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海洋観測研究センター

大気海洋セミナー

第248回横須賀大気海洋セミナー

日時
3月29日(水) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
森 修一(GOORC)
タイトル
ジャカルタ周辺域における極端降水の特徴
要旨
インドネシアの首都ジャカルタ周辺の降水特性について、特に極端降水に焦点を絞り、ENSOやIODなど年々変動やMJOなど季節内変動が与える影響について、BMKG現業観測データならびにHARIMAUレーダー観測によりその気候学的特性およびメソスケール変動の特徴を示した。本発表内容は、HARIMAUやSATREPSを通じ、長年インドネシアBPPT(現BRIN)で共同してくれた若手研究者のDr.Sopia Lestariさんによる学位論文(Melbourne大学)成果の一部となる。
References
Lestari, S., A. King, C. Vincent, A. Protat, D. Karoly, and S. Mori, 2022: Variability of Jakarta rain-rate characteristics associated with the Madden-Julian oscillation and topography. Mon. Wea. Rev., 150, 1953-1975.
https://doi.org/10.1175/MWR-D-21-0112.1
Lestari, S., A. Protat, V. Louf, A. King, C. Vincent, and S. Mori, 2022:Sub-daily rain rate properties in western Java analysed using C-band Doppler radar. J. Appl. Meteor. Climat., 61, 1199-1219.
https://doi.org/10.1175/JAMC-D-21-0041.1
Lestari, S., E. G. A. Sapan, R. Sulistyowati, H. A. Belgaman, F. Meliani, Winarno, R. I. Hapsari, I. F. Cahyaningtiyas, T. A. Pianto, H. I. Akbar, Nurdiansyah, E. Avianti, A. Eugenie, T. Grace, R. Amaliyah, M. Djoharin, S. Mori, and F. Syamsudin, 2022: Characteristic of rain rate associated with floods during the 2021 rainy season around Jakarta and Bekasi River. IOP Conf. Ser.: Earth Environ. Sci., 1109 012010.
https://doi.org/10.1088/1755-1315/1109/1/012010

第247回横須賀大気海洋セミナー

日時
3月28日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
井上 龍一郎(CCOAR)
タイトル
フロートによる乱流観測
要旨
本発表では、フロートによる持続的な全球鉛直拡散係数観測を目指した取り組みを紹介する。具体的には、フロートによる乱流観測の枠組み(ArgoMIX)、各国研究グループによる乱流計付きフロート開発状況、乱流観測データの標準的処理方法の確立を目指したSCORワーキンググループ(ATOMIX)、現在JAMSTECにおいて外洋域で実証実験中のmicro-ALTOフロートの状況と今後の予定について説明する。

第246回横須賀大気海洋セミナー

日時
3月8日(水) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
勝俣 昌己(CCOAR)
タイトル
「みらい」での雨滴粒径分布観測の現状報告
要旨
雨滴粒径分布、つまり「どんな大きさの雨粒がどのくらいの割合で存在するか」は過去に多くの研究があり、「海洋性と大陸性の雨滴粒径分布は異なる」旨も指摘されてきたが、殆どが陸上の観測に基づく議論であった。そこで我々は「みらい」に雨滴粒径分布計(disdrometer; ディスドロメータ)等を設置して雨滴粒径分布に関する観測を行ってきた。今回は、「みらい」でのこれまでの観測、観測データ処理や解析の現状、及び今後の展望について改めて報告する。

第245回横須賀大気海洋セミナー

日時
3月7日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
増田 周平(GOORC)
タイトル
太陽活動の全球海面水位変動への影響の要因に関する考察
要旨
To improve insight into the causes of sea-level variability, we investigate poorly understood solar influence on the temporal rate of sea-level change by reassessing relevant historical datasets. We propose that their source as variability within the “water-mass balance› representing the partition of precipitation between the oceanic and terrestrial realms, at least for the most recent decades. These largely zonal water-mass transfers manifest as systematic changes in continental precipitation during the course of the solar activity and may, in part, reflect a Quasi-Biennial-Oscillation influence on tropical atmospheric convection.

第244回横須賀大気海洋セミナー

日時
2月28日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
米山 邦夫(CCOAR)
タイトル
S2S(Subseasonal-to-seasonal)研究を巡る国際的な動き
要旨
WMO/WWRPで議論されているS2S(subseasonal-to-seasonal) prediction研究の今後の動向について、S2Sデータの準リアルタイム利用実験の成果や現在のWWRPの狙いに関する情報などを交えながら紹介する。
予めお断りしておくと、本セミナーで通常紹介されている物理科学の話題はごく一部で、多くは社会科学に係る話題や、その方向性に関する紹介となることをご承知願いたい。

第243回横須賀大気海洋セミナー

日時
2月21日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
熊本 雄一郎(GOORC)
タイトル
放射性セシウムをトレーサとした北極海における海洋循環研究
要旨
北極海の海水は北大西洋と北太平洋の2つの起源を持ち、その特性は陸水の流入や結氷・解氷による影響を大きく受けている。それらの循環・変質過程を解明するための研究において、放射性物質を含む化学トレーサは有効なツールとして利用されてきた。特に1970年代以降英国とフランスの核燃料再処理施設から漏出した放射性セシウム 137 Csは、北極海における大西洋起源水の循環過程の解明に貢献してきた。一方、2011年の福島第一原子力発電所事故によって北太平洋に放出された放射性セシウム 134 Csは、事故から6年を経過した2017年にはベーリング海峡を通過して北極海のチュクチ海に到達したことがわかっており、太平洋起源水のトレーサとしてその動態が議論されている。我々は、2012年の「みらい」北極航海以来、継続的に北極海における放射性セシウム( 137 Cs、 134 Cs)を測定してきた。それらの観測結果を紹介するとともに、化学トレーサを用いた北極海における海洋循環研究をレビューする 。

第242回横須賀大気海洋セミナー

日時
2月14日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
松本 淳(CCOAR)
タイトル
南アジアモンスーンの季節変化・季節内変動とエアロゾル
要旨
アジアモンスーン地域は、世界の中でも人為起源のエアロゾル濃度が高く、モンスーン活動の年々変動や長期変化に対する人為起源のエアロゾルによる影響については多くの研究がなされている。しかしながら、自然起源のエアロゾルを含めたエアロゾルの季節変化や季節内変動の気候学的実態は、意外に良くわかっていない。

