、北極海の植物プランクトンについて講演します。
15:35~16:15 海氷下を測ろう! -海中観測ドローンの開発-
石橋 正二郎 海洋研究開発機構 北極環境変動総合研究センター 主任技術研究員

現在の、そして未来の地球環境を把握し予測するためには、北極域の環境変化を理解することが大変重要な役割を果たします。そしてこの北極域の海氷および海氷下には、その理解を加速させる大変重要な情報が詰まっています。しかし同時に、この広く厚い氷海に覆われている北極域は、我々人類の接近を拒む極限環境でもあります。そこで現在、我々に代わり、海氷をそして海氷下を自律して観測する新しいロボット「海中観測ドローン」の開発を進めています。本講演では、「海中観測ドローン」が目指す性能とこれを実現するテクノロジーについてご説明します。
16:15~16:55 北極海航路と海氷予測
山口 一 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授

北極海を商業航路として利用できれば、ヨーロッパ・アジア間やアメリカ東海岸・アジア間の距離が、従来のスエズ運河経由やパナマ運河経由の3~4割減となります。近年の北極海の海氷減少は、北極域の資源開発の進行とともに、海上輸送の増大を招いています。しかしながら、海氷は船舶の航行にとって有害な障害物であり、その観測と予測技術の向上は安全かつ経済的な氷海航行に不可欠です。この講演では、海運計画や船舶航行への利用を意識した様々な時空間レベルでの海氷予測の現状と課題、並びに最適航路探索技術による航行シミュレーションをご紹介します。
16:55~17:00 閉会の辞
阪口 秀 海洋研究開発機構 理事