「Sand for Students」とは、生徒の皆さんが身近な河川や海岸で地層観察や砂の採集を通じて、プレートテクトニクスを含む自分たちの住む場所の成り立ちを学ぶプログラムです。「砂なんか集めておもしろいの?」「どこの砂だって同じじゃないか」と思われるかもしれませんが、よく見ると、どの地域の砂も少しずつ違っていて、砂にはその地域の地質に関する様々な情報がつまっているのです。
また、みなさんが調べた砂のデータは、将来、地球深部探査船「ちきゅう」による掘削で得られた地質コア試料との対比 にも用いられる、大変重要な資料となります。みなさんはきっと、この実習を通じて、実際に手や体を動かして行うフィールドワークの楽しさを体感できることでしょう。そして、この実習を私たちの住む地球について考えるきっかけにしてもらえれば、これほどうれしいことはありません。
プログラムの特徴
このプログラムは、参加者の活動が本格的な科学研究に寄与することができる点で大きな特徴があります。
自分達の身近な河川や海岸において、砂の採集・観察・分析を行い、河川によって海に運ばれた堆積物が地層を形成し、やがて自分達の住む足下の地層を形成するという一連のプロセスの理解を通じて、地球科学、環境科学への興味を深めると共に、自分たちの行動が最先端の地球科学研究と直接リンクする、という関係(つながり)を設けることにより「科学への参加意識」や「理科科目への興味の喚起」を図ることを目的としています。
地球科学(地学)の理解には、実際に野外で地層や岩石を観察し、手に触れて学ぶフィールドワークが非常に重要です。実際にフィールドに出て作業を行うことで得られる野外調査の楽しさ(あるいは大変さ)という「経験」や、仮説を立てデータに基づいた論理的思考によって立証するという科学研究の「基礎的なトレーニング」の場として活用できます。「ちきゅう」をはじめとした海洋科学掘削で得られたコア試料と関連して、生徒が自ら集めた砂の分析データが、掘削地点における堆積物の後背地解析のために堆積物を供給している河川等の堆積物データベースとして学術的に有効な資料ともなります。
砂を調べる目的
砂と言うと、みなさんはどんなイメージを持つでしょうか?「どこの砂だって同じじゃないか」と思われるかもしれません。でもよく見てみると、白い砂、黒い砂、さまざまです。砂の種類は地域や河川によって千差万別、どれ一つ同じものはありません。 砂は鉱物からできていますが、どんな鉱物がどれくらい入っているか、また、それらの鉱物はどんな化学組成を持っているのか、というようなことを調べることで、その地域・流域の地質に関するさまざまな情報を得ることができます。
これらの情報を集めてデータベースにしておくことは、大変に価値のあることです。ちょうど生物のDNAを解析してデータベースを作ることが生物の進化を探る上で非常に重要であるように、日本中の砂のデータベースを作ることは、私たちの住んでいる日本列島の成り立ちを考える上で、大変重要な資料となります。 また、みなさんが調べた砂のデータは、地球深部探査船「ちきゅう」で掘削した時に採取する地球深部からの地質試料(コア)との対比にも用いられます