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お祝いメッセージ Congratulatory messages

長年「しんかい6500」の大ファンでいらっしゃるM.I.さんから、25周年を記念してとても素敵なプレゼントが届きましたので紹介したいと思います。北海道在住のM.I.さんは奥様とお子さん2人の4人家族で、何度も一般公開やイベントなどに駆けつけ「しんかい6500」を応援してくれる大切なファンです。
今回は、「しんかい6500」ファン代表ということでM.I.さんを紹介させて頂きましたが、これまでも多くの方々から沢山の応援を頂いています。皆様の応援が、私たち運航チームの大きな力となり励みとなっています。これからも深海の不思議を解き明かすべく挑戦を続ける「しんかい6500」の応援をよろしくお願い致します。
「しんかい6500」司令 櫻井 利明

『完成から四半世紀、未知の深海の扉を開けて、私たちに知られざる世界を数々見せてくれた「しんかい6500」に感謝をするとともに、その偉大な功績を称えてあげたいです。
ありがとう「しんかい6500」。あなたは日本の誇りです!』 M.I.

M.I.さんからプレゼントの「ワッペン」

M.I.さんからのプレゼント「ワッペン」

On behalf of the Marine Technology Society, the Manned Underwater Vehicles Committee and the Underwater Intervention Symposium, it is with great pleasure that we honor the significant contribution to oceanographic research and exploration that JAMSTEC's Shinkai 6500 manned research submersible has given to our global community. We also wish to recognize Japan's visionary leadership in ocean expedition that dates back to the Kuroshio 1 in 1951 and the family of submersibles that followed; Yomiuri, Shinkai, Shinkai 2000, which all led to the Shinkai 6500. Since the first mission in 1989, Shinkai 6500's achievements have included numerous dives in the Pacific Ocean, Atlantic Ocean and Indian Ocean along with detailed missions around the sea of Japan. In addition, Shinkai 6500's comprehensive mission portfolio has encompassed research in seafloor topography and geology, identification of deep-sea organisms, sampling and research on hydrothermal systems and other scientific contributions. Shinkai 6500, the pilots and team have helped foster a greater understanding of the complex and dynamic environment of deep oceans.

As JAMSTEC continues to take a lead in manned exploration the community at large will continue to watch this stellar program. The innovation and discovery from expeditions with Shinkai 6500 create unique value for Japan and the world.

With congratulations and admiration from the entire MUV community.

Sincerely,
William Kohnen
Chair, Manned Underwater Vehicles Committee
Marine Technology Society

※米国Marine Technology Societyの有人潜水船コミッティーからお祝いのレターが、同コミッティーに所属する元パイロットの川間 格 技術副主幹のもとに届きました。

【訳】
米国Marine Technology Society、Manned Underwater Vehicles Committee、そしてUnderwater Intervention Symposiumを代表してお祝いを申し上げることができ大変うれしく思います。JAMSTECの有人潜水調査船「しんかい6500」は、海洋調査・探査において世界に大きく貢献しています。また、1951年の「くろしお」に始まり、さらに潜水船の「よみうり」、「しんかい」、「しんかい2000」、そして「しんかい6500」と、海洋探査における時代を先取りした日本のリーダーシップに敬意を表したいと思います。1989年の初潜航以来、「しんかい6500」の実績として、太平洋、大西洋、インド洋での数多くの潜航、さらには日本近海での詳細な潜航調査が挙げられます。さらに、「しんかい6500」の任務は、海底地形・地質の調査、深海生物の確認、熱水系での試料採取や調査、その他さまざまな科学的寄与など、多岐にわたります。「しんかい6500」、パイロットやチームメンバーは、複雑かつダイナミックな深海の環境の理解をより深めることに大きく貢献してきました。

JAMSTECは引き続き有人探査で先導的な役割を担い、社会はその素晴らしい計画に注目し続けるでしょう。「しんかい6500」の潜航調査から得られる革新と発見は、日本、そして世界にとって特別な価値をもたらします。

有人潜水船のコミュニティー全体から、お祝いと称賛の気持ちを込めて

William Kohnen
Chair, Manned Underwater Vehicles Committee
Marine Technology Society

Original letter

Original letter

「しんかい6500」25周年おめでとうございます。

海が地球環境に大きな影響を及ぼしていることは、宇宙から見ると一目瞭然です。地球の表面積の7割を占める海は圧倒的な存在です。
2度目のスペースシャトル搭乗で陸地の3次元地図を作ったときのことです。90分で地球を一周しながらレーダーを操作して陸地の凸凹を記録していくのですが、一旦海に出ると少し余裕がうまれます。おかげで意識を集中して、じっくり宇宙から海を見ることができました。
太平洋、大西洋、インド洋など海に名前はついていますが、国境は見えません。それぞれの海はつながっていて、相互に作用しながら地球のシステムの中で重要な働きをしていると感じました。

2003年3月に、南西諸島海溝の海底調査で「しんかい6500」に乗船する機会がありました。深海は宇宙と同様に暗黒の世界にもかかわらず、いろいろな生き物に囲まれていることに改めて驚かされました。
また、このとき調査に加わって感じたのは、海を調べるには、宇宙と同様、世界各国の研究機関との協力が不可欠ということです。海洋調査は早くから国際化が進んでいる分野ですが、今後はさらに意欲的な目標をかかげ、日本の存在感を高めるとともに、世界に貢献してほしいと思います。

地球システム全体のことを考え、未来の地球のためにどのような調査研究ができるか。25周年という節目に、これまでの成果を振り返るとともに、さらなる飛躍につなげていくことを願っています。

日本科学未来館
館長 毛利 衛

※2003年3月13日 第733潜航に乗船(南西諸島海溝水深6,500m)

スペースシャトルから見た地球の姿(2000年2月)

スペースシャトルから見た地球の姿(2000年2月)

「しんかい6500」に乗船(2003年3月)

「しんかい6500」に乗船(2003年3月)

It is a great honor for me to congratulate SHINKAI 6500 for its 25th year of operation. SHINKAI 6500 is a benchmark deep water submersible by its technical performances and also by its exploratory activity.
During this long period SHINKAI 6500 has dived over than 1200 times and has helped to better understand the deep sea world.