本研究では 2003~2019年の Copernicus Atmosphere Monitoring Service (CAMS) 再解析と Moderate Resolution Imaging Spectroradiometer (MODIS)衛星データを主に用いて、インドにおけるモンスーンの季節変化・季節内変動に伴う様々な種類のエアロゾルの時空間変動とモンスーン活動や極端降水の出現等について解析した結果を紹介する。

第241回横須賀大気海洋セミナー

日時
1月31日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
城岡 竜一(CCOAR)
タイトル
夏季モンスーン期におけるパラオと台湾の雨滴粒径分布の比較
要旨
西太平洋のパラオと台湾で実施した夏季モンスーン5年間分のディスドロメータ観測の結果を用い、両地点の雨滴粒径分布を比較した。台風接近時の雨滴粒径分布は、パラオと台湾で顕著な相違がみられず、ともに熱帯海洋域のクラウドクラスターのものに類似していた。一方、台風以外の降水時には、パラオの降水は小粒径の雨滴の寄与が大きく、台湾は比較的大粒径の雨滴が多いという特徴がみられた。衛星観測や客観解析からは、パラオでは、降水雲の背が低く、雲粒が大きく、エアロゾルが少ないことが示された。これらは、清浄な環境での暖かい雨という、典型的な海洋性降水の特徴が、パラオではより顕著にあらわれていることを示唆している。

第240回横須賀大気海洋セミナー

日時
1月24日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
杉浦 望実(GOORC)
タイトル
鉛直プロファイルの直接比較による海洋データ同化
要旨
海洋観測はプロファイルとして得られることが多く、例えばアルゴプロファイルの場合は、圧力・塩分・水温を成分とする一連のベクトルからなる鉛直プロファイルが得られる。従って、データ同化を行う場合には、観測データとモデルとのプロファイルを「直接」比較することが理想である。然るに、従来のデータ同化では、モデルと観測の対応する時空間点でのベクトルを近づけようとするだけであった。この方法では、表現誤差の大きいモデルを用いたときに、プロファイルのマクロな性質(熱容量、総塩分量、水塊の性質等)を適切に推定することは困難である。一方、我々の新しいデータ同化は、モデルプロファイルと観測プロファイルに付与され得る任意の関数値(=性質)を近づけようとするものである。そのために、まず各プロファイルを(ラフパス理論の中心的な概念である)シグネチャに変換する。そして、各水平メッシュ内で月平均したシグネチャを観測とモデルとで比較する。この手順は、メッシュ内のプロファイルの集合を生成する2つ(モデル、観測)の確率法則の間の最大平均不一致(MMD)を最小化することに基づく推定とみなすことができる。我々はこの尺度を海洋データ同化のコスト関数として実装した。その上で、4次元変分法を用いたデータ同化実験においてコスト関数の最小化を行い、その性能を検証した。

第239回横須賀大気海洋セミナー

日時
1月17日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
木下 武也(CCOAR)
タイトル
大型ゴム気球を用いた高高度ラジオゾンデ観測と観測により捉えられた高度30㎞以上の擾乱活動について
要旨
現在、一般のラジオゾンデ観測におけるゴム気球の到達高度は下部成層圏に限られており、過去に実施されていたロケットゾンデ観測が終了して以降、定常的な成層圏上層の風速・風向の直接観測は行われていない。そのため、成層圏上層の風速や温度構造が対流圏に比べ再解析モデルデータ間で大きく異なっていることがわかっている。そこで成層圏上層の定常かつ直接観測を目指して2019年11月に大型ゴム気球を用いた高高度ラジオゾンデ観測を試験的に実施し、高度40 kmを超える風速と温度データの取得に成功した 。本発表では試験観測および2021年5月から7月にかけて海洋地球研究船「みらい」の航路上で実施した高高度ラジオゾンデ観測の結果を報告する。また再解析データとの比較、衛星観測データとの比較結果を紹介するとともに、高度30 km以上の領域における大気擾乱の特性について調べた結果も合わせて報告する。

第238回横須賀大気海洋セミナー

日時
1月10日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
鈴木 順子(CCOAR)
タイトル
YMC-BSM2021期間中に西太平洋上で観測された水蒸気・上層雲変動
要旨
YMC期間中の2021年5- 7月、みらいMR21-03航海により西太平洋にて、特殊ゾンデ(新型露点ゾンデ(SKYDEW)、オゾンゾンデ、および雲粒子ゾンデ)を搭載したラジオゾンデ飛揚観測を実施した。
夏季モンスーンと対流季節内変動にともない、上層雲の変動やその雲粒子の特徴、およびオゾン変動について、気象場との関係を明らかにすることを目指した。本発表では、上層雲と力学場の変動について調査した結果を報告する。

第237回横須賀大気海洋セミナー

日時
12月27日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
重光 雅仁(GOORC)
タイトル
Controlling factors of latitudinal distribution of dissolved organic matter in the surface waters of the Indian Ocean
要旨
We studied chromophoric (CDOM) and fluorescent (FDOM) dissolved organic matter, and dissolved organic carbon in the surface mixed layer to determine factors controlling the geographical distribution of DOM along two meridional transects in the Indian Ocean. For CDOM, we calculated the absorption coefficients, spectral slope, and absorption coefficient ratio from the observed absorption spectra. For FDOM, we calculated the biological (BIX) and humification (HIX) indices from the excitation emission matrices (EEMs); parallel factor analysis of the EEMs identified three fluorescent components, two humic- and one protein-like component. Using these DOM parameters, a factor analysis extracted fewer latent variables than the observed variables to account for the geographical distributions. We obtained three factors (F1, F2, and F3), which explained ~84 % of the variance in the observed data. From the factor loadings, F1, F2, and F3 were the effects of net primary production related to DOM and its horizontal transport, photodegradation, and vertical transport by physical processes. We characterized seven marine biogeochemical provinces by factor scores. F1 scores gradually decreased from the northernmost to the Antarctic province, with a small maximum around the subtropical front. F2 scores were highest in the subtropical province and decreased southward to northward. F3 scores were high in the Antarctic and northernmost provinces, and lowest in the subtropical province. Only BIX was insufficiently explained by these factors. BIX was highest in the northern subtropical province, where photodegradation was the most intense. This suggests that the interaction between photo- and biodegradation of DOM occurs in the subtropical province.

