2016年11月1日
(左) 藤内助教(高知大学) (右) 稲垣研究所長代理(高知コア研究所)
講演会では、地球深部探査船「ちきゅう」との中継を行い、小学生・中学生・高校生からいただいた、質問と回答をご紹介します。
下線は、出前授業(2016年7月~10月)実施校。
回答者は、「ちきゅう」乗船者の稲垣高知コア研究所長代理と藤内助教(高知大学)です。
室戸市立室戸岬小学校
- Q:
- 作業をしていて一番驚いたことはなんですか?
- A:
-
毎日が驚きの連続と言ってもいいかもしれませんね。毎回どんなコア(試料)がどれくらい、どんなサンプルがどういう形で上がってくるのか?それをどういう風に処理をして陸上に送るのか?これらが何を僕たちに語ってくれるのか?そういうことを考えながら、いつもドキドキわくわくしています。
高知市立城東中学校
- Q:
- 「ちきゅう」の乗組員になるには、どうしたらいいですか?
- A:
- 大学生の時に「ちきゅう」の存在を知って、いつか乗りたいなと思ったことが、研究者を目指す理由の1つになりました。今回初めて乗船でき、地球科学の研究者になれば乗船できるかなと思います。
- A:
- あまり怖がらずにエイッと、わからない分野に飛び込む。あとは、いろんなものに興味を持つことが大事じゃないでしょうか。私は、生物の専攻だったけれど、生物だけではなく、地質であったり、物理であったり、いろんなことに興味があって、そういう人たちと1つのターゲットを研究するということを、好きになりました。最初の航海はペルーだったんです。日本人は1人でしたが、そこに飛び込むような思い切った気持ちが大事なんじゃないかな。小学校、中学校、若い頃からいろんなものにチャレンジしたいという、気持ちを持ち続けて欲しいなと思っています。
高知大学附属中学校
- Q1:
- 船に乗るために必要な資格とかありますか?もしあれば、それに対する勉強方法とかも教えてほしいです。
- A1:
- 「ちきゅう」には今、150~160人乗船しています。その中には、研究者、サポートする人たち、掘削する人たち、厨房にいる人たち、そしてキャプテンなど、いろんな人が1つのコミュニティを作って、船の中に一緒に暮らしているという感じです。乗船して航海をしたいということであれば、研究者でなくても、いろんな職種があります。ただ、資格っていうよりもやはり気持ちの方が大事。
「ちきゅう」に乗りたいんだ!という、気持ちを維持してガンバッテほしいです。
- Q2:
- 採取したコアの解析にどのくらい時間をかけますか?
- A2:
- すぐ分析の終わるものもあるし、分析に10年かかるものもあります。10年以上時間をかけて分析をするくらい価値のあるすごく重要なサンプルです。ひとつ目の分析をすると新しい発見があったりする。その結果は、何を意味しているんだろうか?その理由を探すのに、さらに分析が必要になる。そして自分の持っている技術だけではなくて、いろんな人の持っている技術を合わせて、ひとつのシステム、結論にまで導く。そのために、それなりに時間がかかってしまう。
コアの解析は、ひとつひとつが発見の連続になると思います。その度に論文で研究成果をまとめて、皆さんにわかりやすくお伝えするが使命です。これから若い人たちの中で研究者になる人が出てくれば、今研究している試料を使って研究をしていくという人も出てくるかもしれませんね。
高知県立高知西高等学校
- Q:
- もし掘削の途中で地震が起きたらどうなりますか?また、どういう対策をしていますか?
- A:
- 振動は伝わるかもしれないが、船の上は非常に安全なので、おそらくほとんど感じることはありません。対策として毎週日曜日、つなぎ、ヘルメット、浮き輪のようなものを付けて安全訓練をしています。
高知県立高知小津高等学校
- Q:
- 海底深部から採取したサンプルの中で、地上で見られない珍しいものがあればどんなものがありますか?また、通常採取できるものにはどんなものがあるか教えてほしいです。
- A:
- 水深4.7キロからさらに800メートルを現在掘削しています。そういったところの試料自体すごく珍しいんです。その地質試料の中に、さらに珍しいものが色々いる。一番珍しいものとしては、生物ですね。こんな深いところに生物がいるのか、いないのか、それもまだあまりよく分かっていないんです。その限界を見極めようとしています。そこに微生物がいれば、陸上にいる微生物とは、全く違う微生物なので、これからどんどん研究を進めていきたいです。
以上
ご質問いただいた皆さん、ありがとうございました。
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