I am pleased to recall the very good cooperation between the SHINKAI 6500 team and the team of the French Nautile submersible during these 25 years.

I wish a long life and more success to SHINKAI 6500 !

Viorel CIAUSU
Chief Engineer of Nautile submersible
IFREMER - French Research Institute for Exploration of the Sea

※フランス国立海洋開発研究所(IFREMER)の潜水船「ノチール」のスタッフからお祝いメッセージをいただきました

【訳】
「しんかい6500」の25周年をお祝いでき大変光栄です。「しんかい6500」は、その技術的性能そして実際の探査活動が示すとおり、代表的な有人深海潜水調査船です。
長年にわたり「しんかい6500」は1200回以上潜航し、深海への理解をより深めることに大きく貢献してきました。

また、「しんかい6500」チームとフランスの有人潜水調査船「ノチール」のチームが25年にわたり非常に良い協力関係を継続できたことも大変うれしく思います。

「しんかい6500」のさらなる活躍と成功を心より願っております。

Viorel CIAUSU
Chief Engineer of Nautile submersible
IFREMER

Nautile

Nautile

「印象に残ったしんかい6500の潜航」

「しんかい6500」の25周年おめでとうございます。四半世紀に亘って世界で最も深く潜れる有人潜水調査船として研究に大きく貢献してきたことに敬意を表します。私は「しんかい6500」には1991年から2006年までの間に合計51回乗船しました。インド洋へ人類初の潜航を達成したのは1998年9月23日の第444潜航で、この日は太平洋、大西洋、インド洋の三大洋の初制覇の日でもありました。あれから15年ほどの間に1000回ほどの潜航が行われてきたのですね。私の51回の潜航で特に印象に残った3つの潜航は、マネキン、ヤドギン、TAGです。
一つめは1992年7月のことでした。その前年に偶然に海底から奇妙なものが見つかりました。マネキンの首でした。そのちょうど1年後に同じ場所へ潜って同じマネキンの首を見つけたのです。この潜航は広大な深海底の同じ場所へ正確にたどり着ける技術があったことを示すと共に、たった1年で深海底の環境が大きく変化しているということを明らかにした潜航でした。写真は1991年と92年の潜航の違いを示しています。
二つめは1993年のパラオ島の南のアユトラフでの潜航です。これは北半球では一番赤道に近い場所での潜航でした。水深5000mの深さからヤドカリとイソギンチャクが共生しているのが見つかったのです。この深さにヤドカリがいるのも驚きですが、彼らが棲みかにしている貝殻が溶けてしまって無いのでイソギンチャクはヤドカリに直接くっついて運んでもらっていることも驚きです。我々はこれを「ヤドギン」と呼んでいました。このヤドカリはパラオの浅海に住んでいるものと同じで、パラオの切手にもありました。写真はそのアップですが今までで一番きれいな写真だと自負しています。
最後が1994年の大西洋中央海嶺の世界最大級のTAGマウンドです。JAMSTECで、また私自身にとっても大西洋の熱水系への初めての潜航でした。ブラックスモーカーの煙の中に入ってしまって全く周辺が見えないこともありました。SLがトンネルの中に入ったようなものです。あまりにも大きな熱水系に吸い込まれてしまって、まるで天狗のうちわのように仰がれてずいぶんと遠くへと飛ばされてしまいました。この時に海洋の深いところでも潮汐の影響のあることも知りました。写真はエビと煙で見えない熱水チムニーです。
潜航の結果は本や論文、国際学会などで100以上の発表がなされてきました。今後も「しんかい6500」やその後継船がサイエンスの世界で活躍することを期待しています。

神奈川大学 非常勤講師
藤岡 換太郎

※元JAMSTEC研究者、最多乗船研究者(51回)

「しんかい6500」が、本年11月28日をもち完成25年を迎えたとのこと、大変おめでとうございます。海底地形区分で深海と呼ばれる海域で、我が国が自前の潜水艇を用いて調査を開始した記念すべき日となります。
思えば私が乗船した奥尻海嶺潜航が、公募で募集し実施された初めての潜航でした。潜航終了後に当時の理事長からお祝いの電報を頂いたことが昨日のことのように感じます。また、小笠原海台と伊豆海嶺が接する海域での潜航も大変印象に残る潜航でした。小笠原海台を形成する白亜紀の珊瑚礁が海底一面に露出している様は、深海に展開する彫刻群に思えました。この潜航の成果は大陸棚延伸の為の貴重なデータとなりました。
今後とも、「しんかい6500」が世界の海で新たな発見をすることを祈念いたします。

高知大学海洋コア総合研究センター長
徳山 英一

※第1回目の調査潜航の観察者

小笠原海台での潜航の様子

小笠原海台での潜航の様子

小笠原海台での潜航の様子 第145潜航 1992年9月21日

小笠原海台での潜航の様子
第145潜航 1992年9月21日