二等潜技士(潜航長)
大西 琢磨

大西 琢磨
チームでの主な担当
潜水船船内機器、潜航関連、航法管制
趣味
サイクリング、ダイビング
これまでの潜航回数(「しんかい2000」を含む)
96回
初潜航とそのときの感想
2007年3月9日南西諸島海溝#996Dive
櫻井司令(当時副司令)との1000m試験潜航であった。試験も1時間弱で終わったため、機器の操作を行った記憶はない。またホバリングであったため海底を見ることは出来なかったが、下降・上昇中は櫻井司令がパイロット席に座らせてくれた。「バスタオルをかぶり、船内照明灯をOFFに」と櫻井司令に言われるがまま覗窓の外を見ると、無数の発光生物が目視できた。漆黒の闇と想像していた私であったが、投光器も全く点けていない状態で深海はこんなに明るいんだと驚いたことを鮮明に覚えている。
印象に残る潜航
#1264Dive水曜海山
本格的な熱水域で初めて操船、マニピュレータ操作を行った調査潜航であった。あちこちから勢いよく吹き上げる熱水を身近に感じ、そこにひしめき合う生物群集を見て非常に高揚した。地球の振動のようなものを感じた。
同時に熱水域での操船の難しさを痛感した。熱水域で自由に操船ができるようになりたいと強く感じた。
自分にとって「しんかい6500」とは?
好きなことを仕事にさせてくれているもの
パイロットをやっていて良かったと思う瞬間
調査潜航を終え(上昇中、揚収後)、研究者が満足そうにしているとき
調査行動も終盤となり、ラボでの作業中や打ち上げ時に潜水船同乗者であった研究者と当時を振り返り、話が尽きないとき
次世代機に希望すること
建造後20年以上も経過しているが、船外、船内機器ともに大きな変化は見られない。技術も当時の頃とそう変化していない。ブリーフィング等で船内案内をする際にも「意外とレトロなんですね」といった意見を多く耳にする。次世代機は最先端技術を出来るだけ導入して、パイロットを含む皆が乗り込むだけでワクワクするような潜水船を希望したい。
また、個人的にはフルデプスはROVやAUVに任せ、HOV(Human Occupied Vehicle)の深度は現行のままでも構わないので、観察環境を劇的に変える潜水船があるといいと思う(全面が観察窓、殻が前後に2つ、観察者数の増員、前後部にマニピ、船内電線いらず(無線ネットワーク)、マニピ一人1本ずつetc・・)。有人ならではの利点をもっと活かせればなと思う。フルデプスであっても今の覗窓、環境だとあまり有人としての効果がないと感じる。