第236回横須賀大気海洋セミナー

日時
12月20日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
服部 美紀(GOORC)
タイトル
Impact of MJO and the cold surges on the development of Borneo vortex: Application of the cutoff low index in the midlatitudes to the Borneo vortex in the tropics
要旨
Borneo vortex is a cyclonic circulation appears near the western coast of Borneo in the winter Asian monsoon season. A developed Borneo vortex causes a strong convective system with heavy rainfall, sometimes causing severe damage around the South China Sea.
In this study, differences in the occurrence frequency and the intensity of Borneo vorticies according to the MJO phase and the effects of the cold surges were investigated.
In this presentation, I will mainly talk about the application of the cutoff low index in the midlatitude study to the detection of Borneo vortices in the tropics by using the stream function.

第235回横須賀大気海洋セミナー

日時
12月6日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
細田 滋毅(GOORC)
タイトル
BGC Argoで検出された中深層での塩分、溶存酸素濃度変化の相違
要旨
海洋中深層での海洋循環、熱・物質輸送の実態と変動の理解はまだ十分とは言えず、さらに観測データを蓄積する必要があると言える。新学術領域研究Hotspot2により、北西太平洋に2021年冬~春にかけて展開された溶存酸素センサー搭載 BGC Argoフロートの解析から、大気と直接コンタクトしていない26.8σ以深で塩分と異なる傾向の酸素濃度の変化が観測された(前回の大気海洋セミナーで紹介)。この塩分と酸素の変化の違いについて、その時間・空間スケールと同時性に着目した。比較的移動距離が少ないフロートデータから、軌跡上では塩分や酸素濃度の小スケールの変化が卓越していた。また、酸素濃度と塩分変化の相関解析から、異なる起源や変質過程を経た(であろう)海水が混在していることを示唆していた。船舶観測と連動して BGC Argoフロートを展開することにより、中層以深でのより詳細な時空間構造が捉えられると考えられる。

第234回横須賀大気海洋セミナー

日時
12月1日(木) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
山崎 開平(国立極地研究所)
タイトル
東南極沖の周極深層水の極向き輸送
要旨
本発表では博士論文から、東南極沖の周極深層水(CDW)の極向き輸送に関する観測的研究を紹介する。記述の大部分は、船舶海洋観測と、近年充実してきたArgoフロート・バイオロギングによる現場観測データの解析結果である。一連の研究から、CDWの輸送過程について、主に3つの知見が得られた:1)陸棚斜面の地形が、亜寒帯循環の構造とCDW輸送を制御する。2)等密度面上の渦移流がCDWの岸向き輸送を達成する。3)深層の数十年規模変動は、南極周極流の順圧的変化、子午面循環による傾圧的変化、そして陸棚斜面上の西向き流の変動と関連する。これらの知見は、地球温暖化に伴う偏西風の強化に晒される南極圏の、数十年〜数百年規模の気候変動予測に対して、海洋物理学的な根拠を与えうる。

第233回横須賀大気海洋セミナー

日時
11月30日(水) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
清木 亜矢子(CCOAR)
タイトル
Development of synoptic-scale disturbances over the tropical western North Pacific associated with the boreal summer intraseasonal oscillation and the interannual Pacific-Japan pattern
要旨
The dominant intraseasonal mode in the tropics during boreal summer is called the boreal summer intraseasonal oscillation (BSISO). In this study, the development mechanism of synoptic-scale disturbances over the tropical western North Pacific associated with the BSISO is investigated under different interannual conditions of the summertime tropical-extratropical teleconnection called the Pacific-Japan (PJ) pattern. Intraseasonal convection and synoptic-scale disturbances for convectively active phases of BSISO are enhanced in different locations between the positive and negative PJ years, likely leading to different teleconnection to midlatitude East Asia.

第232回横須賀大気海洋セミナー

日時
11月29日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
堀井 孝憲(CCOAR)
タイトル
Long-term shift and recent early onset of chlorophyll-a bloom and coastal upwelling along the southern coast of Java
要旨
Long-term change in the timing of coastal upwelling due to climate variations alters the heat budget and biogeochemical balance in the regional ocean and is an important issue in local fisheries. In this study, we investigated decadal changes in the onset of coastal upwelling along the southern coast of Java over the past two decades (2003–2020) based on the timing of chlorophyll-a (Chl-a) bloom. We estimated the bloom from satellite Chl-a concentration data. On average, the onset of coastal upwelling observed (the first Chl-a bloom of the year) was around mid-June. In the most recent decade (2011–2020), earlier-onset upwelling (before early June) was observed frequently, and the linear trend for the onset date during 2003–2020 was about 2 weeks earlier/decade. Focusing on the season during which these earlier upwelling onsets occurred, we investigated decadal changes in atmosphere and ocean conditions associated with climate change. While SST trends reflected a basin-wide warming pattern in the Indian Ocean, warming was not significant in the southeastern Indian Ocean. During the onset period of coastal upwelling, significant SST warming trends were also observed west of Sumatra. In association with the SST warming pattern, enhanced convective activity and convergent zonal winds around Sumatra were observed. Atmospheric forcing revealed trends favoring Ekman downwelling in the equatorial eastern Indian Ocean and upwelling in the southeastern Indian Ocean, which was consistent with the trends in thermocline depth. This study provides the first results regarding the recent decadal shift in the onset timing of coastal upwelling.

第231回横須賀大気海洋セミナー

日時
11月24日(木) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
Avery Snyder (Ocean Tech Connection)
タイトル
A Growing Need.... And Exploration in Collaboration
要旨
I am co-owner of OTC and have been working in the field and in the laboratory with oceanographic equipment for 20years. My founding partner also has over 20years working in the same field of research.
Collectively with all the technicians OTC currently works with to date we have a knowledge base that exceeds 75years of technical Oceanographic engineering knowledge and experience.

In my seminar I will cover the growing need for knowledgeable technicians in Oceanography and other research industries. Along with the ability OTC has to consolidate shipments for US manufactures and preform instrumentation verification and system checks to catch any unforeseen issues.
OTC is developing field and in-lab training to assist new technicians and help experienced engineers gain knowledge in a new field or instrument. I will also cover a variety of instrument platforms we have worked with including Research&Development instrumentation. And as always experiences of working in different field locations.

