1. TOP
  2. 第21回「地球環境シリーズ」講演会「気候変動の地球史~“鳥の目”で温暖化を捉えなおす~」

第21回「地球環境シリーズ」講演会 「気候変動の地球史 ~“鳥の目”で温暖化を捉えなおす~」

地球温暖化の影響が顕わになってきている、と多くの専門家も考えるようになってきています。温暖化の予測にはシミュレーションモデルが用いられますが、そうしたモデルは予測のみならず、現在気候の解析や、太古の気候変動を捉える研究ツールとしても活用されています。また一方、岩石、堆積物、氷床コア(南極大陸上などの分厚い氷をドリルでくり抜いたもの)などの分析から、何万年、何億年といった時間スケールでの地球環境の変遷を理解する研究も盛んに行われています。
本講演会では、こうした多様な研究の結果を突き合わせ、人間が起こしている攪乱を地球史的な時間軸で俯瞰し「鳥の目」で捉えなおして、気候変動対策に向き合う姿勢を考える機会になれば嬉しく思います。

お知らせ

開催概要

日時

令和6年9月30日(月)13:00~16:30

参加方法

ZoomウェビナーとYouTube Liveによるオンライン配信

参加者
アンケート

ご参加いただき誠にありがとうございます。
アンケートにご協力をお願いいたします。

主催

国立研究開発法人海洋研究開発機構

後援

文部科学省

プログラム

開会挨拶・趣旨説明
-講演会の聴きどころ-

13:00~13:20
河宮 未知生

海洋研究開発機構
地球環境部門 環境変動予測研究センター長

地質試料に記録された気候変動史

13:20~13:45
岡崎 裕典

九州大学 大学院理学研究院
地球惑星科学部門 教授

地球の歴史のなかでは、全く氷がない温暖な時代や、反対に現在よりも氷床が大きく拡大した時代がありました。気象観測記録が存在しない時代の気候変動の記録を、地質試料から解読するのが古気候研究です。本講演では、直接観測できない古気候変動をどうやって研究しているのか紹介します。

計算機で再現する人新世の気候変動

13:45~14:10
建部 洋晶

海洋研究開発機構
地球環境部門 環境変動予測研究センター 主任研究員

気候モデルとは、大気・陸域・海洋など、地球気候を形成する要素の諸過程やこれらの相互作用過程を表す方程式系を、計算機を使用して近似的に解くことにより、気候の巨視的な振る舞いをシミュレートするための計算プログラムのことです。本講演では、気候モデルの原理を説明するとともに、これを活用した産業革命前から現在までの気候変動シミュレーション結果の概要や気候変動をもたらす要因を解説します。

気候モデルから探る過去の気候変動のしくみ

14:10~14:35
小長谷 貴志

海洋研究開発機構
地球環境部門 環境変動予測研究センター 特任研究員

真鍋淑郎博士が開発された気候モデルをはじめとして、気候モデルは気候の将来予測にとってなくてはならないものですが、比較的早い段階から気候モデルを過去に応用することが行われていました。それは、地球の熱の出入りが変わって気候が変動するしくみは、過去と将来で共通する点だからです。本講演では、過去の寒冷な氷期の時期と温暖な時期の両方に焦点を当て、気候変動のしくみと気候変動から見た地球史を解説します。

休憩

14:35~14:45

気候変動の歴史を知るすべ~海洋生態系と同位体プロキシ~

14:45~15:10
吉川 知里

海洋研究開発機構
海洋機能利用部門 生物地球化学センター 副主任研究員

同位体は、直接観測することができない過去の環境を復元するためのプロキシ(代替指標)として古気候学で広く用いられています。本講演では、CO2の吸収源である海洋生態系に着目し、海洋生態系をコントロールする窒素の循環とそのプロキシである窒素同位体比について解説します。また、海底から採掘した堆積物から窒素同位体比を用いて、過去2000年間の南極沖の植物プランクトンによる光合成量とその生息環境を復元した研究例を紹介します。

地球史からみた現代の気候変動

15:10~15:35
尾﨑 和海

東京工業大学 理学院
地球惑星科学系 准教授

地球環境は、大気組成や太陽光度の変化の影響を受けながらも基本的に温暖湿潤な状態に維持されてきました。地球史を通じた気候変遷やその安定性は地球表層でのエネルギー収支や炭素循環によって説明されています。一方で、人為活動に伴う大気中の二酸化炭素濃度の増加によって、さまざまな環境変化が顕在化しつつあります。人間活動による気候変動はどのような時間スケールでどのように進行し、回復にはどの程度の時間を要すると考えられるのでしょうか。本講演では、地球史を通じた気候変遷とそのメカニズムを解説し、そのフレームワークのなかで現代の気候変動がどのように位置づけられるのか議論します。

パネルディスカッション

15:35~16:25
講演者

講演会のまとめ

16:25~16:30
河宮 未知生

海洋研究開発機構
地球環境部門 環境変動予測研究センター長

お問い合わせ先

国立研究開発法人海洋研究開発機構 研究推進部