地球深部探査船「ちきゅう」から、IODP第358次航海(紀伊半島沖・南海トラフ)で採取された地質試料が届きました。南海トラフ地震発生帯掘削計画(※1)の一環で採取された、海洋科学掘削としての最大掘削深度となる海底下3,262m(水深1939m)からのカッティングス試料(※2)や、2,836 mから2,848 mの区間のコア試料も含まれていて、南海トラフにおける巨大地震・津波の発生メカニズムに関する新たな知見が得られることが期待されています。
IODP:国際深海科学掘削計画(2013年10月から開始された多国間科学研究協力プロジェクト。日本(地球深部探査船「ちきゅう」)、アメリカ(ジョイデス・レゾリューション)、ヨーロッパ(特定任務掘削船)がそれぞれ提供する掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を行っている。)
※1 南海トラフ地震発生帯掘削計画:南海トラフにおける地震・津波発生メカニズムを解明することを目的とする研究計画。2007年に開始。プレート沈み込み帯の浅部から深部までの複数地点で掘削を行い、地質試料の採取・分析、掘削孔を用いた岩石物性・状態の現場計測(検層)及び地殻変動等の観測(モニタリング)により、断層の地震性滑りを決定づける物理化学条件等を明らかにすることを目指す。
※2 カッティングス試料:掘削と同時に採取する岩石のかけら