今回は、JAMSTECの拠点の1つ、高知コア研究所(コア研)からお届けします(写真1)。 コア研では、海底から採取した柱状試料(コア試料)の分析・研究、そして保管まで一連のプロセスを行っています。国内で唯一、地球掘削科学における世界最先端且つ独自の分析・実験手法を有し、世界トップクラスの研究所です。
どんな設備があって、どんな研究を行っているのか。コア研シリーズ初回では、コア試料について研究現場からリポートします!
畠中:コア研にようこそ! まずは所長室に参りましょう。施設はその後たっぷりとご案内します(図1)。
【目次】
▶ 高知コア研究所は、コア試料の分析から研究、保管までを担う世界の中枢拠点
▶ キュレーション業務
▶ コア冷蔵保管庫
▶ 新コア冷蔵保管庫
▶ サンプルリクエスト
石川:国際深海科学掘削計画(IODP)および過去の掘削計画で採取された膨大な海洋掘削試料は、採取海域によって世界3カ所(日本、ドイツ、米国)にあるコア保管施設で保管・管理され、世界中の研究者に公開されています。コア研は、その3大コア保管拠点の1つです。2005年に設立されました。インド洋およびアジアオセアニア域で採取された莫大な量の掘削コア試料の保管から分析用試料提供まで行います(写真4)。そして、世界トップクラスのラボで分析研究をしています。
写真4 コア試料。過去の深海掘削計画により伊豆半島~マリアナ海域で採取されたレガシーコアの様子。変成岩、堆積岩、火山砕屑物が見られます。
石川:その研究も非常にオリジナルなんですよ。
石川:コア研には、「断層物性研究」、「地球深部生命研究」、そして「同位体地球化学研究」の研究グループがあります。施設を共同運営する高知大学の研究者もいます。研究分野が違うとたいてい研究者間の交流は希薄ですが、コア研は人数が少ないが故に異分野との交流が盛んです。例えば一緒に昼食を取りながら研究の話をしていると、異分野の研究者がアイディアをくれて、共同研究に発展することがあるのです。これまでに、同位体化学を利用した微生物の研究や、断層と微生物の研究、高知大学と地震津波碑のデジタルアーカイブ化などをしてきました。学際的、融合的な研究です。