第230回横須賀大気海洋セミナー

日時
11月22日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
勝又 勝郎(GOORC)
タイトル
何が海洋大循環を駆動するのか -- 内部エネルギーの役割 --
要旨
表題の疑問に物理的に答えることは容易ではない。海洋大循環の運動量を供給するもの・制御をするもの・エネルギーを供給するものと三つの立場が可能である。海洋大循環のエネルギー論に関しては、定性的議論どころか定式化すらままならなかったがHughes et al. (2009) による背景ポテンシャルエネルギーの導入が大きな進展となった。これを用いた Zemskova et al. (2015), Urakawa et al. (2013) の結果を紹介する。海水の内部エネルギーの重要性が評価されている。また、内部エネルギーを陽に考えることによって新たにひきおこされる疑問として「力を受けない海水は中立面に沿って移動する」というパラダイムに一石を投じる Nycander (2011) を紹介する。

第229回横須賀大気海洋セミナー

日時
11月15日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
趙 寧(CCOAR)
タイトル
Contributions of moisture to the heavy rain of Japan in 2020 and its impact
要旨
The transport and accumulation of moisture played an essential role in the extremely heavy rainfall of July 2020 in Japan. Based on a Lagrangian approach, a narrow moisture channel was found along the edge of the western Pacific Subtropical High (WPSH), transporting the moisture to the Baiu front. While most moisture from the tropics was lost due to precipitation, the western Pacific contributed the most moisture via evaporation and lower tropospheric convection to the atmospheric river (AR) and heavy rainfalls over Kyushu. To further confirm the actual role of moisture from the subtropical WP region in the AR and heavy rain formations, we also conducted a set of numerical sensitivity experiments by adjusting the surface moisture supply over this region. As a result, we found that, although a larger amount of moisture from the WP region south of Japan would increase the total rainfalls, it would not have led to more severe rainfalls over certain regions (such as the relatively small Kyushu Island) due to the closely combined dynamic and thermodynamic influences.

第228回横須賀大気海洋セミナー

日時
11月9日(水) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
茂木 耕作(CCOAR)
タイトル
Factors Affecting the Stagnation of the Baiu Front, Which Induced Heavy Rainfall in July 2020 Over Kyushu, Japan
要旨
This paper examines factors affecting the long-term stagnation of the Baiu front, which induced heavy rainfall in July 2020 over Kyushu, Japan. The positions of the Baiu front were determined from a weather chart of 130°E; the front remained stationary for 20 days between 30 and 35°N during July 2020. The number of total days of Baiu front stagnation were the highest from 2002–2021. By examining an index of the Yellow Sea high (YSH), which is necessary for Baiu front stagnation near Kyushu, it was confirmed that in 2020, a positive high-pressure anomaly remained over the Yellow Sea until the end of July. The maintenance of the YSH was potentially due to the negative sea surface temperature (SST) anomaly over the Yellow Sea throughout July 2020.
In addition, the impact of extratropical cyclones passed at the end of June was suggested as a factor in the significant negative SST anomalies in the Yellow Sea. With the passage of the strong extratropical cyclone which passed through the central part of the Yellow Sea on June 29 〜 30, 2020, the rapid SST decrease of 0.5-1.5 °C/day was caused by the ocean mixed layer deepening. As a result, a strong SST contrast was maintained at approximately 30°N because the difference in the SSTs between the Kuroshio current and the Yellow Sea remained large throughout July 2020. The strong contrasts of the SST and surface air temperature (SAT) coincided well with the maintenance of the YSH over the sea west of Kyushu and could contribute to the long-term stagnation of the Baiu front.

第227回横須賀大気海洋セミナー

日時
11月8日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
名倉 元樹(CCOAR)
タイトル
Dual frequency wind-driven mixed Rossby gravity waves in the equatorial Indian Ocean
要旨
Frequency spectra of in-situ meridional velocity measurements in the central equatorial Indian Ocean show two distinct peaks at “quasi-biweekly” periods of 10-30 days. One is near the surface at frequencies of 0.06-0.1 cpd (periods of 10-17 days) and the other is in the pycnocline (~100 m depth) at lower frequencies of 0.04-0.06 cpd (periods 17- 25 days). Analysis of a wind-forced ocean general circulation model shows that variability in the two frequency bands represents wind-driven mixed Rossby gravity waves. The waves share a similar horizontal structure, but the meridional scale of lower frequency variability is about half compared to that of higher frequency variations. Higher frequency variability has its largest amplitude in the eastern basin while the lower frequency variability has its largest amplitude in the central basin. The vertical wavelength of lower frequency variability is four times smaller than that of higher frequency variability. These results are consistent with expectations from linear mixed Rossby gravity wave theory with the structure of surface wind forcing accounting for the differences in spatial structures of the ocean response.

第226回横須賀大気海洋セミナー

日時
11月2日(水) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
荻野 慎也(CCOAR)
タイトル
研究船「みらい」による2021年夏季の西太平洋上部対流圏・下部成層圏における物質循環観測
要旨
夏季の西太平洋域ではモンスーンや対流季節内変動等に関連した活発な対流活動により、大気の流れの場が変動し、それに伴う中緯度・熱帯間および対流圏・成層圏間の物質の輸送が起こっていると考えられている。しかし、その実態は直接観測の不足もあり、必ずしも明らかではない。特にオゾンと水蒸気は気候の形成に本質的な役割を果たすため、その変動の実態を明らかにすることは地球環境変動の理解に重要である。我々は YMC (Years of the Maritime Continent) の一環として、2021年5月下旬から7月上旬にかけて研究船「みらい」MR21-03航海において、物質輸送、力学変動を捉えることを目的に特殊ゾンデの観測を行ない、モンスーン循環発達期の、西太平洋域における対流活動が静穏な状況での物質輸送の実態を捉えた。観測されたオゾンの変動は鉛直スケールを含めJRA-55再解析に表現される高渦位領域の通過と整合的であった。このことから、中緯度起源の高濃度オゾンがロスビー波砕波に伴い、熱帯西太平洋域に輸送されていたものと考えられる。この結果は、モンスーン発達期の対流静穏期の西太平洋における成層圏・対流圏間の物質輸送はロスビー波砕波によるものが支配的であることを示している。

第225回横須賀大気海洋セミナー

日時
11月1日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
耿 驃 (Biao Geng) (CCOAR)
タイトル
Daily and Subdaily Wind and Divergence Variations Observed by a Shipborne Doppler Radar off the Southwestern Coast of Sumatra
要旨
This study investigated the daily cycle of the wind and divergence fields observed off the southwestern coast of Sumatra during a field campaign of the Years of the Maritime Continent pilot study. An algorithm was developed to retrieve kinematic variables from the single-Doppler data collected aboard the research vessel Mirai from November 24 to December 13, 2015. The observed daily cycle of the wind and divergence fields consisted of diurnal, semidiurnal, and short-term variations. Diurnal wind variation was characterized by deep and three-dimensional circulation. There was an approximate phase locking of the semidiurnal variation to the diurnal variation, both in the wind field and in the divergence field. The short-term wind variation occurred at a time scale of ~1–3 h, and this pattern was associated with a density current or mesoscale gravity waves. Up to 73% of the daily vertical motion variance could be attributed to diurnal and semidiurnal vertical motion variations, with comparable strengths. Concurrently, precipitation propagated offshore in phase with the density current and mesoscale gravity waves. Our results suggest that diurnal and semidiurnal wind variations dominate the daily evolution of precipitation, whereas the density current and mesoscale gravity waves control its offshore propagation. Additionally, it appears that the daily precipitation cycle is modulated by multiple timescale wind variability of less than a day, which is also responsible for the development of strong nocturnal convection off the southwestern coast of Sumatra.

