気候の成り立ちや気候変動に関する科学的知見は、気候変動予測データの解釈や不確実性評価に不可欠です。様々な時空間スケールの現象が重なり合って生じる気候変動を理解するためには、大気や陸域及びこれらと相互に作用する海洋や雪氷から構成される地球気候システムを、包括的な視点から俯瞰する必要があります。
我々は、地球気候を擬似的に再現するための計算機プログラム「気候モデル」を開発・運用するとともに、シミュレーションデータの解析や観測との比較、数理的理論構築といった複合的アプローチを採ることで、数年以上の長周期気候変動メカニズムとこれに関わる大気海洋相互作用過程、海洋熱吸収・再分配過程とこれに伴う海水位変動、極域海洋-棚氷-氷床相互作用過程などの解明に取り組んでいます。また、超高解像度シミュレーションを見据えた先端的数値解法や気候変動及び炭素循環変動予測に向けた初期値化手法などの技術開発も行っています。
地球気候の理解と気候モデルの開発とを相補的に進めることにより、気候変動に対する人間社会の適応策や気候変動緩和策の策定に資する、信頼性及び応用性の高い予測情報の創出を目指しています。
大気-海洋-陸域-雪氷などの気候システム構成要素及びこれらの相互作用過程を包括的に扱える気候モデルの開発・運用を通して、気候形成及び変動メカニズムに関する科学的理解を深めることにより、信頼性の高い気候変動予測情報の創出を目指しています。