2022年10月29日
ひらめき☆ときめきサイエンス:
「自然災害からわが街を守るため、『デジタル石碑ハカセ』に変身!」のイベントが10月29日(土)に徳島県立南部防災館にて開催され、小学5年生から中学2年生までの7名にご参加いただきました(概要はこちら)。
午前中は、自然災害碑や南海トラフ地震、水害について谷川亘主任研究員、「ひかり拓本」の撮影方法について奈良文化財研究所の上椙英之研究員から学びました。その後、3チームに分かれて徳島県海陽町周辺の自然災害碑を巡り、「ひかり拓本」の作成を実施しました。
【ひかり拓本の完成図(浅川天神社石碑】(左:拓本前、右:拓本後)
午後は、実際製作した「ひかり拓本」の確認と説明を奈良文化財研究所の上椙英之研究員から学び、3Dデジタル技術について谷川亘主任研究員から学んだ後、パソコンを使って複数枚の写真から3Dプリンタを用いたミニチュア造形の元データとなる3Dモデルの作成を試みました。その後、「石碑ハカセ」認定を受けるための「最終試験」について、徳島大学の井若和久学術研究員から説明を受けた後、未来に起こりうる南海トラフ地震の被害を想像し、それを後世に伝えるためのオリジナル石碑を考えていただきました。各チームとも素晴らしいアイデアを提案していただき、参加者全員が「石碑ハカセ」に認定されました。
ご参加いただいた皆様、そして関係者の皆様、誠にありがとうございました。
【ひかり拓本について】
「ひかり拓本」アプリはまさにできたてほやほやで、今回のイベントが「世界初」の体験となりました。わずか数枚の写真撮影から数分の作業で「拓本」にひけを取らないデジタル拓本が出来たことに、みな驚きと感動の連続でした。なお、「ひかり拓本」の教育現場での普及に向けて、現在クラウドファンディングを実施しています。ぜひ応援をよろしくお願いします。
《スタッフの感想①:星野辰彦主任研究員からのコメント》
お手伝いとして本イベントに参加させて頂きました。外での石碑の見学では、石碑の撮影による「ひかり拓本」の作成や、石碑にまつわるクイズに参加者の子どもたちが積極的に取り組み、石碑の役割、そこに残された先人の教訓を学ぶ姿に感心させられました。私自身にとっても普段の研究分野とは異なる新鮮な経験・体験で子どもたちと一緒に楽しむことができました。座学では、災害碑の役割、3Dモデルの構築、オリジナル災害碑の考案を通して、さらに子どもたちの理解が深まったと思います。特にオリジナル災害碑のディスカッションでは、子どもならではの柔軟な発想から、目から鱗の提案も生まれました。今回参加していただいた子どもたちが地域の防災にきっと貢献してくれると思います。
《スタッフの感想②:管理課の松村嘉保からのコメント》
イベント準備のサポートは今まで行ってきましたが、今回実際に地震と石碑について参加者と一緒に私も勉強させてもらいました。
今回とても印象深かったのが、初の試みである「ひかり拓本」の作成。2時限目は実際の地震津波碑を3班に分かれ見学しました。私と「ひかり拓本」の開発者である上椙先生が同行した班は最初、「ひかり拓本」を作成するため浅川天神社石碑へ。懐中電灯を一人が持ち一人は撮影を行い、すぐに生徒たちはコツをつかみ、お互い指示を出し合いながら、大人も感心する鮮明な拓本を作成しました。まだ「ひかり拓本」アプリはリリース前という事ですが、きっとリリースされた暁には上椙先生のように友達に教えられると思います。その他の石碑見学でも熱心に講師の話を聞き、石碑の内容を真っ先に見に行ったり、生徒たちの防災への関心の高さを感じました。
最後の「石碑ハカセ」になるための最終試験では、大人では出てこない発想力の高さに感心しました。
3Dデジタルや「ひかり拓本」の技術、また実際に見た自然災害碑など、このイベントで学習した事を通して得た知識を周りの人たちや後世に伝えてもらえたらと思いました。