第224回横須賀大気海洋セミナー

日時
10月25日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
永野 憲(CCOAR)
タイトル
西部熱帯太平洋暖水プールで2022年3月中旬に観測された数日スケールの大気海洋結合変動
要旨
2020年3月中旬、「みらい」MR20-01航海で観測した数日スケールの大気海洋変動の解析結果を報告する。本観測では、赤道上に「みらい」(161.0E)と2台のウェーブグライダー(158.0Eと162.5E)を配置し、約4日間の大気と海洋の観測を実施した。2018/2019年エルニーニョからラニーニャへの遷移期にも関わらず、観測期間中、暖水プールの海面水温は上昇し、暖水プール東端は東に移動した。観測期間の前半は北風が強く、それに加え、西向きに伝搬する慣性重力波に伴う東西風の強化によって潜熱フラックスが増加し、活発な対流が発生した。その結果、'diurnal dancing' と呼ばれる真夜中から朝にかけて激しい降水が観測された。この大気海洋結合変動は、東西風擾乱の海面付近への捕捉に起因することが分かった。観測期間の後半では、大気の成層と風の状態が変わり、大気擾乱は上空へと伝搬し、大気と海洋の結合は止まった。本観測の結果を基に今後の観測計画についても議論したい。

第223回横須賀大気海洋セミナー

日時
10月24日(月) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
Tatsuro Tanioka(University of California)
タイトル
Global patterns and drivers of C:N:P in marine ecosystems
要旨
Oceanic nutrient cycles are coupled, yet carbon-nitrogen-phosphorus (C:N:P) stoichiometry in marine ecosystems is variable through space and time, with no clear consensus on the controls on variability. Here, we analyze hydrographic, plankton genomic diversity, and particulate organic matter data from 1970 stations sampled during a global ocean observation program (Bio-GO-SHIP) to investigate the biogeography of surface ocean particulate organic matter stoichiometry. We find latitudinal variability in C:N:P stoichiometry, with surface temperature and macronutrient availability as strong predictors of stoichiometry at high latitudes. Genomic observations indicated community nutrient stress and suggested that nutrient supply rate and nitrogen-versus-phosphorus stress are predictive of hemispheric and regional variations in stoichiometry. For future studies, we propose a research framework combining metagenomes of key marine cyanobacteria species and genome-scale metabolic modeling techniques to improve our understanding of C:N:P in the global ocean.

第222回横須賀大気海洋セミナー

日時
10月18日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
小林 大洋(GOORC)
タイトル
豪州南極海盆ウィルクスランド沖における南極底層水の変化について
要旨
豪州南極海盆ウィルクスランド沖における南極底層水の長期の時間変化を、歴史的船舶観測および最近の深海用フロートの観測データを用いて明らかにした。長期的なトレンドとして、AABWの温暖化、低塩化および縮退が確認された。これらは、遅くとも1980年代までに始まっており、ゆっくりと加速している。2010年代の変化を海鷹丸による110E観測ラインのデータを解析した結果、その前半では低塩化と縮退が急速に進んでいること、後半ではこれらが停滞していることが確認できる。また酸素濃度の長期トレンドは統計的には検出されないものの、近年は上昇しているように見える。

第221回横須賀大気海洋セミナー

日時
10月11日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
平野 瑞恵(GOORC)
タイトル
アルゴフロートに搭載されているCTDセンサーの事前検定とアルゴフロートの投入計画について
要旨
JAMSTECでは2000年からアルゴフロートの投入を開始している。時折、CTDセンサーに不具合が発生するため、投入前にCTDセンサーの検定を実施している。2015年より開始した簡易的な検定の実施状況を報告する。加えて、シミュレーションを活用したアルゴフロートの投入計画について報告する。

第220回横須賀大気海洋セミナー

日時
10月4日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
内田 裕(GOORC)
タイトル
塩分測定用標準海水バッチオフセット研究のまとめと絶対塩分アノマリーに基づく河川水の影響評価
要旨
故青山博士が出版を企画していた本"Chemical reference materials of oceans science: history, production, certification and current status"に投稿した、"History of batch-to-batch comparative studies of IAPSO SSW"とそれに付随した論文"Changes to the composition of IAPSO SSW"の内容紹介と、海水の組成アノマリーとして定義される絶対塩分アノマリーを用いた、北極海・インド洋・紅海・東シナ海・日本沿岸などの河川水等の影響を簡単に紹介する。

第219回横須賀大気海洋セミナー

日時
9月20日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
藤田 実季子(CCOAR)
タイトル
GNSSを用いた水蒸気構造の推定
要旨
複数のGNSSの大気遅延量を組み合わせて逆解析を行うことで水蒸気の三次元分布を検出する手法を「GNSS水蒸気トモグラフィー」と呼ぶ。逆解析によるデータの再構成にはさまざまな条件が必要となるが、効率的な解析手法の開発を進めている。発表では大気モデルデータを用いた検討結果を紹介する。

第218回横須賀大気海洋セミナー

日時
9月13日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
桂 将太(スクリプス海洋研究所)
タイトル
東部熱帯太平洋におけるバリアレイヤーと水温逆転に関する研究
要旨
水温が海面から鉛直に一様な値を示す等温層内において塩分による密度成層がある場合、浅い混合層と深い等温層の間の層はバリアレイヤー(BL)と呼ばれる。BLは海洋表層と亜表層間の熱・運動量交換のバリアとして働き、大気海洋相互作用・気候変動に重要な役割を果たすと考えられている。太平洋におけるBLに関する研究は、その存在が初めて確認された西部熱帯太平洋において主に行われてきた。一方で、東部熱帯太平洋のBLはその厚さが小さいためにこれまで着目されていなかった。しかし、アルゴフロートによる観測データから、東部熱帯太平洋BLが強い水温逆転を伴うことが報告され、これまで考えられていたよりも、BLが海面水温に対して大きな寄与を持つ可能性が示唆された。また、東部熱帯太平洋で実施された船舶観測、係留系観測によって、より詳細なBLの分布・形成、および混合層の熱・淡水への影響が調査された。本セミナーでは、アルゴフロート・船舶・係留系観測によって得られた、東部熱帯太平洋BLと水温逆転に関する研究成果について紹介する。

