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「しんかい6500」調査潜航 YK19-04S航海 レポート

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YK19-04S調査潜航

2019/04/08 - 04/18

『YK19-04S航海レポート』
JAMSTEC出港
写真1:JAMSTEC出港
4月8日JAMSTEC専用桟橋を出港した。雨の降る中、多くの職員に見送られ一路調査海域向け発航した。関東沿岸の南方を通過する低気圧が気になる出港となった。
船内セミナー
写真2:船内セミナー
調査海域への回航日を利用して小原主席研究員による船内セミナーを開催して頂いた。調査開始前に乗組員や運航チームの士気を高める良い機会となった。
サンプルの回収
写真3:サンプルの回収
乗船研究者が、潜水船から出てくると潜水船の前に他の研究者が集まり、岩石試料を採取した順番通りにサンプルバスケットから回収し、ラボへと運んでいきます。

2019年4月8日から4月18日にかけてマドメガムリオンと命名された四国海盆の海洋コアコンプレックスで「しんかい6500」による調査を実施しました。昨年6月のYK18-07調査航海に引き続いて四国海盆での調査です。

パレスべラ海盆から四国海盆にかけて南北に伸びる拡大軸部では、トランスフォーム断層沿いに海洋コアコンプレックスの存在が知られており、地殻深部・上部マントル物質が露出していることが、これまでの調査で確認されています。

パレスべラ海盆のゴジラメガムリオンは、これまで「しんかい6500」でも数多くの潜航調査が行われており、その研究で蓄積した知見を基にマドメガムリオンと比較検討することで背弧海盆拡大末期に出現する海洋コアコンプレックスの発達過程モデルの構築を目的としています。

今回の「しんかい6500」調査では、地質観察および岩石試料の採取に加え、潜水船に搭載したマルチビーム測深機(MBES)による超精密地形データの取得という新たな試みも実施しました。

4月8日雨が降る中、JAMSTECを出港しましたが、南方を通過する低気圧の影響が懸念されたため潮岬まで西進後、四国海盆中央部へ向けました。

回航途中の4月9日には、小原主席研究員より支援母船「よこすか」乗組員および運航チームに向けた船内セミナーを開催して頂き、これまでの研究成果や本航海の調査目的などについてお話をして頂きました。研究者から直接、研究内容や調査目的を聞くことは、乗組員や運航チームの士気を高める良い機会となりました。

翌4月10日、低気圧を回避した影響も少なく、計画よりやや早い10日夕刻に調査海域に到着し、「よこすか」によるMBES事前調査およびMBES広域地形調査から作業を開始しました。

4月11日から17日にかけて、1回の整備日を挟み計画通り、全6回の調査潜航を実施しました。調査潜航3回は、2パイロット潜航で海底地質観察および岩石試料採取を実施し、もう3潜航は潜水船に搭載したMBESによる超精密地形データの取得をワンマンパイロット潜航で実施しました。

採取した岩石は、マントル橄欖岩やはんれい岩など研究者が目的とした試料が採取された他、MBESによる精密地形データも装置に不具合なく良好なデータを取得することができました。

今回、得られた岩石試料や詳細な海底地形データが、背弧海盆リソスフェア毎の特徴の相違を明らかにし、海洋コアコンプレックスの発達過程の解明につながることを期待します。

4月18日午後に小笠原諸島の父島二見港沖に到着し、研究者12名はチャーター船で下船となりYK19-04S航海は、無事終了しました。

我々、運航チームと「よこすか」乗組員は、南国雰囲気漂う父島の景色を沖合から眺めながら翌日から始まるYK19-05S航海に向け、「よこすか」船上で準備作業を進めました。

【潜航情報】
    4月11日 No.1536DIVE
  • 潜航海域:四国海盆中央部
  • 観察者:道林 克禎(名古屋大学)
  • 船長:千葉 和宏
  • 船長補佐:石川 暁久
    4月12日 No.1537DIVE(ワンマン)
  • 潜航海域:四国海盆中央部
  • 観察者:小原 泰彦(海上保安庁)
  • 観察者:藤井 昌和(国立極地研究所)
  • 船長:松本 恵太
    4月13日 No.1538DIVE
  • 潜航海域:四国海盆中央部
  • 観察者:Alessio Sanfilippo(Univ. of Pavia)
  • 船長:鈴木 啓吾
  • 船長補佐:飯島 さつき
    4月14日 No.1539DIVE(ワンマン)
  • 潜航海域:四国海盆中央部
  • 観察者:石塚 治(JAMSTEC)
  • 観察者:秋澤 紀克(東京大学大気海洋研究所)
  • 船長:大西 琢磨
    4月16日 No.1540DIVE
  • 潜航海域:四国海盆中央部
  • 観察者:Jonathan E. Snow(Univ. of Houston)
  • 船長:松本 恵太
  • 船長補佐:西郷 亮
    4月17日 No.1541DIVE(ワンマン)
  • 潜航海域:四国海盆中央部
  • 観察者:小原 泰彦(海上保安庁)
  • 観察者:山下 浩之(生命の星・地球博物館)
  • 船長:千葉 和宏
【航海情報】
4月8日
研究者12名乗船
機構出港(機構専用桟橋)、調査海域向け発航
4月9日
調査海域向け回航、船内セミナー開催、潜航準備作業
4月10日
調査海域向け回航、潜航準備作業、潜航者ブリーフィング
調査海域到着、XBT計測、プロトン磁力計投入
MBES事前調査、MBES広域地形調査
4月11日
プロトン磁力計揚収、調査潜航(第1536回)
プロトン磁力計投入、MBES広域地形調査
4月12日
プロトン磁力計揚収、調査潜航(第1537回)
プロトン磁力計投入、MBES広域地形調査
4月13日
プロトン磁力計揚収、調査潜航(第1538回)
プロトン磁力計投入、MBES広域地形調査
4月14日
プロトン磁力計揚収、調査潜航(第1539回)
プロトン磁力計投入、MBES広域地形調査
4月15日
整備日、研究者との潜航打合せ、整備作業および潜航準備作業
4月16日
MBES事前調査、プロトン磁力計揚収、調査潜航(第1540回)
XBT計測、プロトン磁力計投入、MBES広域地形調査
4月17日
プロトン磁力計揚収、調査潜航(第1541回)、父島二見港向け発航
4月18日
父島二見港内着、研究者12名下船
二見港外漂泊、次航海準備作業

櫻井 利明(運航チーム司令)