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気象制御を実現するためには、現象の継続的な観測が必要です。台風については、その発生発達に重要な中心周辺域の海上大気や海洋表層の継続的な監視が重要ですが、それは航空機や衛星では難しくボトルネックとなります。本プロジェクトでは、自律的に台風の中心周辺域を追跡可能な仮想係留(Virtual Mooring)機能を持ち、発生発達に伴う移動と共に大気海洋データを継続的に取得できる海上無人観測機を開発します。
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• 三好PD、中澤SPD、齊藤ADサイトビジット(2024年6月6日)
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• ムーンショット目標達成への貢献
- 台風制御にあたっては,台風の正確な現況把握と共に,介入の要否や介入後に予測された制御状態にあるのか?など常に台風の制御状態をモニターし,その変化を見逃さない台風強度(中心気圧と最大風速の真値)の継続監視体制が必須.しかしながら,
- 台風発生発達域の熱帯海洋上では,台風強度の直接観測がなく(真値が不明),衛星観測だけでは誤差が大きい(ボトルネック①).
- 航空機ドロップゾンデ観測でも台風の継続的監視は不得意であり,台風強度真値の時系列変化を追うことは困難(ボトルネック②).
- 衛星や航空機では台風発生発達メカニズムに重要な海洋貯熱量など海洋表層(深度~約150m)を知ることが困難(ボトルネック③).
- 本プロジェクトでは上記ボトルネックを解決可能な,
- 自律的に台風中心周辺域を追跡することで,
- 継続的に台風強度の真値を得ると共に,
- 海洋表層内部構造の変化も同時観測する
「海の無人機(VM [Virtual Mooring]ドローン) 」を開発し,台風制御目標達成へ貢献する.
- 達成目標:台風中心周辺域における海上気象と海洋表層を気象制御に必要な精度で継続監視可能な海上無人機(VMドローン)を開発する.
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平成17年(2005年)台風13号(アジア名”Talim”)を海洋地球研究船「みらい」気象レーダーで観測した事例.
8,000トン級の大型研究船であっても,台風中心から200km程度までしか接近することできず正確な台風強度(真値)を得ることは極めて困難.
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• 研究組織
- PM: 森 修一(国立研究開発法人海洋研究開発機構)
- PI1: 森 修一(国立研究開発法人海洋研究開発機構)
- PI2: 勝俣 昌己(国立研究開発法人海洋研究開発機構)
- PI3: 横井 覚(国立研究開発法人海洋研究開発機構)
- PM補佐: 山中 大学(国立研究開発法人海洋研究開発機構)
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• 研究開発プロジェクト全体構成
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• 海の無人機(VMドローン)本体概要
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• CFD・試作機による設計・性能検証 (水槽・沿岸・外洋試験)
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設計計算とCFDから想定される強風下での船体傾斜と復元力の検討 |
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曳航水槽での船体Cd値計測や,過剰な傾斜を与えたり,水面に落としたりする,「意地悪試験」も実施予定. |
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台風発生地点(赤丸,1951~2021年,デジタル台風より作成)および海洋地球研究船「みらい」熱帯北西太平洋航海における代表的な定点観測海域. |
台風発生前後の環境場把握を目指し, 海洋地球研究船みらい2024年度航海の定点観測2においてVMドローン試作機の機能確認と試験観測を実施予定. |
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台風中心周辺域の海洋表層温度分布とVMドローン観測模式図.台風発生前後あるいは台風移動に伴う海上大気(台風強度の真値)と海洋構造(混合湧昇冷却)の時空間変動を高精度で継続的に観測・監視し,台風制御の予測と監視に貢献. |
2030年度以降に期待するVMドローン台風観測アレイの模式図.発生前の海洋貯熱過程から発生後の混合・湧昇による表層冷却,通過後の貯熱回復過程までを継続的に監視可能とする.
(気象研究所台風・災害気象研究部第1研究室 https://www.mri-jma.go.jp/Dep/typ/awada/TyphoonSST.html
「図2 2011年台風第12号(水色の丸印は気象庁ベストトラックの中心位置を示 しています)と2011年9月2日における衛星マイクロ波放射計による日別海面水温観測データ」を改変)
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• 成果発表・報道
- 森修一:
ムーンショット目標8キックオフシンポジウムにて概要公表,
2022年6月16日, 東京およびオンライン.
- 森修一,渡健介,勝俣昌己、横井覚:
台風制御に必要な予測と監視に貢献する海の無人機開発.
日本気象学会2022年秋季大会, 2022年10月24日~27日,札幌.
- 森修一: MS8月例会にて現状報告, 2022年11月18日,オンライン.
- 森修一,勝俣昌己,横井覚,渡健介,山中大学,杉浦玲佳,府川典子:
MS8-PD, SPD, AD, JSTによるサイトビジットにて現状説明,2023年1月6日,横須賀.
- 森修一: MS8月例会にて現状報告, 2023年4月21日,オンライン
- Mori, S.: Current status of USV development for typhoon in situ observation.
MS8 Cross-Project Workshop,
10 July 2023, Tokyo.
- 森修一: MS8月例会にて現状報告, 2023年8月8日,オンライン
- Mori, S., M. Katsumata and S. Yokoi:
Development of unmanned maritime observation vehicles essential
for forecasting and monitoring of typhoon artificial control.
International Symposium on Theory of Weather Controllability, Poster Session.
28 August 2023, Kobe.
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ムーンショット目標8
「台風制御に必要な予測と監視に貢献する海の無人機開発」
研究開発プロジェクトチーム
e-mail: arasi_pr(at)jamstec. go.jp
※(at)を@に置き換えてご送信ください
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