第217回横須賀大気海洋セミナー

日時
8月9日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
近藤 圭(GOORC)
タイトル
JAMSTECと気象庁における海洋観測の比較
要旨
海洋物理・化学研究グループには、2年ごとの任期制で気象庁からの出向者が来ている。
その出向者である自分の簡単な自己紹介から、JAMSTECでどのような事をしてきたか、さらに気象庁での経験から両者の、海洋観測に関わる様々な内容を比較することで、JAMSTECでの検討課題を探る。

第216回横須賀大気海洋セミナー

Date and
time
Wednesday, July 27, 14:00-15:00
7月27日(水) 14:00~15:00
Place
ZOOM
Presenter
Hugo Bellenger(CNRS/LMD, France)
Title
Sensitivity of the global ocean carbon sink to the ocean skin
Abstract
The sensitivity of the global CO2sink on the ocean skin is still debated. In the absence of bubbles and sprays, the exchange of CO2through the ocean interface is thought to be controlled by diffusion across the oceanic boundary layer. The characteristics of this thin layer (less than a millimeter) are however not explicitly taken into account in bulk parameterization of CO2fluxes. This boundary layer, also known as the ocean cool skin, is typically characterized by a decrease in temperature of -0.1 to -0.3°C between the ocean interface and the base of the boundary layer and an increase of about 0.1 pss. Recently, using a constant cool and salty skin of -0.17°C and +0.1 pss, Watson et al. (2020, Nat. Comm.) provides a quantification of this effect that consists in an increase of the global carbon sink of +0.8 Pg C yr-1(positive downward) during 1992-2018 for a total sink of +2 to +3 Pg C yr-1during the same period. Half of this increase is due to the increase in interfacial CO2concentration with decreasing temperature and half to the decrease of aqueous CO2concentration with decreasing temperature at the base of the mass boundary layer (a fraction of the cool skin).

 In order to address the impact of the ocean skin in the global carbon sink and question Watson et al. (2020) results, we use the coupled climate model IPSL-CM6 with a parameterization of the temperature and salinity gradients within the first ocean model level including the ocean cool and salty skin. An online diagnostic of the CO2flux, taking into account the cool skin effect simulated by IPSL-CM6, leads to an increase of the CO2sink of +0.3 Pg C yr-1, significantly lower than Watson et al. (2020) estimate. Furthermore, using a constant cool skin to compute the interfacial CO2concentration leads to an increase of the sink of +0.3 Pg C yr-1. This is comparable to the +0.4 Pg C yr-1increase Watson et al. (2020) obtained for the interfacial CO2concentration correction alone. This shows that Watson et al. (2020) overestimates the carbon sink increase by at least a factor 2. In addition, using a constant cool skin also leads to strong regional errors with increase in the CO2fluxes in the mid-latitudes where wind is strong and where the cool skin is destroyed by turbulence. Using the carbon flux formulation that takes the cool skin effect into account to compute the evolution of the carbon cycle in the model leads to an increase in the mean ocean model first level pCO2. This leads to further reduce the cool skin effect to an increase of the global sink of +0.1 Pg C yr-1.

 We will then briefly discuss the relative importance of the cool skin effect and mesoscale variability on the regional scale using a case study documented during a recent cruise in the tropical Atlantic Ocean (EUREC4A-OA, jan. 2020). Finally, we discuss the appropriateness of using a usual bulk formulation to study the impact of the cool skin. In such formulation, the transfer coefficient is a function of wind speed alone. One may argue that such formulation implicitly take into account the cool skin effect as the cool skin effect depends largely on the surface wind speed. However, we show that there are regional differences in the relationship between cool skin and surface wind that lead to non-negligible regional differences in the annual mean interfacial temperature (on the order of 0.1°C in absolute value). This can thus lead to errors in mean regional carbon flux estimates. This advocates for use of more physical parameterizations of the transfer coefficient in climate models.

第215回横須賀大気海洋セミナー

Date and
time
Tuesday, July 26, 14:00-15:00
7月26日(火) 14:00~15:00
Place
ZOOM
Presenter
Jonathan Derot(GOORC)
Title
Advances in forecasting harmful algal blooms and understanding of physicochemical constraints using machine learning models
Abstract
The development of anthropic activities during the 20th century increased the nutrient fluxes in aquatic ecosystems (freshwater, coastal areas…), leading to the eutrophication phenomenon. These disruptions in nutrient fluxes, thereby promoting harmful algal blooms (HABs) that could directly impact economies and human health. It can also result in a very important decrease in the fishing stocks. Within the framework of water quality management, the forecasting of these HABs and the understanding of abiotic limiting factors, are crucial issues for scientists and local stakeholders. Machine learning (ML) models have already demonstrated their efficiency several times in extant research to predict populations in aquatic environments. Moreover, with an adapted methodology, when we use ML models based on tree structure, is it possible to interpret the interactions created during the learning phase, in order to extract physicochemical thresholds.
Here, we studied three different types of aquatic ecosystems. In the first case, the dataset comes from an automatic device located in the coastal area and more precisely in the English Channel (French side). The second area is a peri-alpine lake located between France and Switzerland (Lake Geneva). And the last water body, is a brackish Japanese lake located in the Shimane prefecture (Lake Shinji). The forecast method is mainly based on Random Forest (RF) models. In some cases, we also have used a k-means model. The RF models are based on the tree structure, consequently, we can use the partial dependence plot (PDP) and the individual conditional expectation (ICE) plots, in order to interpret the interactions between the physicochemical parameters.
Concerning the English Channel, we focused our study on the forecast of the Prymnesiophyceae Phaeocystis and we also studied the impact of sampling frequency on the predictions from RF models. Our results indicate that the optimal forecast was obtained for a 20 min time step, with an average R² of 0.62. In Lake Geneva, the HABs are linked to Planktothrix rubescens. Here, we demonstrated these pollution events can be forecasted with correlation coefficients which stay above a threshold of 0.5 over more than one year. Our methodology was based on the coupling between K-means and RF models. Regarding Lake Shinji, we studied the physicochemical constraints on Corbicula japonica (Shijimi) via the PDP method. We have highlighted that the preferable habitat for this bivalve were: depth lower than 4 meters; ignition loss of the bottom sediments lower than 10%; and silt clay (diameter ≤ 0.063 mm) content of the bottom sediments lower than 45%. In a context of restoration and conservation of the water quality, the methodologies presented here lay the foundation for the development of a numerical decision-making tool that could help the local governments to manage the HABs and fishing stocks.

