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2023年6月15日
国立大学法人東京工業大学
国立研究開発法人海洋研究開発機構

土星衛星の海に生命必須元素リンが異常濃集
-生命誕生の鍵を宇宙で突き止める-

土星の衛星エンセラダスは、内部に液体の地下海を持ち、生命を育む熱水噴出孔や複雑な有機物も存在するなど、生命存在可能な条件を満たす天体として注目を集めています。

東京工業大学 国際先駆研究機構 地球生命研究所の関根康人所長/教授、丹秀也研究員、海洋研究開発機構の渋谷岳造主任研究員らの研究チームは、日欧米による探査と実験の綿密な連携によって、エンセラダスの海に地球生命の必須元素であるリンが、地球海水の数千から数万倍という高濃度で濃集していることを明らかにしました。欧米チームはカッシーニ探査機のデータから、地下から噴き出した海水中にリン酸を含む粒子が含まれることを明らかにしました。一方、日本チームはエンセラダス内部を再現する実験を行い、リン酸が濃集する要因が、アルカリ性かつ高炭酸濃度の海水と岩石との反応にあることを突き止めました。

リンはDNAや細胞膜などの材料となる地球生命にとっての最重要元素ですが、天然の水環境での存在量は極めて低い元素です。そのため、リンの濃集を可能にする場が、地球生命誕生の鍵であろうと考えられています。本研究では、リンが濃集した水環境を地球外で初めて発見したものであり、エンセラダスでも地球と似た構成分子を持つ生命が期待されると同時に、原始地球での生命誕生の場の特定にもつながる極めて大きな発見です。

本研究成果は、東京工業大学 国際先駆研究機構の関根所長、丹研究員、海洋研究開発機構の渋谷主任研究員、ベルリン自由大学ポストバーグ教授らによって行われ、6月15日付の「Nature」に掲載されました。

詳細は、東京工業大学のサイトをご覧ください。

国立研究開発法人海洋研究開発機構
海洋科学技術戦略部 報道室
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