第214回横須賀大気海洋セミナー

日時
7月12日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
纐纈 慎也 (Shinya KOUKETSU) (GOORC)
タイトル
等密度面上塩分分布推定の手法検討
Investigation of interpolation methods to infer salinity distribution on isopycnal surfaces
要旨
等密度面上の塩分分布推定の手法について基礎的な検討を行っているので、この途中経過について紹介する。
近年、観測の充実により物質分布から渦輸送を含む平均的流動場の逆推定が比較的簡単に行えるようになっており、実際に、自身も推定を実施している。ただ、そもそも推定手法により再現される場は性質が違いがどの程度影響するかは気になるところであり、過去の自身の研究では十分考慮していなかった。特に、過去に使用した内挿法は、比較的滑らかな場を推定する方法であるため、前線付近など比較的複雑な構造が存在する海域の推定には不安がある。
そこで、より細かな構造、場の精緻な再現を検討するため、従来の単純な影響半径を仮定したガウス型重みの内挿法に加えて、畳み込みニューラルネットを使用した方法などを試している。その途中経過について比較を交えながら紹介する。

第213回横須賀大気海洋セミナー

日時
7月5日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
土居 知将(GOORC)
タイトル
全球海洋における溶存鉄分布の推定
要旨
海洋における溶存鉄の存在は一次生産に重要な影響を与えることが知られているが、観測から海盆スケールでの時空間的な構造や変動を把握するためには、依然として極めてデータ数の少ないのが現状である。近年 GEOTRACES でまとめられた海洋溶存鉄の観測データにより、限られた海域ではあるが海盆スケールでの鉛直断面分布が見られるようになってきた。そこで、鉄のソース・シンクを組み込んだ移流拡散モデルをベースに、グリーン関数法を使ってこれまでの歴史的観測データを取り込み、全球海洋におけるグリッド化された溶存鉄の濃度分布の推定を試みた。推定結果から見えてきた溶存鉄の循環における太平洋と大西洋の違いなどを紹介する。

第212回横須賀大気海洋セミナー

日時
6月28日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
長船 哲史(GOORC)
タイトル
ESTOCを用いたPDOに関連する表層貯熱量変動のバジェット解析
Budget analysis on heat content anomaly associated with PDO using ESTOC
要旨
太平洋十年規模振動(Pacific decadal oscillation: 以下PDO)は、北太平洋における季節変動を取り除いた海面水温変動の支配的な変動パターンである。これまでの研究の蓄積により、PDOは単一の物理モードではなく、様々なプロセスの組み合わせによって生じていると考えられるようになっている。しかしながら、現実の海洋において、各プロセスがどの程度の寄与を持つかの理解は不十分である。本発表では、当グループで運用・開発している長期海洋環境再現データセットESTOCを用いたPDOに関わる表層貯熱量の変動に関する解析の結果を紹介する。本研究では、モデルコードを元に作成した高精度バジェット解析ツールを使用し、PDO変動中心における表層貯熱量の月平均値からの偏差に関するバジェット解析を行った。この解析結果からは、ローカルなエクマン流・熱フラックスの偏差による影響だけではなく、地衡流偏差や上流の水温偏差の影響が無視出来ないことが示唆された。発表では、この変動のメカニズムについても議論したい。

Pacific decadal oscillation (PDO) is a dominant pattern of monthly sea surface temperature anomaly in the North Pacific. Many previous studies have suggested that PDO is not a single physical mode, but caused by a combination of different processes. However, it is still unclear to what extent each process contributes to the PDO in the real ocean. Using our long-term ocean state estimation dataset called ESTOC, we investigated heat content anomaly associated with PDO. Using a budget analysis tool that we have developed based on the model code, we performed a budget analysis on heat content anomaly from monthly mean in the center of action of the PDO. It is suggested that the effects of the geostrophic current anomaly, and the temperature anomaly in the upstream region cannot be neglected in comparison with the effects of the Ekman transport anomaly and the surface heat flux anomaly. We would like to discuss the mechanism of this variation in the presentation.

第211回横須賀大気海洋セミナー

日時
6月21日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
佐藤 佳奈子 (Kanako Sato)(GOORC)
タイトル
フロートに搭載したARO-FTの精度検証
Evaluation of ARO-FT performance on Argo floats
要旨
新学術領域研究「変わりゆく気候系における中緯度大気海洋相互作用hotspot」において,形成域から亜熱帯モード水とともに海洋内部に取り込まれた水温・塩分・溶存酸素偏差が下流域にどんな影響を与え得るのかを調査するため,2021年に11台のフロートが北西太平洋に投入された.それらには全てJFEアドバンテック製造溶存酸素センサーARO-FTが搭載されている.フロートのProf_no.1のプロファイルと投入時船舶採水データを比較することによる投入直後の精度を検証すると共に,その結果を基に補正を施した.その結果とセンサーの時間ドリフトの検証結果を報告する.

In order to investitage how anomalies of temperature, salinity, and dissolved oxygen subducted with STMW can affect downstream subsurface ocean, 11 Argo floats were deployed in the northwestern subtropical Pacific in 2021, as part of MEXT Kaken-hi project "Mid-latitude ocean-atmosphere interaction hotspots under the changing climate". They are equipped with ARO-FTs, which are optical dissolved oxygen sensors manufactured by JFE Advantech Co., Ltd. The initial accuracy after deployment was verified by comparing Prof_no.1 profile with the bottle sampling data at floats' deployment, and corrections were made based on the results. The results and the time drift of ARO-FTs will be reported.

第210回横須賀大気海洋セミナー

日時
6月14日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
川合 義美(GOORC)
タイトル
北太平洋中緯度における10年スケールの海盆規模の熱収支
Decadal-scale changes in basin-wide heat budget in the mid-latitude North Pacific Ocean
要旨
A previous study indicated that the meridional heat transport (MHT) across 24°N in the North Pacific Ocean (NP) increased in the 1980s and 1990s due to changes in the Kuroshio and Ekman transports, and these increases resulted in different heat distribution: ocean heat content (OHC) increased in the 1980s, and net surface heat release was strengthened in the 1990s. The reason for the differences, however, has yet to be explained. This study has revisited the investigation of the heat balance in the NP using the latest datasets to understand why the heat distribution was different between these decades, and to extend the analysis to the 2010s. The OHC above 700 m north of 24°N and east of 137°E showed sharp increases around 1990 and in the 2010s, and was nearly stable between them. The northward retreat of the subarctic gyre boundary coincided with spin-up of the subtropical gyre in the late 1980s, letting the warm anomaly from the subtropics propagate northeastward. Meanwhile, the concurrent weakening of the wintertime westerly resulted in the suppression of surface heat loss in the western NP. On the contrary, the southward shift of the subarctic front suppressed the OHC rise despite the MHT increase in the late 1990s. In the 2010s, unprecedented warming occurred in the eastern NP, the Bering Sea, and east off northern Japan. The MHT estimation based on hydrographic observations indicates that net surface release must have been suppressed, but the latest atmospheric reanalysis datasets failed to reproduce it.

第209回横須賀大気海洋セミナー

日時
6月8日(水) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
本多 牧生(ESSRC)
タイトル
セジメントトラップ実験を中心とした西部北太平洋時系列観測による生物炭素ポンプに関する研究(第37回 海洋化学学術賞(石橋賞)記念講演)
要旨
生物炭素ポンプ(BCP)とは、海洋の持つ二酸化炭素吸収メカニズムの一つである。BCPの研究において中心的な役割を果たしてきたのが沈降粒子捕集装置(セジメントトラップ)による時系列観測研究である。講演者は過去約30年間、国内外の研究者と協力して、また様々な研究プロジェクト下で、セジメントトラップを用いた西部北太平洋のBCP研究および物質循環研究に従事してきた。本講演では講演者の自己紹介の後、研究遍歴を、今だから話せる裏話や冗談を交えて、お世話になった多くの恩師、仲間に感謝の意を込めて、紹介する。

第208回横須賀大気海洋セミナー

日時
6月7日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
横井 覚(CCOAR)
タイトル
降水量あたりの冷気外出流量を見積もる試み
要旨
積雲対流システムの雲底下では、降水に伴う摩擦と蒸発冷却により下降気流が発生し、これが地表面(海面)に達すると水平方向に広がって冷気外出流となる。これはよく知られた現象であるが、果たしてどの程度の下降流質量フラックスが発生しているのか、見積もることは容易ではない。発表者はこれまで、活発な積雲対流活動の見られる熱帯暖水域上においては、大気境界層の熱・水収支に着目するとこのフラックスを推定できることを示してきた。これを受け、研究船「みらい」で実施した大気海洋航海データ(2006年以降、8航海)を用い、降水量とフラックスの量的関係を推定することを目標に研究を進めている。この試みは途上であるが、レーダエコー被覆率とフラックスの間に非常に高い正相関が認められており、採っている方針が妥当であることを示している。

第207回横須賀大気海洋セミナー

日時
5月17日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
山口 凌平(GOORC)
タイトル
ESMラージアンサンブルで予測された植物プランクトンブルームタイミングの将来変化
要旨
海洋の植物プランクトンによる基礎生産は、海洋食物連鎖の基礎として海洋生態系を支える。基礎生産量の将来変化予測については、日々高度化する地球システムモデルを用いた多くの研究によって、そのメカニズムの理解が進みつつある。基礎生産量そのものの将来変化に加え、海洋植物プランクトンによる生産の季節性の変化もまた、重大な関心を集めている。基礎生産の季節サイクルの変化は、捕食者の成長にとって最適なタイミングとの間にずれを生じさせ、食物連鎖における低次栄養段階から高次栄養段階へのエネルギー伝達に影響を及ぼす可能性(ミスマッチ仮説)があるからである。しかし、陸上植生圏と比較して、海洋基礎生産の季節性将来変化とそのメカニズムについては、未だにコンセンサスが得られていない。
本研究では、GFDL-ESM2Mラージアンサンブルシミュレーションの出力を用いて、植物プランクトンブルームの開始とピークタイミングの将来変化を調べた。RCP8.5シナリオ下では、ブルームの開始は大部分の海域で将来的に早まる一方で、ピークタイミングは海域によって異なる応答を示した。北半球高緯度域では、その気候変化シグナルが、アンサンブルスプレッドから見積もられる背景の内部変動性の範囲を今世紀末までに超えることが示唆された。モデル内の植物プランクトン時間発展方程式に基づいた収支解析からは、ブルーム季節タイミングの変化は、植物プランクトン成長と動物プランクトン捕食との間の通常時の強固なカップリングが、気候変化に伴う環境要因の変化によって、わずかに綻ぶこと(デカップリング)によって引き起こされることがわかった。また結果は、デカップリングを引き起こす要因として、動物プランクトン捕食圧変化の全球的な重要性を強調し、従来仮説の光制限緩和による効果が主要因となる海域は高緯度域の一部に限られる可能性を示した。

第206回横須賀大気海洋セミナー

日時
5月10日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
植木 巌(CCOAR)
タイトル
海面フラックス現場観測の強化に関する取り組みについて
要旨
海面フラックス研究コミュニティでは、OceanObs’19を契機に全球フラックスプロダクトの高精度化に向けた今後10年の取り組みの方向性をホワイトペーパーとしてまとめている。そうした議論を踏まえつつ、我々のグループでは海面フラックス観測の高度化に向けた取り組みを行っている。本セミナーでは特に海面熱フラックス観測について、これまでの進捗を示すと共に開発中のフラックス漂流ブイの状況を紹介する。

第205回横須賀大気海洋セミナー

日時
4月26日(火) 14:00~15:00
場所
ZOOM
発表者
笹岡 晃征(GOORC)
タイトル
最近の2つの航海で得られたCDOMの分布
要旨
発色団含有溶存有機物(CDOM: Chromophoric Dissolved Organic Matter)は海洋の溶存態有機物(DOM)の一部として海洋の炭素循環に影響を持ち、近年では外洋域の中深層における生物地球化学過程や循環を究明するためのトレーサーとして注目されている。セミナーでは、最近の2つの航海(「かいめい」KM20-08航海:2020/10/25-11/11、「みらい」MR21-04航海:2021/7/13-8/26)で取得したCDOM関する初期結果を報告する。伊豆・小笠原海溝における超深海ゾーン(6000m以深)、及び北太平洋P01測線におけるCDOMの分布と他の水塊パラメータとの関係性について示すほか、サンプリング手法に関する検証実験の結果等についてもお話ししたい。